● ソッピース・パップ (海軍航空隊仕様) Sopwith-Pup RNAS ●
実機について
正式名はソッピース・スカウト(偵察機)であるが,パイロット達は仔犬という意味の「パップ」と呼んだ。その名は,当時の複座のソッピース11/2ストラッターの大きさと比べそのサイズの小ささによる。その後,ソッピース社の機体には動物の愛称がつけらるようになった。

2次大戦機の「ハリケーン」で有名な「ホーカー」が所有していたグノーム50hpエンジン搭載の「SL-TBP」機をベースに,ソッピース社が開発した機体で,基本的に80hpエンジン(ルローヌ・グノーム・クレルジェなど)を搭載していたが,本土防空用の機体には100hpエンジン(グノームのモノスーパッペ)が搭載されていた。機体生産数は,ソッピース社が96機,スタンダード・モーター社が850機,ホワイトヘッド・エアクラフト社が820機,ウイリアム・ビアドモア社が30期を生産している。

パップにはRFC(帝国陸軍航空隊)仕様とRNAS(帝国海軍航空隊)仕様とがあり,若干の違いがあるが基本的には同じ機体だ。また,航行中のフューリアス号に着艦したことで,史上初の艦上機となる。1917年8月のことだ。これ以降,空母の開発が進み,着艦時のフックや引っ掛けワイヤーなどが考案されることとなる。パップの優れた飛行性能ゆえに,高等練習機や上級仕官の個人用機としても使われていた。

同盟国各国で運用されていたが,日本にも1917年中に輸入されており,1919年には50機が「ソ式3型」として海軍に制式採用されている。後には,山城や伊勢・扶桑などの砲塔に備え付けられたカタパルト上に搭載されることになる。

緒元等
翼長:8.07m
全長:5.89m
空虚重量:358kg
最大重量:555kg
最高速度:169km/h
火器:Vickers or Lewis .303 7.7mm×1 or LePrieur Rocket×8
発動機:LeRhone 9C 80hp / Clerget 7Z 80hp / Gnome 80hp / Gnome Monosoupape 110hp
生産数:2100機 (1916年2月から1917年4月までの期間で280機以上の修復機を含む)


キットについて
ウイングナット・ウイングズ

パップは1次大戦の複葉機としては大変有名であるので,のキットは1/48や1/72スケールでは複数発売されているが,1/32ではウイングナットしかないかも知れない。このキットも他のシリーズ同様に良くできており,素組みで済ますなら,制作にあたって手を焼く箇所はない。


制作について  (制作2011年夏至)
HMS(His/Her Majesty's Ship)リパルス号の砲塔カタパルトに搭載されていた1917年8月時の機体に仕上げた。ビアドモア社製造の機体番号6453番機。塗装は地味であるが,その分,素材感が楽しめる機体だ。

エンジンは星型ロータリーエンジンで,殆どがカウリング内に収まってしまっているが,やはり,複葉機は水冷直列エンジンよりも,こういうローターリーエンジンの方が魅力がある。よく見えないゆえに,エンジンの改造部としては,点火栓ケーブルの追加程度だ。カウリングの廃オイル抜きの穴の縁を薄くするのを忘れてしまった。

上面は英国機独特のカーキ系の色で他の部分は帆布の生成り色である。このパフ(バフ=ハフ)というのが実は塗装するには難しい。完成写真では光の具合で白っぽくも,薄茶色っぽくも,クリーム色っぽくも見えるが,実際,その通りである。カーキ部分も同様だが,単調さを避ける為にグラデーションを強めにした。旧作のブリストルなどのように,他に見せ場があると,逆に全体は単調な弱いグラデーションの方がいいが,今回のような塗装ではのっぺりとしてしまい面白くない。

胴体部の胴枠と胴枠間張線の影を強調することにした。当時の写真を見ると,実際に逆光になるとかなり骨格が透けて見える。同様に,上翼の上面の国籍マークが,海洋上の強い日差しによって上翼下面に薄く抜けて映る様子を再現してみた。本来は,マークの有色の影だけでなく,マークのない部分の影も表現する必要があるが,なかなか難しく,今回はマークの影を薄くすることで,他の部分の影を省略した。つまり,あまり日差しが強くなく抜けが弱いという設定で逃げた。

今回は派手なマークもないので,作業としては少し物足りないが,布・木・鉄・アルミといった異なる素材感を塗り分けるのは結構楽しい。プロペラに関しては,積層タイプに塗装した。プロペラは様々なタイプがあるのでその都度,単板・積層合板・積層枚数や素材感を気分で決めているので,特に史実に忠実というスタンスで模型を作ってはいない。なんせ,どれだけ似せても,所詮は飛べない飛行機なのだから。

塗装は上記の通りだが,英国機で最も悩まされるのが張り線だ。2重張り線はいいとしても,翼を貫いて胴体部に至るリギングが面倒だ。また,今回は尾翼下部もオープンになっていて,そこも見せ場のひとつになるので手間を掛けている。また,コクピット内部の床の上に張られたラダー・エレベーター・ソリに至るリンケージワイヤーは覗本数が多く面倒だった。これらは,覗き込めば僅かに1cm程度の長さの範囲で見えるだけだ。しかし,このような,剥き出しではないし,僅かな部分だが,見ればはっきり見えるという部分の再現は,模型を引き締めるのに非常に重要なファクターとなる。

旧作のファルツ同様に,あまりにもオーソドックスな形でのっぺりとして見栄えがしないだろうなぁ,と思いながら作ったが,これもファルツ同様に,心配したような結果ではなく,意外にも存在感のある模型になったことは嬉しい限りだ。いずれ別塗装の機体も作ってみたいものだ。

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