● RAF(Vickers) SE.5a Hisso ●
実機について
英国の一次大戦機を代表する一機で,ビッカース社とRAFで製造された。RAFとは「Royal Air Force(英国空軍)」ではなく「Royal Aircraft Factory(英国飛行機製造所=王立航空工廠」の略で,第二次大戦時の日本の空技廠のような存在だ。

機名のSE.5は「Scout Experimental 5」の略で,「第5試作偵察機」といった意味になる。後の「a」はマイナーチェンジの型名で,実験機的存在の「SE.5b」も1機のみ存在する。「Hisso」はスペイン(後にフランスに移転)のエンジンメーカーである「Hispano-Suiza(イスパノ・スイサ社)」のエンジン名称(またはメーカー愛称)で,元々は自動車会社として自社ブランドの自動車も多く生産して来ているが,戦時中は航空機エンジンも製造,現在もサフラン社として自動車を製造している。

1916年秋に登場した「SE.5」には150馬力のV8エンジンが搭載されていたが,77機生産された後,翌年にはに200馬力にパワーアップされたエンジン搭載の「SE.5a」が登場することになる。イスパノエンジンの不調と生産量不足から,ウォズリー・モーターが改造を加えたライセンス生産でエンジンを提供するようになる。

ソッピース系のロータリーエンジンを積んだ丸い胴体の前部の形状と異なり,木の箱にエンジンを積んだような無骨な四角い胴体が特徴だ。


主な緒元
・全長:6.37m
・翼幅:8.1m
・最大重量:929kg
・エンジン:イスパノ・スイサ 200馬力(SE.5=150馬力) V型8気筒液冷エンジン またはライセンス製造による Wolseley Viper製
・武装:翼上 Lewis.303(7.7mm) gun,胴体 Vickers .303(7.7mm) 各1門
・最高速:195km/h(4572m)
・生産数:5225機(5265機説もあり)全タイプ7社合算(オースチン・モーターズ,エア・ナビゲーション&エンジニアリング,マーチンサイド,RAF,ビッカース,ウォルズリー・モーター,カーチス)



キットについて
ウイングナット・ウイングズ  (制作2010年夏至)

前作のアルバトロスD5はキット第2弾シリーズであるが,こちらは第1弾のシリーズ。このメーカーのキットは,資料・キットの出来など他社の複葉機キットとは一線を画する。模型は作るが,複葉機は初めてという人には大きい分作り易いし,複葉機で一番面倒なリギングを省略した素組みでも見栄えがするので,入門用としてもいいかも知れない。

また,付属のデカールも出来はよいので楽だろう。ただし,計器類やステンシルのような極小なものしか使っていないので大きなマークはどうかわからないが,糊の付きが悪いように思えるので,デカール・フィルムやクリアーで押さえておいたほうがいいかも知れない。


制作について
実機にはRAFの機体とビッカースの機体があるが,今回制作したモデルはビッカース社製の機体である。しかしながら,マーキングや一部の細かい装備に差異があるだけで,RAFの機体と同一であることは言うまでもない。ドイツ機の直列のダイムラー・メルセデス・エンジンに比べ,V8のイスパノ・スイサ・エンジンは洗練されているが,その分模型となるとあっさりし過ぎている感がある。これはドイツ機が翼前縁辺りからエンジンが埋まっているのに対し,短いエンジンのV8は胴体先端にちょこっと乗っているという感じで,エンジンの後側の空間が模型的にはちょっと間抜けな感じだ。

コクピット内部のメーター類も,ドイツ機のそれと比べるとあっさりしている。付属のデカールは小さいものでも再現性がいいので,メーターパネルのみデカールを採用した。勿論,クリアを厚めに塗ってオーバーコートしている。

外部の仕上げに関しては,胴体は鋼管と木枠に布張りなので,コクピット内側の左右は生成りに仕上げる。補強の鋼線はモールドされているが,一度削り取って,布から浮かせた状態で作り直してもいいが,英国機にはあまり思いいれがないのでそのままにした。

これもドイツ機との比較になるが,英国機は殆どすべてがオリーブ・ドラブ系と生成り色なので面白みがない。いかにも戦争の道具という感じだ。一方でこの3色の円の国籍マークが思った以上に面倒だ。スワスチカも白枠があるものは大変だが,英国マークも楽ではない。カンガルーのイラストがついた機体を選んだが,実はこの機体には4ケツのプロペラではなく,2ケツだったらしいが,無骨な英国機にはやはり4ケツが似合う。

派手な塗装もないので,オリーブ・ドラブの中で目立つ翼間支柱の木質感とプロペラの木質感にこだわって塗装した。なかなか満足のいく結果になった。

一番手間と時間が掛かり,かつ今後の課題として残ったのは,英国機特有のリギングだ。2重ワイヤーは手間なだけで,特に問題はないのだが,長楕円断面を持つRAF製のワイヤーを作るのが難しい。均一の幅を得るのがかなり大変で,かつ,小さいほうの径が,真円よりも細くなるので切れ易い。

今回,色々と試してなんとなくコツがつかめた気がするので,次回にブリストルF.2を制作する折には,もっと再限性の高いワイヤー張りが出来ると思っている。取り付けはリングを使用,真円の場合には撚り合わせることでターンバックル部はの太さを再現したが,長楕円の場合にはそれが出来ず,折り返すことで太さを変えてみた。折り切れずに輪っかになっているところもある。

それでも完成後は,複雑で多数のリギングが模型の見た目をワクワクするものにしてくれているので,まぁ,成功というところか。操縦索には少し細めの真円線を使った。

また,ジオラマ展示を除いては,飛行機に汚しを入れるのは嫌いなので,殆どロールアウト時のイメージの綺麗な機体に仕上げるのだが,今回は,キットに胴体が2種類入っていたので,面白い方を採用した。実機の多くは飛行を重ねると負荷や湿度のせいで胴体の布にしわがよることが多かったようで,それを再現した胴体とノーマルな状態のものとが1個ずつ入っている。本来ロールアウト時にはこれほどのしわが入っているとは思えないが,折角なので,綺麗な機体なのにしわ入りで仕上げた。これがなかなかリアルでいい。

ギャラリー1

ギャラリー2

ギャラリー3

ギャラリー4
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