トラブルと対策 1

2009.02.01


シフトボタンの不具合


このカブリオは,とあるスマート専門店で購入しました。購入時の走行距離は約29500km。初年度登録から8年になります。高年式の割りには安くはない買い物でした。エンジン・ミッション・足回りなどの基本機構の程度は言うまでもありませんが,中古のカブリオ購入のポイントはなんと言っても幌機構の程度です。

私は基本的に車業界というのは信用していません。いままでに国産ディーラーや修理工場,一般販売店や輸入車販売店との取引経験がありますが,どこひとつとして心底信頼出来るところはありませんでした。口先は調子がよく,自分側の非は認めず,兎に角その場を取り繕えばよいというのがこの業界に共通するところだという印象を持たざるを得ません。これはあくまで私の経験上の印象であり,商道徳的に立派なところもあるのかも知れませんが。

今回の購入時に車両トラブルが発生しました。トラブル自体は私はなんとも思っていなかったのですが,その対応にやはり信頼に関わる部分がありました。感情的な部分はこのページの一番最後に書いておきました。具体的な故障の症状と対応方法を以下に書きます。





車両価格の1割にも当たる高額を支払い受渡し整備をしてもらい,店頭で引き取りました。店を出て500mも走らないうちに,ATとMTのモード切替が効かないことに気付きました。切り替えスイッチはクーペと同じ位置にあるのですが,ATモードからシフトアップしてMTモードに切り替えた後,ボタンを押してもATに戻らなくなったのです。MTモードでの変速は全く問題なかったので,クラッチやギア自体は問題なさそうでした。

すぐに店に引き返し,メカニックに方に症状を説明し,早速修理に掛かってもらいました。当然のことですが,この対応は時までは店に対してはどちらかと言うと好感を持っていました。

原因は簡単に判明しました。切り替えスイッチ本体が破損していたのです。コントロール基盤などのトラブルだと判明に時間が掛かったかも知れません。私もみましたが,使用に伴う壊れ方とは考えられず,おそらく前のオーナーが自身でノブを脱着した際にダメージが加わったせいではないかと私は推測しています。

今となっては信用しかねますが,引渡し前には全く問題がなかったとは店側の弁です。内部のスイッチまであらかじめ確認せよとは言うつもりは全くありませんが,切り替えのテストくらいは何度かきちんとやるべきでしょう。おそらくそれさえしていなかったで気づかなかった(発症しなかった)のだと思われます。




スイッチは秋葉原に行って合うサイズを探せば代用できそうな汎用のもので,合うものがあれば1個50円か100円で買えるものです。が,この純正部品だけは販売されておらず,シフトレバーシャフトと根元のコントロール基盤が一体になったパーツしかないそうです。なんとこれが17万円もするそうです。実にバカげた話ですが,それが実情なのです。他にもリアブレーキカップやドアノブのワイヤーなど,腹が立つほどの純正部品の高額なアッセン販売です。これはスマートのメーカーの規定であり,各扱い店やディーラーの陰謀ではありません(笑)。

という訳で,シフトレバー部をすっぽり変えてくれることになりました(実はこれが嘘だった)が,カブリオはオープンカー必須のロック付きの小物保管ボックスがシートの下にあり,ボックスごとの盗難防止の為か,ビスではなくリベットで取り付けられています。交換すべき部分を脱着するにはシートを外す必要があるのですが,このボックスのせいで外せません。一度リベットを切ってボックスを外してからシートは外し,ようやくシフトレバーのアッセンが外せます。

2〜3時間でこの作業をしてもらい,今度こそはと帰宅の途に着きました。が,1時間程走ったところでまた妙な挙動を発見することになるのです。







続編

再度のトラブルとは,今度はさっきとは逆に,ATとMTとが切り替わり過ぎるのです(笑)。勝手に切り変わったり,スイッチ以外のシフトノブやシャフト周りを触ると切り替わってしまうのです。これはたいして問題ないようで,実はMTのままでATに変わらないとき以上に不便でした。ATとMTでは使えるギアーと速度が異なるからです。

さっきはすぐ近くだったので引き返せましたが,今回はもう戻ることも出来ず,自分で対処することにしました。というのも,走りながら色々と試してみて症状を検証してみると,深刻なシステムトラブルではなく,切り替えスイッチの単純な機械的トラブルと思えたからです。

スイッチの収まりが悪いか,スイッチへのケーブルの取り回しに問題があるのだろうと推測し,それを症状と共に電話でメカニックの方に話して相談したところ,私の意見と同じ意見でした。

