続・バイアルスは21世紀を走るのだろうか


2016.1.2

1928Km



実に9年振りの更新である。実車のほうも,前回いじくった後約1年間1000kmを走行したが,その後は1/1の模型の如く室内に展示したままだった。理由はふたつあって,ひとつはブレーキがあまりに効かないこと。もうひとつは排気漏れによる爆音である。

ブレーキに関しては,組み付け時に表面を粗めのヤスリで荒らして組み付けたので,現在の車や原チャリのブレーキ性能に慣れてしまっているせいで,昔のドラムブレーキはこんなもんだったのだろうと想像していたが,実はシューの劣化によるものだった。余りに効かないので危険だった。

排気漏れは,アレスター付きのサイレンサーがオリジナルで付いていたのだが,余りに音が静かで,バイアルス特有のバックファイア音が楽しめない(その為に付いているのだが)。更に,エキパイからサイレンサーまでが非常に良い状態で,勿論アバタも錆もなく当時の塗装のままであったので,それを保全する為にも,中古のエキパイとおむすびを購入し,換装したのだった。

おむすびとエキパイのジョイント部にはパッキンが入っているのだが,基本的には分解時には交換するものなのだが,前世紀での経験上,特に交換しなくても漏れはなかった。今回も特に気にすることなく購入したままで装着したが,爆音。

そんなこんなで今回の再整備に至った。タイミングとしては特にきっかけはないのだが,なぜかまた走りたくなっただけ。





【@ブレーキシュー交換】


コアなバイアルスファンの方が,パーツの輸入・製造など,今でもリーズナブルな価格で新品パーツを供給してくれのは大変有り難い。出来れば完全オリジナルで残したいが,メーカーからのパーツ供給が途切れた今ではなかなか難しい。

今回は台湾製のシューを購入。なんと片輪ワンセットで630円。有り難い。更に,斜めのカット溝入で多少の性能アップが考えられる。当然,両輪とも交換する。まずは後輪側。写真にあるように,殆ど走っていない車体なのでシューも殆ど新品状態の厚みを残している。が,表面は見るからに硬化している。これでは効きは期待出来ない。交換自体は簡単なので問題ない。グリスなどで汚れた手で表面を触らないよう気を付ければ良い。本来ならカッパーグリスを可動部に少し塗るのが良いのだが,そんな洒落たものはないので,芋グリスを塗る。シューの両端を少し削ると良いようだが,元々大分肩が落とされていあるし,面倒なので省略。

フロントは,シューとブレーキワイヤーも交換した。以前のワイヤーは他社のものの流用らしく,2〜3センチ短かった。なんとか機能はしていたがしっくり来なかったので,この機会に一緒に購入した。1300円程。



【Aスプロケの交換】



上がオリジナルの60丁のドリブン。下が今回購入した58丁(4800円)。ドライブ側は前回交換した17丁。17丁のスプロケは前回フランスで作られていたものを購入したが,現在も入手可能かは不明。58丁のスプロケを供給してくれている人はペアとして16丁のドライブスプロケとチェーンも扱っている。

リアのスプロケは4個のナットとセンターのハブ部のサークリップを外せば簡単に取り外せるが,このデカイサークリップが曲者だった。手持ちのサークリッププライヤではキャパが足りず抜けない。あまり期待せずに近所のコメリに行くが,やはり大きなものはなく,1000円で安物があったので,改造すべく購入。改造したがキャパ云々の前に素材が悪く,簡単に爪が折れた。仕方なく元からあるちょっとしっかりしたプライヤを改造することにした。インナータイプのクリップ抜きの腕を切り取り,支点部の干渉も削ってなんとか使えるようになった。この部分のサークリップ径は56(58)mmあるので,60mm以上対応のプライヤが必要だ。

17丁ー60丁の時はチェーン長が目いっぱいで少し余裕が欲しいと思っていたが,17丁ー58丁に変えた後はちょうど良い張り具合を得られるようになった。ちなみに,チェーン中央部で1〜2cmの上下の振れ幅が取れれば良いとマニュアルにはある。



【Bリアランプ部の交換】



上の写真は,この車体を手に入れた時に付いていたブレーキランプ部。元々は当時ヤマハのTY125用に発売されたサードパーティ製で,オフ遊び時にいちいちランプアッシを外さなくても良いという点で便利で,自分も当時使っていたが,スタイル的にはやはりオリジナルの方が好きだ。

