2式練艇





● 愛知2式練習飛行艇 「13試小型飛行艇 H9A1」 ●   フルスクラッチ 1/144  

実機について
昭和15年,寿41型発動機2発をパラソル翼に配置した1号機が完成したが,重心が高い上,空力性能の低さなど問題が多かったが,特に過大な重量が原因と思われる着水時の引き起こしでの落水が致命的だった。後に主翼を3m延長(面積でいうと約7u)することで翼荷重を減らしたり,フラップの改良で一応の解決をみたが,本来の目的である練習機としては実用化出来ない状態だったらしい。それでも大戦末期には,対潜水艦用の電探や磁探,また,25番爆弾を2個を装備し,沿岸の哨戒に使用された。

キットについて
どのスケールでもキットはない。この機体は28機しか生産されなかった。マイナーな機体は,当然資料自体が殆ど見当たらない。マイナーな機体のキットが発売されない理由は,人気がない(知名度が低い)から売れないと言うだけでなく,キット化するに十分な資料がないことにある。ということで,当然スクラッチになるが,双発飛行艇ということで144スケールでも72スケールの単発戦闘機位の大きさになる。過去作のドルニエと同じ位の大きさだで,ムクのパテ塊を使ってスクラッチするには限界の大きさに違いない。

制作について
いつものように資料集めから始める。マイナーな機体のキットのスーパー・ディテール・アップ化やフルスクラッチでは,この資料集めと分析に大変時間が掛かる。キットより高価なフォト・エッチングが別売されている最近の48や32スケールの名機では,資料集めと分析の作業はエッチング・メーカーで行われているので,ビルダーはそれらを切り取って所定の位置に貼り付けていけばいいだけだ。この機体の場合,4枚の写真と3面図しか見つからなかった。それに文章による説明が少々。それしか造詣の資料がなかったので難航した。既に絶版の古い書籍などに珍しい写真が見つかったりする。

素材だが,いつものように翼はプラ版コアにポリ・パテ,胴体・ナセル・翼端フロートはムクのエポ・パテ,小パーツはプラ版を使っている。今回は操縦席部分の胴体の上部と横にも窓があったので,その空間を利用して内部をくり抜いてみた。とは言え,内部に関する写真は一切ないので想像によるところが殆どである。

主剤・硬化剤を混ぜて使うタミヤのエポ・パテだが,十分に混ぜないと固まった後にも部分的に固まらない部分が発生したりする。よく模型指南書に書かれている通りだ。冬場だとお湯や体温で暖めて使うが,なかなか柔らかくならず握力がなくなってくる。逆によく混ざってきて柔らかくなると,形が定まらず苦労する。写真のように棒状にして固まらそうと置いておくと,重力で垂れてしまう。あとで削るとは言え,ある程度は完成形に近いものにした方が当然楽なのだが,なかなか綺麗な形を留めてくれない。

また,タミヤのエポ・パテの場合,使用しないで長く置いてあると緑の剤の外側が硬くなってしまう。ケチってこれを削ぎ捨てないで使うと,十分に混ざり合わず,硬化後にゴミのように残ることがある。当然硬化していない訳で,そこだけいつまでもぐにょぐにょ・ポロポロで最後にポリ・パテやラッカー・パテでその穴を修正する羽目になる。写真が見本。

削り出しには今回も超音波カッターを使う。コツがいるのだが,慣れるとこれで削るのが楽しいのだ。フルスクラッチ作業で一番楽しい時間かも知れない。完全硬化後にカッターナイフだけで整形するのは殆ど不可能だろうから,エポ・パテ造詣には不可欠な道具だ。気軽に買える値段ではないが。造詣についてはいつも書くのだが,飛行機の場合,3面図だけから胴体を作るのは難しい。ラジコン飛行機の設計図のように,胴体各位置での胴枠があれば一番いいのだが,ないものは仕方がないので写真と図面を何度も見比べて,イメージをカッターに移す。

エンジン・ナセルや翼端フロートなど2個セットのものは難しい。微妙に大きさや形が違ってしまうのだ。これ道具や資料の問題ではなく,単に腕(技術)と性格の問題でしかないが。

側面の窓はクリア・プラ版を穴の形に切り出してはめ込み,隙間を塞いだらひたすら磨く。まず段差がなくなるように磨き,その後透明度を上げる研磨をする。この手法だとはめ込み後に内側は磨きにくいので工夫がいる。メインのキャノピーはいつも通りバキューム・プレスだ。

実機の写真を見ると,かなり尾部がエビゾリしているように見えるが,図面によるとそれ程でもないようだ。撮影角度と広角レンズによる画像の歪みの影響があるようだ。装備はフル装備とした。機首部に電探を配置,翼下面には25番爆弾(250kg)を2個抱かせてみた。またビーチホイールも出した状態で固定した。

マーキングは当然のことながら全て塗りだ。塗装は一般的な海軍飛行艇の色合いで,尾翼には写真にあった機番を入れてみた。とりあえずは実機の雰囲気で仕上がったと思う。はやり飛行艇はいい。これまでに作った144スケールの中でも,最も存在感のある模型のひとつになった。(制作2010年夏)


ギャラリー1
ギャラリー2
ギャラリー3

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