Nieuport 17
● Nieuport 17 エデュアルド ●

実機について
大戦初期に投入されたドイツの単葉機Eシリーズ(アインデッカー)は,エルロンを持たない捻り翼によりロール軸を制御するタイプの航空機で,もはや時代遅れとなっていた。当時のフランスも同じ構造のモランソルニエが主力であったが,同調式機銃の有無が運命の分かれ道となっていた。フォッカーのアインデッカーシリーズが初めて同調式機銃を採用したことで,欧州の制空権はドイツに握られ「フォッカーの懲罰」と呼ばれる期間が暫く続いた。これを打開したのが80馬力のグノームエンジンを搭載したニューポール11スカウト(愛書"Bebe")で,前身のニューポール10をコンパクト化し性能を突き詰めた機体だった。これ以降,世界の航空機はエルロンを装備するようになったと考えればいいだろう。同調機銃をもたないにも拘わらず,11型はその操縦性・運動性で,ようやく制空権をアインデッカーから取り戻した。

その11型の後継機として110馬力のル・ローヌエンジンを搭載したニューポール16が開発されたが,高翼面荷重の為に失敗におわった。その後1916年の初めにニューポール17が完成し,同年の春頃から実運用が開始された。初期のタイプはニューポール11と同様に上翼の上面に機銃が据えられていたが,フランス仕様機は,まもなくアルカン同調機付きのビッカース機銃へと換装された。一方でイギリス仕様機では翼上面のまま,SE5のようにフォスター銃架付きのルイス機銃へと変更された。また,この17型はドイツによって捕獲された後にコピーされ,ジーメンス・シュッケルトD.Iとして機体が製造されている。

フランスのニューポール社では,社名の「ニューポール」の後にローマ数字の型番を付けた単葉の機体を1910年頃から製造し始め,I〜XIまでに及んだ。開戦の臭いの中で戦争用航空機としての模索研究は続いたようだ。やがて開戦の1914年になると,ニューポール10(ロシア製の名称はニューポール9)から始まる新しいシリーズが開発され,11,16,17,21,24,25,26(25bis),27,28までが1次大戦で製造・使用された。これらの機体に共通するのはいずれも1葉半(sesquiplane)の主翼を持つことである(ニューポール28は複葉)。28型を除き,どれも基本構造は似ており,どちらかと言うとニューポール11をベースにマイナーチェンジを積み重ねたという感じである。しかし,戦争中盤以降は,フランスの主力機はスパッドへと移行していく。

上記以外にも複座の12,13,14,20型や大型爆撃機ニューポール15や,双発爆撃機の18や19というタイプ番号を持つ機体もあった。これらもまた1葉半の機体である。

軽量ゆえの上昇性能や運動性能は当時としては優秀ではあったが,1葉半構造の為,細長い下翼の破損事故が多かったようである。これは薄翼の当時の複葉機に少なからず見られる弱点で,フォッカーDr.1やD.7が画期的な厚翼を採用するまで続いた。ちなみに「てんとう虫」の愛称で知られる名車「スバル360」は16〜25馬力,重量は385kgであったが,ニューポール17は下記の通りである。比較するとその軽量さがよく分かる。今から見れば原始的と思われるが,当時としては最先端の素晴らしい機体であったことが理解できる。

基本性能と緒元
・翼  幅:8.16m
・全  長:5.8m
・空虚重量:375kg
・全備重量:560kg
・最高速度:164km/h
・上昇限度:5300m
・航続距離:250km (1時間43分)
・上昇率 :2000mまで7分弱,3000mまで12分弱
・エンジン:Le Rhone 9J 110hp(130hp)
・武  装:7.7mビッカース機銃(フランス仕様)またはルイス機銃(イギリス仕様)×1


キットについて
エデュアルド社のインジェクションキットである。箱は新しいプリントだが,金型はどうなんだろうか。最初期の「簡易インジェクション」よりはシャープな抜けであるが,ディテールの再現度は簡素である。
1/48だが,機体の大きさは2次大戦期の単座戦闘機の1/72位しかない。ローデンやエデュアルドの1/48や1/72の複葉機はあまり肩を怒らせ細部にこだわり倒すことなく全体のフォルムを楽しむ作り方が良いようだ。特に投げ出したくなるような合いの悪さもなく1/48キットの質自体は充分な出来である。

自分は殆ど使わないが,数種のコウノトリのデカールもついており,各機番に対応する沢山のステンシルデカールも付属している。塗装例も複数の図が付いていた。部品数が少ないので組立図も簡単だが,特に問題はない。しかしながら,張線の位置を示す図が昔ながらのアバウトさなので,慣れていないと判りにくい。また1本記入漏れがあった。


制作について (2012.5 金環日食)
元々空冷のロータリーエンジンは外見上の構造は単純だしカウリングとスピナーのせいで殆ど見えないのだが,プラグやケーブルなどを追加しておく。この機体のスピナーの付き方は特徴的で面白いが,後のメッサーシュミットBf109にも見られるスピナーの模様を再現するのは模型としては面倒だ。シルバーの単色という塗装も難しい。今回も艶を意識して塗り分けた。カウリングは金属,その後ろは木製,更にコクピットより後は鋼管の骨組みに布張りで銀ドープ仕上だ。暫く英国機が続いていた上に,FE2bというユニークな機体も複数含まれていたので,リギング張りはあっけなく終わった。

1/32では充実したキットに更に手を入れて作っているので,それと見比べると少々貧相だが,それはキットのみの差ではなく実機の構造の違いも大きいのだろう。しかし完成後に改めて眺めるとなかなか良い。今後も他のバージョンのニューポールを作る予定でいる。

このサイトの写真を見て気付いた人はいないとは思うが,間違いがあった。この機体は17型なのにル・ローヌの80馬力エンジンを積んでしまったことに今気付いた。組み立て図の実機説明にはちゃんと9J110馬力となっているので,何も考えずに組み立て図のままに作った結果である。今回は大目に見てもらおう。


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