Hall Springfield Bulldog
●  ホールズ・ブルドッグ・レーサー  Hall Springfield Bulldog Recreation ●
実機について
航空機設計者でありパイロットでもあった「Robert=Hall」の手により製造されたレーサーである。彼は1929年から「グランビル兄弟航空社(Granville Brothers Aircraft)」でエンジニアとして働いていたが,実は「GeeBee Z」を設計したのは彼であり,「ゼネラルタイヤ・ゴムトロフィー(General Tire and Rubber Trophy race)」では,自身でGeeBee Zを操縦し優勝している。1931年11月19日,彼はグランビル社を退社し,自社である「ホール航空会社(Hall Aircraft)」を設立し,ブルドッグ・レーサーを製造,1932年の「ナショナル・エアレース(National Air Races)」に参加するが,「ハミルトン・プロペラ(Hamilton Standard)」と「ワスプ(Wasp)」エンジンとのマッチングが悪く,6位に留まった。その後はレーサーを制作することはなかったが,第2次大戦では,グラマンで,飛行艇の「G-21グース(G-21 Goose)」や「XP-50」「F4Fワイルドキャット(Wildcat)」・「F6Fヘルキャット(Hellcat)」・「F7Fタイガーキャト(Tigercat)」・「F8Fベアキャット(Bearcat)」等の設計に参加し,1970年に退社している。









「North Cascades Vintage Aircraft Museum」所蔵の機体とワスプ1340エンジン






【諸元】
・全長:5.8m
・翼幅:7.9m
・全高:2.1m ・空虚重量:838kg
・総重量:1,300kg
・エンジン:Pratt & Whitney 1340 "Wasp" Radial, 600hp supercharged
・最高速:390km/h
・巡航速度:



キットについて
ウイリアムズ・ブラザーズ(Williams Bros.Inc)
ジービー同様にかなり古い1/32のキットで,こちらも最近再販されたようだ。機体は,ジービーZよりも一回り大きい。このキットは,言わゆる簡易インジェクションなのでモールドはダルいもので,各パーツもディテールは省略された,「素材」といった内容。それでもカウリングや胴体やホイールパントの左右パーツの合いは良いと言えるが,翼,翼の支柱,脚支柱の合いは「ない」。本来のデカール自体は薄く,ノリシロも極細で高品質と言える。このメーカーのキットは優れているのか,いい加減なのか良く判らない。


制作について  (制作2015年3月)
ジービーZのキットと同様にカウリングは2分割になっているが,こちらも見事にピッタリと合っており修正は不要で,接着部の軽いサンディングで真円が出る点は喜れしい。反面,翼の付け根やその支柱,脚支柱などの取り付けは悲惨で,特にガルウイングのの根本部とキャノピー部一帯のパーツは,なんとも言えないパーツ取りで,胴体へのフィッティングは切った貼ったの作業となる。それでもなんとか形になるので,これが本来のプラモデル作りというものなのかも知れない。

細部は元々殆ど再現されていないし,キャノピーは分厚いのでコクピット内部は殆ど見えないので,シートと構造パイプ以外は省略した。コクピット部を改造し,ディテールアップするのも楽しみ方のひとつであるが,潔くカットしてしまうのも悪くはない。
エンジンはZの時にはプッシュロットを真鍮で置き換えたり,プラグや配線などを追加したが,この機体は,R1同様に全くの素組で仕上げ,単管式のエキパイのパーツはキットに入っているが,殆ど見えないので省略した。よって趣としては,ソリッドモデルである。

また,この機体のカラーリングは少々複雑で,キットに付属のデカールでごまかそうと思って作り始めたが,実はデカールは半分しか付いておらず,その代わりに組立図の別紙にテンプレートが印刷されているだけだ。あんぐりと口が開いた後,顎が落ちた。そのデカールも経年変化で水に浸すとバラバラになる状態。翼に貼るデカールは面積が大きく目立つので,割れてしまわないようにリキッド・フィルムを予め塗っておいたが,それが逆効果だった。ソフターを使っても馴染まないのだ。

短時間で完成させたかったので是非ともフルデカールにしたかったが,元々足りない上に,バラバラでは塗るしかない。まぁ,そうなりそうな予感があったので,デカールを水に浸す前にスキャンしてデータを取っておいて正解だった。それと,元々付いていた「型紙」を元にマスキングを制作し,塗ることになった。が,カウリング以外のパーツは全て接着して組み立ててしまっていたので,胴体のラインと数字はバラバラのデカールをジグソーパズルのように拾い繋いで,ちぎれて足りなくなったところはタッチアップでごまかした。その後,上からクリアをたっぷり吹いてテカテカに仕上げた。なんとなくレーサーらしい雰囲気が再現出来たと思うので,一応は満足である。翼裏面の数字を書き込むのを忘れたが,面倒なのでもう終了。ちなみに赤黒の塗り分け白線は,マスキングを作るのが面倒だったので完全フリーハンド。




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