メインになるブラケットは純正ではもはや中古しかなく,当然メッキ部は錆があるものばかり。再メッキにはそこそこの金額が必要になる。今回は一連のパーツを扱っている人が,中国に発注して作った新品である。型にしたブラケットに歪みがあったそうで,若干の歪みがそのまま写されているのはご愛嬌。ブラケットとリアランプ(球付き)で5000円とやはりリーズナブル。ウインカーは元から付いている純正品の程度が良いのでそのまま流用し,ブラケットに組み付ける。



ブラケットから本体部のハーネルまでの配線の長さが変わるので,自作した。アース・左右ウインカー・テールランプ・ブレーキランプの5本のケーブルにギボシを取り付け,ヒシチューブでまとめて配線する。本来この位古い車両になると,ケーブル類はビニール被覆に入っていても酸化してしまうし,ぎぼしやカプラーの接点も酸化しているので,全て作り変えた方が安心だ。また,この時代のこの手のバイクだと,配線は非常に単純なので,作り変えも難しいものではないが,特に不具合がない場合,面倒なのでそのままにしておいた。田舎にいるといろんな配線用ケーブルが簡単には手に入らないというのもある。太さだけでなく,識別用に被覆の色が沢山ないとこういうのは後で面倒になる。今回はちょっと太めのものしかホームセンターで手に入らず,写真のような太さになってしまった。スペースの問題さえなければ,細いよりは太いほうがいいのだが。



【Cミラー取り付け溝の補修】



このバイクは,オフ遊びをする時の為に,電装品が比較的簡単に短時間に取り外せるようになっている。もう一つ,このバックミラーも外す訳だが,嵌め込む時にホルダー側の溝をバカにしてしまうのが常だ。中古で売っているホルダーはほぼ100%と言って良い程,ネジ溝の上部半部以上がネジ山がなくなっている。これはホルダー部がアルミであり,ネジ部に鉄や真鍮を打ち込んでないせいだ。

ということで前回の整備の後で補修しようと6〜7年前に海外製の補修材を購入したのだが,処置はしないままだった。今回使ってみたが,経年変化で変質してしまったのかなんなのか,再生が出来なかった。そこで,フィラー用の瞬間接着剤を使って再生してみた。ミラーはしっかりと固定されているので成功とする。今後はオフ遊びはしないので,頻繁に取り外すこともないだろう。



【Dエンジンオイルの交換】
車両購入時に,前オーナーがオイル交換済みと謳っていたが,今回抜いてみて驚いた。まず,量が半分も入ってない。純正は10W30だが,もうとろけたグリスのようになっている。購入から今回まで1000kmしか走行してないので通常は考えられない。金属片・金属粉はさほど含まれていないようだったが,ちょっと酷い。10年近く放っぽってあったせいだろうか。それにしても量が少なすぎる。キャップも中の金属網のストレーナーもヘドロのようなオイルが詰まっていた。

購入してからエンジンオイルを交換するのは初めてだ。ドレインを外すには24のレンチが必要だが,場所的にメガネレンチでは難しく,レンチを本来の使い方とは違う裏面を使って緩めることになった。あまりキツく締めるところではないので問題なく抜けたが,近いうちにソケットを買っておこうと思う。

使用したオイルはメーカー純正のG1。G1は鉱物油。G2は部分合成油,G3はシンセティックとなっている。シンセティックは粒子が細かく高性能だが,その分,シールからの浸透漏れが生じる。古いバイクには鉱物油の方が良いと思われる。また,メーカー指定では3000km毎の交換となっているが,高回転型の小型エンジンの空冷バイクの場合,価格も安く1Lで済むので,1000kmでも良いように思う。

【Eバッテリーの交換】
当然バッテリーは使用不能だろうから新調する。というか,最後に乗った後,既に外してあった。信頼性がなさそうだが,1000円で通販で買う。液漏れや爆発は困るが,放電量云々や寿命が短い位なら納得の金額だ。コネクター(ギボシ)の付け替えの必要もなく,ヒューズとヒューズボックス付きなので,全く手間がない。ウインカー・ホーン・ブレーキランプとも正常に点灯。

