AEG G.IV
●フーガ マジェステール CM170  Fouga CM.170 Magister ●
実機について
フランスのフーガ社が,ジェット練習機の専用機体として世界で初めて設計・生産した機体である。中翼ということもあるが,他にないほど地上高が低いのが特徴の一つだ。更には110度に開いた∨字尾翼も大きな特徴である。試作機の初飛行は,1952年7月23日のことである。その後,全バージョン併せて921機が生産された。海外でのライセンス生産も行われた。

燃費と操縦性に優れた機体は,ブラジル・フィンランド・ベルギー・ドイツやイスラエルなど欧州・アフリカ・中南米・中近東・アジアなど多数の国で採用され,時に,COIN機としても使われ,第3次中東戦争ではミグ21とのドッグファイトもなされた。また,マニューバリティにも優れており,フランス空軍ではパトルイユ・ド・フランスで1964年から1980年まで曲技機として採用されていた。

フランス空軍を完全に退役した年は1996であったが,イスラエルでは21世紀に入ってからも使われ続けた。フーガ社は1958年にポテ社に買収された後,1967年にはシュド社に,最終的には1970年にアエロスパシアル社へと率い継がれてたが,その間もこの機体は生産し続けられ,結局1969年の末に生産を終了した。

チュルボメカ社のマルボレII型(出力3.9 kN)の双発ジェットエンジンを搭載しているが,このエンジンはセスナT37ツイートにも採用されていた。また,このエンジンはVI型に進化し,重量は同じ140kgながら,出力は4.8kNに向上したが,燃費は119gal/hに低下し,量産化はされなかった。しかしながら,現在もマルボレII型は生産が継続され販売もされている。


主な緒元
・乗員:2名
・全長:10.06m
・翼幅:12.15m (翼端増槽含)
・空虚重量:2,150kg
・最大重量:3,200kg
・エンジン:Turbomeca Marbore Marbore II 3.9 kN×2 (重量:140Kg, 109gal/h,全長:154cm,直径62cm)
・武装:200発の7.62mm(7.5mm)機銃×2 100kgまでのロケット弾等
・最高速:715 km/h
・製造機数:1952年半ばから1969年後末までに921機
・上昇限度:11000m
・航続距離:1200km(増槽仕様)


キットについて
アバンギャルド・モデル(AMK)

中国の新興会社が2015年にリリースしたキット。胴体の透明パーツが付属し,内部構造(同枠等)も再現されてたマルチ素材のキット。透明パーツとメタルパーツが付属しているせいか,標準価格が7000円と小型ジェットの1/48としてはかなり高い。パーツのシャープさはまぁまぁで,合いも悪くはない。新興・高額の割にはもう一歩というところだが,まぁ,こんなもんだろう。付属のデカールは十分薄く,かつ丈夫さもあり,印刷も良い。近年評判の高いカルトグラフの社名は入ってないが,かなり高品質で使い易いデカールだ。5機分のパターンが付属する。取説はちょっと判りにくい。なお,1/48のこの機体のキットはキネティック社とウイングマン社から出ており,1/72はエアフィックス・エレール・スペシャルホビー・バロムなど種類に恵まれている。


制作について  (制作2017年2月)


この機体を見かけるまでは,アバンギャルド・モデルというのは知らなかった。普段はジェット機は作らないが,黎明期(第2次大戦週末期から50年代)の機体は好きである。スタイルが素直で,かつ,現用機のように武装を作っているのか機体を作っているのか判らないということがない点が良い。ミサイルや爆弾を抱えた姿は好きではない。作るのも面倒だし。

最初に惹かれたのは胴体の透明パーツが付属している点だ。が,しかし,パーツは透明ではなく擦りガラス状の「半透明」であった。当初は片側だけ透明にしようと思って購入したが,急遽予定を変更し,通常パーツで仕上げることにした。キャノピーの透明度は高いので,敢えて半透明にしたのだろう。ちなみに,キャノピーは磨いてみた。今回は極力素組に近く仕上げるつもりだ。新興と呼ばれるメーカー(特に中国=トランペッターやドラゴンやここ)などはなぜか,パーツの組み合わせ部の隙間が広い。狂いというよりは遊びという感じで,両側のパーツのエッジが出てないという感じだろうか。あまり好きではない。

