DH.2
● デ・ハビランドDH.2 AMC DH.2 ●
実機について
名前が複雑だ。「デ・ハビランドDH.2」・「エアコDH.2」,「AMC DH2」などがあるが同じものである。

ここで,設計者のデ・ハビランドについて,少々,仕事の経緯をまとめておく。デ・ハビランド(Geoffrey de Havilland)は,言うまでもなく英国の航空機設計者として,1次大戦・2次大戦,更にはそれ以降も重要な役割を果たした人物である。戦前,RAF(王立航空工廠)で多くの航空機を設計した彼は,開戦の年にはRAFを退き,Aircraft Manufacturing Company(「AMC」とも「Airco」とも略される)で設計を始めるようになる。

AMCでの最初の設計になる「DH.1」は,RAFで設計した「FE.2」に類似したプッシャーの複座機であったが,ベアード・モアのエンジン(120Hp)の供給が間に合わず,ルノー空冷V8(70Hp)が搭載された。その後,AMC社は新鋭の機体の設計に専念すべく,「DH.1」の製造は,サヴェージズ・オブ・キングズ・リン社に移った。1915年初めに完成した「DH.1」はすぐに運用も開始され,約170機が製造されたが,大きな戦果は上げておらず,主に練習機や本土防空の任についた。

当時,フォッカー・アインデッカーが握っていた制空権を奪還すべく,デ・ハビランドは,後継機となる「DH.2」をまもなく設計・製造することになる。今回の機体がそのである。「FE.2」や「DH.1」を相似形に小さくしたような機体ではあるが,複座から単座へと変更され,生粋の空戦用戦闘機として開発された。エンジンは,グノーム・モノスパッペ100Hpで,後期型の一部にはル・ローヌ110Hpが搭載された。450機程が製造された。

ロータリー・エンジン搭載には共通であったと思える挙動や,ファルマンタイプの機体の剛性の低さからくる癖などがあったが,操縦に慣れたパイロットにとっては機動性が高かったようだ。エルロンを持たない捻り翼機と比べれば操縦の信頼性は高かったに違いない。

苦しめられていたアインデッカーを蹴散らし,「フォッカーの懲罰」を収束させた要因のひとつとなった「DH.2」であったが,翌16年春には旧式化は否めなくなり,徐々に第一線を退き,1917年半ばには「DH.5」へと引き継がれたが,その後も練習機として使用され続けた。

ドイツ初期のエースであるオズワルト・ベルケは,この「DH.2」との空戦中に,エルビン・ベーメが操縦する自軍機と空中衝突し,戦死している。

緒元等
翼長:8.61m
全長:7.7m
空虚重量:428kg
最大重量:650kg
最高速度:150km/h
最高高度:4270km/h
上昇率:1500m/25mins
火器:Lewis .303 7.7mm×1
発動機:Gnome Monosupape 100Hp,(後期型一部は Le Rhone 9J 110hp)



キットについて
ウイングナット・ウイングズ

久長らく予告されていた新キットである。歴史的に関係深い「フォッカー・アインデッカー」との抱き合わせキットとなっており,デカールを1種に絞り,箱も1個に節約したせいか,別々に買うより10ドルばかり安い。

前にも書いたように記憶しているが,初期シリーズと比べると,後期シリーズのキットになるほど,品質が落ちているように思える。まず,ヒケがあるパーツが多くはないが存在する。またパーティングラインが後処理出来ないような部分に配されている。特に,エンジンを前後2パーツに分けられると,接着後にフィンの部分の処理が出来なくなる。全く修正が不要な完璧な2パーツならそれでもよいが,実際はそうでもない。アカデミーやホビークラフトのキット程のではないにせよ,ずれは若干ある訳で,非常に困るのである。初期の頃の3Dデザイナーの再登用を希望する。また,テールブームと水平尾翼の取り付け方など,ちょっと無理がある。大きく重いキットでは強度も考慮して欲しいものである。


制作について  (制作2012年小雪)
というようなことで,エンジン部に苦労した。「FE.2b」の時のベアード・モアの水冷エンジンとは異なり,非常に単純な構造だけに不具合が目立ってしまう。嘆いてばかりいても完成しないので,なんとか鑑賞に耐えるようにするしかないのである。

今回気に入ったのは,上翼上面の補助燃料タンクの油面ゲージである。わざわざ透明パーツを採用しているところはウイングナットらしい。コクピット内部も単座の割りにはかなりゴチャゴチャとしていて良い。エンジン部がすっきりしているので,やはり「FE.2b」と比較すると迫力には掛けるが,かなり良い模型であると思う。

リギングは,「FE.2b」と比較すると,翼間支柱の数が異なるので一見少なそうだが,実は「FE.2b」よりも複雑で多いとも言える。

塗装は。「DH.2」の個人的イメージから胴体の一部をグレー系で仕上げたが,グリーン系だとまた雰囲気が変わっただろう。

日本では,2次大戦機は今更言うまでもないが,元々馴染みのない1次大戦機でさえ,英国機やフランス機は殆ど興味が示されず,相も変わらずドイツ機だけが人気であるようだ。この時期の機体の模型としては,英国機が数倍面白い。もちろん,ある程度の機体への知識と複葉機制作のノウハウは必要だが,誰でも最初は知識もなく,経験もないのである。航空機モデラーなら死ぬまでに一度は,「FE.2b」や「DH.2」に挑戦しても良いのではないかと思う。実に模型冥利に尽きる面白い時間を過ごせることだろう。



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