【F燃料パイプとフィルターの交換】
前回の整備の時に,燃料フィルターを取り付けた。今回,取り外したところ,ゴムパイプは弾力を失い,フィルターも硬化し,フィルターの根本が折れてしまった。俺のことだから,1個しか買わないと送料がもったいないと思い,この手の消耗品は2個買ってあるような気がしたので,パーツ箱を調べると案の定発見。パイプの方は元々手持ちがないのでコメリに行ってみた。肉薄の生ゴムパイプとシリコンパイプしかない。シリコンはガソリンには使えない。刈払機用のパイプならコメリでも扱っていると思い売り場に行くと,内径4mm・5mm・6mmと揃っている。純正は内径4.5mmのゴムチューブだが,4mmと5mmを買って帰ったが,5mmのビニールチューブがちょうど良いようだ。フィルターを介してキャブとタンクを繋ぐ。タンク内は上から見える範囲では錆は全く無くピカピカの状態だ。キャブ内のガソリンは,最後に抜いておいたので,今回は分解掃除はせずにそのまま。バイアルスのタンクを車に乗せてスタンドで2L入れてもらい,始動に備える。以上で今回の整備は終わりだ。

【Gシートの補修】

以前,プラスドライバーがシートに落ち,運悪く硬化したシート布に突き刺さった。今回,ホームセンターで長靴補修用の黒いゴム系接着剤を発見した。G17系の接着剤だが,硬化後も柔軟性を保つということで試してみることにした。直径は1cm程度の穴だが,裏に紙状のプラシート(宅配用の梱包袋を利用)を充てて接着,更に表面に充填した。あまり目立たないので一応納得している。ただ,ごく少量しか使わないのに割りと大きなチューブで,1000円近くしたのがちょっとねぇ。あと何かに使えるだろうか。

【整備後の試走】
早速エンジンを掛けてみる。十数回キックした後,始動。その後は毎回キック1発で始動する。気持ちが良い。前回の調整以前に気になったカムチェーンからのノイズは,前回のテンショナー調整によって静かになっていたが,今回もそのまま静かな状態なので再調整の必要はなさそうだ。これでエンジンはOK。

次に,エンジンが始動しないとチェック出来ないライトとテールランプの点灯の確認。良し!アレッ?点かんやんか?!ってことでまた一仕事。



まずは電球をテスターで確認。最後に乗った時には問題なかったので大丈夫だろうと思ったが,やはり上目・下目とも問題はない。次に疑わしいのはギボシとカプラーの接点の接触不良。ライトに拘らず,ギボシを全部清掃。カプラーの接点も磨いておく。そして繋ぎ直してからケーブル部の導通をチェック。問題ない。メインキーの接触が少し悪くなっていたので,WD40で洗う。その後,配線図を見ながら導通チェック。問題なさそうだ。エンジンは始動出来るので問題ないだろうが,念の為ACジェネレーターの導通をチェック。当然問題ない。ついでに整流器(KシリーズではセレンブリッジだがS以降はシリコンになっている。またSb=イーハトーブ以降は点火はCDI)もチェックする。

最後に残ったのは,上目・下目の切り替えスイッチ。なぜここを最後に回したかと言うと,ホーンやウインカーが問題なく作動したからだ。この部分の導通を確認するとNG。スイッチボックスをハンドルから外し,中の接点を耐水サンドペーパーで磨き,カーボングリスを塗って組み戻す。上目・下目切り替えのスライドスイッチノブは,ノブとブラケット部の隙間にマイナスドライバーを突っ込むと抜けた。ついでにウインカーの接点も磨く。こっちはEリングを外したが,なぜか完全に外せなかったので隙間から接点を磨き,やはりカーボングリスを少量付けて終わり。ホーン接点は一番奥で,ウインカースイッチ部を外さないとアクセス出来ないのでやめた。やはり最後のこの部分が犯人だった。接点が復活し,ライトは点灯するようになった。またウインカーの接点も磨いたせいで,明るくかつ点滅も少し早くなったようだ。

TL125sの配線図を表示



いよいよ外に出る。排気漏れが解消し,排気音は独特のパンパン音を伴う心地良い音に戻った。点火時期の狂いのせいもあるのだろうが,このバイクは本当にマフラーから火を吹くバックファイアを伴う。ブレーキもバッチリ効く。前回までとは雲泥の差だ。安心感が違う。また30km/h程しか出してないのではっきりはしないが,ギア比の方も良い雰囲気だ。ギア比の変更で低速トルクが痩せるかと思ったが,そんな気配はない。3速でも急坂とトットコと登って行く。自賠責が切れているので一般道で高速で走るのは数日後になるが,どのような巡航が出来るのか楽しみだ。

