F.2b ● ブリストル・ファイターF2b Bristol-Fighter F2b (ウイングナット・ウイングズ) ● 

実機について
英国ブリストル飛行機会社が陸軍用に開発した機体で,日本では一般に「ブリストル・ファイター」と呼ばれることが多いが,本国では「ブリスフィット」とか「ビフ」と呼称されることもある。初期のF2a型は1916年春に制作されたが,わずか50機余でF2bに移行することになる。

同年秋に改修が完了し,翌年には実戦配備され,1919年まで生産されたが,1930年代の退役までの長きに渡って使用された。その総生産数は5300機を上回る。基本的にロールス・ロイスのファルコンエンジンを搭載していたが,初期のI型では出力は190hp,II型では220hp,III型では275hpまでパワーアップされていった。このV12気筒エンジンは現在のレーシングカーをも彷彿とさせる頼もしい形状だ。しかし,ロールス・ロイスのエンジンは生産量が追いつかず,サンビーム・アラブやイスパノ・スイサ,Raf4dや,星型のローターリーエンジン等もも試みられたが,実際にはそれらのエンジンでの量産は行われなかったらしい。

・性能諸元
・乗員: 2名(パイロット、観測員)
・全長: 7.85m
・全幅: 11.96m
・全高: 2.97m
・空虚重量:975 kg
・離陸最大重量:1,070kg
・エンジン: ロールス・ロイス ファルコン III 水冷V型 12気筒 275hp
・最大速度: 182 km/h
・上昇限度: 5,500 m
・上昇率: 4.5 m/秒
・武装: 7.7mm ビッカース機銃(胴体上部・前方固定)×1 および 7.7 mm ルイス機銃(後方旋回) ×1 または 2
・爆装: 25lb(11kg)を4ないし8個,112lb(50kg)1個の,合計138 kgまで搭載可能


キットについて
ウイングナット・ウイングズ

ウイングナットの第1シリーズとして発売されたキットだ。組立図の最後をよく見ると,3Dデザイナーは機体毎に異なっているようだ。人によってキットの抜けのよさなどが異なることがあるのだろうか。実際,初期シリーズのアルバトロスが,部品の合いやバリの少なさでは一番優れていたようで,第2シリーズのRE8と比べるとこのブリストルの方が出来が良いように思える。とは言え,その差はあるレベル以上での話であり,問題となるレベルでは全くない。どのキットも快適に作り進めることが出来る。

相変わらずデカールも多く付属しているし,ホームページ上では当時の写真や現在の復元機の詳細な写真が提供されているので,手の加え方をいい加減にしておかないと際限がなくなる。

これらのメーカーのキットは一度の射出分の数の販売が終了してしまえば,当分,いや恐らくは永久に絶版となってしまうだろうから,必要な場合には今のうち購入しておく方がいいだろう。


制作について  (制作2011年大寒)
イギリス機というのは,どの機体も上面がオーリブ・グリーン(オリーブ・ドラブ)系,下面は生成りのままで多少マスコットマークのようなものが入ったものがある程度で,その面白さはドイツ機には到底及ばない。反面,コクピット内部のメーター類や装備,エンジン廻りのゴチャゴチャ感は質実剛健なドイツ機比べ,模型制作に当たっては,遥かに心を振るわせるものがある。

この機体もエンジン廻りには多数のパーツを自作追加してあるし,主輪カバー内に覗くスポークをモールドで済ませずに追加したり,尾ソリのショックアブソーバーを作り直したり,ラジエターのシャッター作動ようリンケージを追加したりと結構な時間と手間を掛けた。勿論内部の骨格(胴枠)の補強ワイヤーなども追加してある。複座のせいで,完成後もコクピット内部が結構見えるようになっているので,手の入れ甲斐はある。

張線に関しては,ドイツの単座機なら半日で完了するが,英国機は2重線の部分もある上に,この機体はなんやらあちこちに露出していて予想したより遥かに大変だった。張線前に取り付けるべき小パーツを付け忘れていたり,完成間際に追加工作などを施したせいもあって,張線完了に3日を費やしてしまった。が非常に楽しい時間を持て,達成感や満足感は充分だ。

今回は文字描き込みにあまり無理をせず,大きな文字(胴体中央部の4~5行のもの)までとし,その上の2行や尾ソリ部の矢印,動翼のステンシルはデカールにした。とは言え,2行や矢印はなんとか出来ても,元々ステンシルは数も16枚と多い上に小さすぎて筆では文字にはならないだろう。

機体は当時統治下にあったインドのマハラジャから寄贈された機体で,夜戦仕様となっている。両下翼端近くのライトは恐らくは離着陸用だったのだろうと思うが,なんとも頼りないものである。本機には25ポンド爆弾を左右翼に4個ずつの計8個を抱かせてみた。

なかなか見ごたえのある模型に仕上がった。いずれはエアロクラブのFE2bを作ろうと思っているが,あの張線の多さは今回の比ではない訳で,生きているうちに完成するか疑問だ。



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