Hansa-Brandenburg W12
● ハンザ・ブランデンブルグ W12  Hansa-Brandenburg W12 ●
実機について
独特の翼間支柱形状にちなみ「蜘蛛」という愛称で呼ばれたエルンスト・ハインケル(Ernst Heinkel)設計のオーストリア・ハンガリー帝国製の機体であるハンザ・ブランデンブルクD.Iというのがある。その水上機バージョンであるハンザ・ブランデンブルクKDW(Kampf Doppeldecker Wasser)をベースに設計された機体が,ハンザ・ブランデンブルクW12(Hansa-Brandenburg)である。

【KDW】


【Kamel】


【W12 Early type】


フロートの取り付けは,「蜘蛛」で試された翼断面の支柱の配置を応用することで充分な強度が得られたので,張り線を減らすことに成功している。単座戦闘機であったKDWを,運動性と長距離飛行を念頭に複座に改良し,後部銃座の照準を妨げないように垂直尾翼を廃し,ラダーを下に取り付けた。高さがある独特の胴体後部の形状は垂直尾翼の役割をも果たしたと想像出来る。

1916年10月に最初のプロトタイプが完成したが,ダイムラー・メルセデスのエンジンを搭載した6機目までが,その丸みをノーズカウルが丸みを帯びた形状から「kamel(ラクダ)」と称された。ラジエターは上翼前部におかれていた。また,最初の10機の量産型以降は,エンジンがベンツに替り,車のようなラジエターをエンジン前方に持つようになった。

1917年7月にはベンツBz.IIIエンジンを搭載した量産機が,主に西部戦線の海軍基地に配備され,製造機数こそ少ないものの,英国の飛行船C.27を撃墜するなどの戦果も上げている。大戦直後の1919年にはオランダがライセンスを購入後,1933年までオランダ海軍で使用された。

その後,W12は,そっくりな形状を受け継いだW29に発展する。。


主な緒元
・全長:8.69m
・翼幅:12.2m
・最大重量:1,230kg
・エンジン:Benz Bz.III 水冷直列6気筒 150馬力
・武装:Spandau LMG 7.92mm×1〜2, Parabellum LMG14 7.92mm×1
・最高速:156km/h
・実用最大高度:5000m
・製造機数:1916年10月から1918年初めまでに初期型(本モデル)36機,後期型110機


キットについて
ウイングナット・ウイングズ

エンジンはベンツの150馬力のBz.IIIであるが,このランナーのみが別インジェクションであり,東欧(或いは中国)辺りの安い工場で製造したものらしい。WNWに有るまじき酷いものだ。合いも劣り,パーティングラインのズレとヒケが酷い。こんなもん出してたら売れなくなるよ。想像だが,他の部分は以前にクオリティの高い工場で製造してあって,供用出来るエンジン部だけ大量に別工場で製造したものと思える。


制作について  (制作2015年5月)
この機体は海軍機であるので,正六角形の4色ローゼンジが標準となるが,ローゼンジばかりでは面白くないので「生地」状態に仕上げた。木目の胴体と漂白生成りの布である。実在したものではないので,国籍マーク以外の機番は入れなかった。

木目表現は毎度のことなのでなんということもないが,それでもフロートの底面は大きく他の場所と異なるように仕上げた。また木目でも場所によってやや雰囲気を変えてみた。設定としてはファルツD3などと同じ1枚シートの合板である。合板のセミモノコックでも,アルバトロスD5のようにタイル上の小さな板を貼りあわせたものもあるし,ローラントD6のように単板の看板張り(ビアダル状)のものもある。

あれこれ思案し,試行錯誤を楽しめたのが翼だ。前にも光の抜け表現に挑戦したが,その時は英国機だったので,上面がオリーブドラブ系であり,裏抜けがあまりうまく描けなかった。今回は,漂白生成りということで,リブ間の透明感と裏抜けの表現がポイントとなった。

ある程度まで満足出来るところに至るまで,塗ってはシンナーで全部落としてやり直しを何度か繰り返し,取り敢えず打ち切っても良いだろうという状態になった。が,まだまだ楽しむ余地はありそうだ。

具体的には2点ある。ひとつは艶の違い。上翼上面は通常は半つや消しにするが,今回は艶あり。上翼下面は半つや消し,下翼上面も半つや消し,下翼下面はつや消し。これは艶の違いでも光の感じを変えられるのではないかと考えたからだ。

もう1つは色合い。空気や水といった透明なモノを平面上にどうすれば表現出来るのか。ジオラマのような立体的な水なら手もあるが,光が透過する上面と下面の布の間の空気をどうするか。単純に考えると白っぽい明るい色が良いだろう,と短絡的な発想が生まれるが,当然,そんなに単純なものではない。結論としてはグレーにすることで取り敢えずの満足を得たが,グレーの明度具合は廻りの色との兼ね合いで難しい。歳を取って眼がトロくなって来ると,いわゆる老眼で遠近調整が出来なくなるだけではなく,彩度の階調や明度の階調が判りにくくなる。更にはスパーなどの直線を出すのにマスキングをしてしまうと,塗りながらそれらを確認することが出来ず,それが大変であった。

後は,国籍マークやリブやスパーの構造的順序を考えながら陰のトーンや付け方を考えてそれらしくする。上翼の下面には空からの直射日光を受けて強めに現れた国籍マークやスパーの陰を描き,下翼の上面には,地面(水面)からの反射光の通した国籍マークとその周りの白枠を濃さを変えて極薄く描いてある。写真ではかなり判り難いていどの差に仕上げるのはこれまたトロイ眼には至難の業であった。実物はなかなか雰囲気よく仕上がっている。

ということで,今回は木目三昧と光と陰を楽しむ制作になった。最近の傾向は何か壁にぶつかると直ぐにノウハウ本を買ったり,ググってなんとかしようという人が多いが,模型というのは,自分であれやこれや試行錯誤して,作を重ねるごとに自分でも納得が行き,人がみて感心するものになるのだと思う。その過程を楽しむのが模型作りであり,初めから出来の良い物が欲しいならプロの作を買えばよい。


 ギャラリー1

 ギャラリー2

 ギャラリー3

 ギャラリー4

 ギャラリー5

 ギャラリー6


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