コクピット内部は程々で,シートベルトはエッチングが付属しているので,このサイズの機体なら見られる仕上がりになりそうだが,計器類のモールドはなく,デカールも付属しない点に不満が残る。ここはドライブラシでそれらしく計器類を再現してみた。通常の鑑賞位置からだとそれらしく見えるので十分だろう。胴体の組立時にありがたかったのは,バラストが付属していた点だ。3点式脚の機体の場合,大体はバラストを機首に積まないと尻もちを着く。ちなみに,実機には練習機の為か,地上高が極めて低い為か,離着陸の機首上げ時に尻もちをついても大丈夫なように,尾部に小さな車輪が付いているのがオチャメで可愛い。

エンジンカウルのハッチは片側を脱着式した。また,機種の機銃格納部のハッチも脱着式にした。キャノピーは開状態で固定したが,取り付け方法が考慮されてなく,手間が掛かる。モデラーのことを考えてデザインしたキットではなく,売るために作られた心のないキットと評価する。中国製にはこういうキットが多い。反面,中翼にありがちな主翼の保持の問題は,このキットではメタルパーツが選択出来るので,強度的にも問題がない。いわゆるホワイトメタルではなく,かなり硬い金属で,バリ取りやサイズ調整の削り加工が非常に難しかった。

この機体は,尾翼だけが凸鋲で,後は沈頭鋲になっているが,キットでは凸鋲のみ再現されている。まぁ,48なら標準的かも知れないが,ちょっと物足りないので,パネルラインに沿ってだけリベットを打った。やはり金属被覆の機体の模型は,リベットがないとつまらない物に仕上がってしまう。素組を念頭に作っても,ある程度の手を入れることになるのは仕方ないだろう。フラップは元々別パーツなので,下げて状態の再現性は良い。エルロンもラダーも別パーツにして欲しかった。今回は素組ということで,切り離して角度を付けることはしなかった。

脚はメタルパーツも入っていたので,強度を考え採用。部分的に磨きたかったが,先述の通り,非常に硬い金属なのでそのままにした。脚格納部はそこそこ再現されている。実機資料を見ると,少しディテールアップの余地はあるが,今回はやめた。改造と言えば,ハッチから見えるエンジンの一部に配管を追加し,片側のエンジンを取り付けず,外部に展示するようにした。当然こちらの配管も追加した。面倒だったのはホイストの自作だ。ジェットエンジンは構造が単純なので,レシプロエンジンのようなメカニカル感がないが,たまにはいいだろう。

ドイツ空軍の迷彩塗装も悪くはないのだが,この時代のジェット練習機のシルバーとオレンジの塗装に非常に魅力を感じ,それが作ろうと思うモチベーションでもあるので,当然,そちらの塗装を選択。更には派手なロゴが主翼にあるバージョンのデカールが用意されていたので,迷わずそれを選択した。今回の塗装は,シルバーということで,下地にサフを塗ってから塗装に掛かった。ギラギラ系の159番と,通常の8番のシルバーだ。8番は上にクリアを吹くとややグレーぽくなるが,159番はギラギラ感が損なわれない。広面積のデカール使用を考え,クリアコートすることにしたので,このトーンの差が顕著になって良さ気だ。ただ,パネル数が少なめなので,パネル毎の色替えはちょっと恣意的になってしまったが,まぁ,模型的視覚効果としてはこのくらいの方がいいのかも。

完成後に眺めると非常に良い。細部をどうこう言えば,ツッコミどころの枚挙にいとまがないが,最近は,全体の雰囲気を重視する気分で作っているので,当時のジェット練習機の魅力は十分に再現出来たと自負している。何より,塗装とデカール貼りが楽しく出来た。もっと時間を掛けて手を入れてスーパーディテールアップ版にすれは,それはそれで魅力ある機体に仕上がるだろうが,今回はほぼ素組だがなかなか満足している。


 ギャラリー1

 ギャラリー2

 ギャラリー3

 ギャラリー4

 ギャラリー5


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