Fokker Dr.I ● フォッカー Dr.I Fokker ●

実機について
第1次大戦機の素人さんでもレッドバロンくらいは知っているだろう。実用化された三葉機としては珍しい(唯一?)のフォッカーDr1だが,今回は真っ赤なリヒトホーヘン機ではない。ペーター・ヤコプスの搭乗機だ。彼が少尉時代, Jasta7の指揮官として搭乗していた470/17シリアルの機体で,その時このように塗装されたらしい。ベルギーのメナン飛行場に所属していた。
1917年に初飛行をした機体で,当時は三葉機が欧州では流行していたらしい。元々は英国のソッピース・トライプレーンに触発されて開発されたようだが,その総生産数は320機ほどにとどまった。外見通り運動性の高い機体で,着陸の際の機首上げ時に尾翼が失速し易い特性があり事故も多かった。また飛行中の視界の悪さと運動性と引き換えの復元性の低さは欠点と言える。
本来,多葉機はそれぞれの翼の干渉を避けるために薄翼にするが,この機体はかなりの翼厚を持つ。メイン・スパー部をボックス構造にし,完全片持ち構造にすることでその強度は他の機体よりも高かったようだ。翼端支柱は強度的には不要だったようだが,パイロットの心理を考慮し取り付けたという話は有名だ。

元々Dr1には,スウェーデン製のル・ローン110馬力エンジンが搭載されていたが,やがてライセンス製造のオーバー・ウーゼル社のURIIが用いられたが,当時のドイツの航空機技術はフランスやイギリスには到底及ばないもので,このエンジンもトラブルが多く,パイロットには不評であった。 そこでヤコプスは捕獲したキャメルのクレルジェエンジンに換装していた。当然ではあるが,捕獲機のパーツの流用は珍しいことではなかったようだ。当時の空冷エンジンはフランスを原型とするOEMが殆どで,ドイツはもとよりイギリスでもライセンス製造によるエンジンを使用していた。


主な緒元
・全長:5.77m
・翼幅:7.18m
・空虚重量:586kg
・エンジン:クレルジェ 110馬力
・武装:Spandau LMG08/15 2門
・最高速:165km/h
・航続時間:1.5h


キットについて
ローデン Roden

久々のローデンのキットだ。1/32では初めてだ。これまで暫くの間ウイングナットの良質キットばかり作って来たので,気持ちを切り替えないといけない。1/72ほどではないが,やはり不都合な部分は少なくはない。カウリング正面のモールドが全く施されていないので,段付けとリベット打ちを行う。この会社の1/72キットによく見られるヒケは幸いないようだ。また初期のローデン程の合いの悪さもない。とは言え,全体的にはシャープな感じは受けない。

またシュパンダウ機銃もソリッドのみで,シートベルトも含めエッチングは全く付属していない。この点が最大の欠点かも知れない。またこの制作機のデザインのデカールは付属しているが,メーターパネルのデカールはない。使用していないので本当のところはわからないが,デカール自体の質はそれ程悪くはなさそうだが,国内価格は5千円前後と安くはない。この内容だともう2~3割り安いのが妥当かも知れない。


制作について  (制作2010年白露)
1917年,Jasta 7 所属, Josef Karl Peter Jacobs搭乗, 識別番号:450/17

先ず,モールドが一切ないカウリング部を改造。正面の段を付け,その周りにリベットを打つ。エンジンをクレルジェに変更する為に,他社のキャメルのキットからエンジンを転用。ただし,そのキットは出来が悪いので,クランクケースとシリンダーのみを使い,クランクケースの一部を修正後,ヘッドやロッドやプラグやコードを自作して取り付けた。またプロペラもAD705かLP2850が装着されたいたようなので,それもキャメルから転用した。

このキットで一番いただけないのはエッチング・パーツが全く付いていないことだ。シュパンダウ銃はソリッドのものと細い銃身のみの2種類が付属している。やはりシートベルトと機銃の放熱筒は必須だ。特にこの機体は張り線が少なく,エンジンの露出度も低いので,他社から出ているものを購入して使用した。

翼や胴体のファブリック感のモールドが不十分なので,強めのつや消し塗装で再現することにした。鋼管部の凹み(本来は凸?)はなんとなくあるのでまぁまぁ。上手くやれば全体的に殆どパテを使わずに完成出来る。

コンパス以外の計器類は全く付属していないので,操縦席正面の3個を自作。これは1個しかない機体もあるようだ。それに伴い計器パネルのデカールも自作した。ウイングナットのものが余っていれば流用できたが,なかったのでコピーしデカールシートに印刷して自作することになってしまった。

張線が少ないと確かに制作は楽だが,やはり完成後物足りなさがある。たまにはいいか。胴体のイラストは諸説あって,口から炎を吐く悪魔と言われたり,北風の神と言われたりもしている。はっきりした画質の写真は発見されていないようだ。男の老人の顔との説が強いが,付属のデカールでは青年(女神っぽくもある)風だったので,そのままのイメージで描いた。

特徴的な白縁の広いバルケンクロイツは下翼の上下両面にあるが,まぁ,2個増えてもどうということはない。それよりも,このつや消しの黒というのは扱いにくい。当然ながら粒子が粗いので埃が付き易い。塗り込みはないが,換装した後にすぐに付く。お陰で写真にも少なからず写りこんでしまっている。メタルカラーの擦れ落ちもすぐに移ってしまうし本当に気を使う。

また,撮影時にも黒は潰れ易く,白は飛んでしまうので難しい。撮影した写真を見て気付いたのだが,上翼から胴体の機銃付近に張られているエルロンの操縦索4本を付け忘れていたので,後から追加したが,面倒なので写真は取撮り直していない。この4本があるだけでも見た目が随分と締まる。


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 ギャラリー1

 ギャラリー2

 ギャラリー3

 ギャラリー4

 



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