これでめでたく整備完了かと思いきや,試走で速度を確認しようと思ったところメーターが動いてないではないか!!?また一仕事増えるorz 例によってチェック開始。前回まではきちんと作動していたので,大体の予想はつくが,とりあえずケーブルを外し,ケーブル自体を確認。当然問題ない。動かさずに置いておくとメーター自体が壊れてしまう,なんて訳もないが,ケーブルを突っ込んで,反対側を電ドラで回すとちゃんと動く。最高時速80kmをマークw となくとハブ側のスピードメーターギア辺りに問題があるはずだ。前輪を浮かせて回すと一応出力ピンは廻っている。が,ケーブルとメーターを繋ぐと動かない。ますます内部が怪しいので前輪をもう一度外し,ギア部を見ると,ありゃまの組み付けミス。ハブ側に2個の孔があり,そこにギアハウジングから出ている爪を嵌め込むのが正しいのだが,位置があっておらず,爪が半分潰れていた。実は,シューを交換して前輪をフォークに組み付ける時に収まりが悪く,アクスルボルトを締める際にもフニャリとした妙な感覚があった。あのフニャリは爪が曲がる感覚だったのだな。妙な感じを自覚した時には確認するべきだった。


上の写真は危うく壊してしまいそうだったスピードメーターギア部。上がブレーキパネル側で,下はハブ側。ハブのホゾ穴にギアプレートの裏面の爪が嵌る。爪付いたプレートは外れるので,そのプレートだけをハブ側のホゾに先に嵌めこんでから,ブレーキパネルを組み込むのが正しい手順。ついうっかりテキトーにブレーキパネルを嵌めた(爪がホゾに入ってない)状態でフォークに組戻したので,爪が曲がったorz 外してよく観察すると,少し削れていたが,修正したら問題なく使える様子だったので修正し,今度はきちんと組み付けた。前輪を上げて手で回すとメーターが動いた。最高時速10kmをマークw 

前輪を上げたついでに前回気になった前輪の振れを取ることにした。先般購入したニップルレンチで振れを取る。スポーク組みやフレ取りは,昔,自転車で散々経験しているので特に問題なく行える。本来はタイヤを外して振れ取り専用の台に乗せて行うのだが,車輪をフォークに付けたままフォークにダンボールの切れ端で接触スケールを付け,大体の振れを取る。縦振れはあまりないので問題ない。前よりかなり良くなった。



自賠責を取ってから,最終的なチェックをしようと思っているが恐らくもう問題は無いだろう。不安があるとすれば,マフラーの排気漏れだがテスト走行では気になることはなかったので大丈夫に違いない。後は走行フィーリングがどうなっているか楽しみだ。

ということで,早速,自賠責を購入。ネット通販で購入しようかと思ったが,正月ということもあって,書類が届くのに2週間近く掛かるとの表示だったので,郵便局で加入。手馴れていないせいか,20分以上待たされた。今はコンビニでも購入出来るが,やはり街場のバイク屋が一番短時間で終了するようだ。5年契約で17330円。以前より大分高くなったな。

早速家に帰り,書類をバイクに突っ込んで,シールを貼って,バイクを引っ張りだした。今日もキック1発。取り敢えずガソリンを入れに行ったが,昨日と併せて5.5L入ったことになる。バイアルスのタンクって4.0L,予備も入れて4.5Lじゃなかったけ?

隣町の友達の家まで約20km走る。峠の登り坂でも5速で快調に登って行く。が,確かに皆さんお勧めの16丁+58丁の方がいいような感じもする。50kmから60km位が一番フィーリングが良いが,70・80kmでの巡航でも特に無理がある感じはしないので上等である。一方,走る前から思っていたことなのだが,タイヤのグリップが悪い。35年も前のタイヤなんだから当然だろう。昨日うちに既にポッチたので数日の内に届くようだ。交換したらまた記載するが,最近はオン・オフ共用パターンというのがあるので,それにした。アスファルトメインで,荒れてない林道程度なら大丈夫という代物。知らないメーカーだったが,井上ゴム(IRC)製のGP−210である。本来のタイヤサイズは,フロント2.75-21(リムサイズ1.4),リア4.00-18(リムサイズ2.15)だが,リアはこのパターンのタイアは4.10-18しかない。適応リムサイズが1.85〜2.50なので問題無いだろう。一方,スイングアームへの干渉だが,トレッド幅が0.1インチ(2.5mm)広いだけなので問題無いだろう。ネットで情報をググれば適合が出てきそうだけど面倒なのでぱっとポチってしまった。続きは換装後に。