Roland D.VIa ● ローラント D.6a  Roland D.VIa (ウイングナット・ウイングス) ●
実機について
LFG=Luft Fahrzeug Gesellschaft(航空機会社)製の単座戦闘機で,エレベーターの形状の異なる「a」型と「b」とがある。1917年10月にプロトタイプが作られた後,1918年2月から半ばに掛けての短い期間に,前者は152機,後者は201機だけ製造された。

当社は「LVG=Luft Verkehrs Gesellschaft(航空運輸会社)」との混同を避ける為に,のちに「Roland(ローラント)」と社名を変更している。ローラント社は,1916年に開発した「C.II Walfisch(鯨)」というダイムラー・メルセデスD.IIIエンジンを搭載さいた複座の偵察機で成功を収めたいた。C.IIは当時の単座戦闘機よりも優れた性能を誇っていた。その後同社は,単座戦闘機である「D.I~III」を開発したが,ぱっとしないアーガスエンジンのお陰で,それらは日の目を見る事がなかった。

Idflieg =Inspektion der Fliegertruppen(ドイツ航空機検査団体)は,ローラントD.IIIの採用・製造を見合わせていた。一方,ローラントC.IIの成功やD.IIIの失敗から多くを学んだファルツ社は,自社のファルツD.IIIにダイムラ・メルセデスのD.IIIエンジンを搭載することで成功を収めるに至った。ファルツD.IIIとこのローラントD.VIとの形状が非常に似ているのはこのあたりにある。両機の形状は似てはいるが,ファルツの方は合板のパネル張りの胴体であるのに対し,このローラントは幅の細い合板を甲板張りした構造となっている。これがローラントD.VIの最大の外見的特徴と言えるだろう。まさにビア樽を横にしたような胴体である。

それ以外にもこの機体には面白い点が多い。例えば,下翼は胴体から離れて取り付けられているが,接合部の乱流を避けるためだったのだろうか。英国機のブリストル・ファイターなども胴体から離して下翼が取り付けられている。また,エルロンのコントロールホーンが上翼の中央後縁部に裸で取り付けられており,コントロールケーブルも胴体下部に外を通ってリンケージされている。さらにはその露出部にテンション調整用のターンバックルが介されている点も特徴のひとつだ。
これらの点で模型としては非常に面白い要素を持つ機体である。


主な緒元
・全長:6.4m
・翼幅:9.4m
・最大重量:845kg
・エンジン:ダイムラー・メルセデス D.III 160馬力/D.IIIau 200馬力 6気筒液冷エンジン
・武装:シュパンダウ LMG08/15 7.92 mm 2門
・最高速:190km/h
・実用上昇限度: 5,800m


キットについて
ウイングナット・ウイングズ 1/32


制作について  (制作2010年大暑)
1918年,個体番号:3615/18

この機体は,昨年フライ製の1/48の新キットを制作している。今回はウイングナットのキットということで,制作そのものの苦労は少ない。その分,ディテールアップに時間を割けるのは有難い。

1作では胴体の甲板張りを強調する為に,マーキングの地味な機体を選んだ。

ダイムラー・メルセデスやベンツのエンジンに関しては,ウイングナットのキットの場合,すべて同じレベルでディテールアップしているので,要領はつかめている。今回も特に問題はない。また,エンジンや細部に関してはあまり史実に拘ることはしないたちで,特に同系機を複数作る場合にはなるべく違ったように仕上げたい。今回は160馬力エンジンで再現した。

今回はエルロンリンケージのターンバックルは省略した。ローゼンジーの塗りは若干のズレがあるが,このズレは全体像を眺めた場合には,さほど気になることはないと確信している。近くで見るとズレはズレではあるのだが。

それ以上に,艶具合が大きく影響することを再確認した。今回はあまり艶を気にせずに終えたが,結果,やや単調になってしまっている。また,胴体の木目も控えめを意識したのだが,ちょっと控えすぎたようだ。折角の渡り廊下はもっと木目を強調したほうが面白かったかも知れない。


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ギャラリー1
ギャラリー2
ギャラリー3
ギャラリー4
ギャラリー5

 



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