帰宅した後,ノブを外しましたが,年を経たスマートの場合,フェンダーなどのパネルやプラスティック部分の脱着には注意が必要で,よく割れるそうです。特に冬場は硬化するので,ドライヤーで暖めておくと良いようです。


ノブを外し,スイッチ部分をよく観察し,症状が出た状況を試してみました。するとシャフトの下の方を押すとケーブルが引っ張られ,その結果きちんと固定されていないスイッチが僅かに動くのです。その動きで切り替えスイッチが作動してしまうのです。スイッチがカッポとはまる切り欠きがレバーにあるのですが,ゆるいのです。

後でスイッチをシャフトから外して確認すると,スイッチの下部に点付けの固定用のボンドが固着した後がありました。店の話ではパーツをアッセンで新品と交換したとのことですが,保管期間が長いせいでスイッチがボンドから既に外れてしまっていたのでしょうか。(本来ははめてあるだけで固定はされてないようです)

スイッチにつながる2本のケーブルの長さに余裕がなかったので全体の取り回しも確認したかったのですが,先に書いたようにリベット外しからやらないと下部のカバー自体も外せないのであきらめました。極端にケーブルが引っ張られるようだと半田付けの部分や皮膜内部での断線の可能性が高くなくのでまずいのですが,それほどまで引っ張られる様子ではなかったので,よしとしました。

ケーブルとスイッチ端子の半田付け部分で断線しないように注意しながらスイッチ本体をシャフトから外した後,スイッチだけの作動を確認してみると全く問題はありません。また,この状態でこれまで触って切り替わっていた部分を触っても変化は起こりません。これで原因は間違いなくスイッチの固定不備であると判明しました。



修理方法ですが,固着したボンドをかき取り,接着面をアセトンで脱脂した後,両面テープを介して取り付けました。テープの固定力が弱いので,念の為にスイッチの1角にシアノアクリレート(瞬間接着剤)を1滴垂らしておきました。瞬間接着剤は熱に弱いのですが,この部分はそれほど高温にはなりませんし,万一,再度外す必要があるときにはドライヤーで加熱すればカポッと外れるので大丈夫でしょう。

その後,近所を試走し何度も切り替えテストをしましたが,ボタン操作による切り替えも,シフトチェンジによるMTへの切り替えも,周りを触ったときの勝手な変速もなくなり,完治しました。

ボタン以外の部分を触って切り替わってしまうという症状はなかなか気づかないと思うので店側の確認不足とは思っておりませんが,これを期にこういう検証も今後追加してもらえればいいかなぁと思っています。

引き取りからまだ数日ですが,幌の作動も含め,今のところ他には不具合は生じていませんので,これでとりあえずはひと安心です。



これだけ読むと販売店の対応に問題はなさそうですが,実はユニット自体は交換せずにスイッチのみを交換していたのだと分かりました。こちらとて中古車に高額な新品パーツを使えとは言いません。スイッチのみ悪いのだから,スイッチだけ,それもまともに使えれば中古でもいいと思っていました。

しかし,修理前にはユニット全部を交換すると言っておきながら,修理後には何も言わずじまいです。これでは今後の対応に信頼が置ける訳がありません。騙したと取られても仕方ないでしょう。

後になってこちらから再度確認すると,メカニック曰く,新品ユニットが不適合だったから交換出来なかったとのことでした。450のスマートは,は600ccでも700cでも,恐らくはロードスターでもこのパーツは共通なので,不適合などもとよりあり得ません。それはそれとして,理由は嘘であっても,アッシで交換しなかったことは修理完了時にはっきりと告げるのが「まともな商売」だと私は思います。うっかり言い忘れるような内容ではありませんし,こちらとしては故意に告げなかったとしか取れません。よってこちらから追求されたあげくに後から素人騙しのような理由を言われても信用など出来る訳がありません。正直にすべて話してくれれば,結果オーライでなんの問題もなかったのですが。結構信頼していたスマート専門店なので残念です。


世間は「一事が万事」と判断します。ひとつそういうことがあると,その店はそういやり方なんだと判断し,一度そう感じてしまうと,今後いい印象をもつことはまずあり得ません。それが商売上の信用というものです。頻繁に売買する関係ではないのでその場しのぎの商売になるのかも知れませんが,それが仮に不利益であるとしても,事実をきちんと告げるのが金を取る側のマナーであり義務だとは思ってないのでしょうね。

悪事千里を走る。いや,いまやネットの世界です。千里どころか地球を1周だって数秒でしてしまいます。因果応報,自業自得...。横浜にある某専門店です。後味の良い正直な態度は商売の基本ですよ。