平行車と正規車


現在日本を走っているsmartは,
白ナンバーの普通登録車と黄色ナンバーの軽登録車の2種類があります。ともに5ナンバーの乗用登録です。例えば,「パジェロミニ」と「パジェロジュニア」は,車体は同じですが(フェンダーだけ違う),エンジンは,660ccと1300ccの違いがあります。しかし,この2種類のsmartは,エンジン等の車体スペックは全く同じです。リアフェンダーだけは軽登録車は出っ張りが少ないものに変更されているようです。その他の装備やスペックの違いは,グレードと製造年の違いです。

2001年の2月時点では,正規輸入車は,DCJ(ダイムラークライスラージャパン)と三菱自動車販売で売られていて,これらは普通登録になります。一方で,軽登録車は,すべて並行輸入車ということになります。経済の自由化のこの時代に,正規輸入やら正規代理店やらのシステムに固執する自動車業界の将来は忌々しきものではありますが,これが現実です。

平行輸入車の販売ルートは何通りかあって,SJ(スマートジャパン)のように直接MCCから輸入しているところもあるようですし,他にも貿易商社が数十台単位で買い付けてきたのが各地の自動車販売店で売られているケースもあります。それぞれでオプション装備に大きくばらつきがありますから,購入時には十分調査が必要です。

例えば,エアコン・アルミホイール・タコメータ・インテリア時計・オーディオ・フルオートマ・パンク修理キット・スペアタイヤ・盗難防止セキュリティ装置・サイドエアバッグなどが対象です。また,上にも書いたように,グレードによって,ノンターボのものや,ディーゼルもありますが,輸入されているかどうかはわかりません。


次に,
普通登録と軽登録との違いは,維持費用は言うに及ばず,なんといってもメーカー保証の有無です。通常メーカー保証は,どんな商品でも改造されたものには適用されません。smartも同様で軽登録車は,平行輸入だから保証が適用されないのではなく,改造車だから適用されないとうことです。しかし,フェンダーだけを付け替えた改造がすべての保証の対象外になるのかどうか,また,仮に法的に適用されるとしても,実際にその保証を使ってどこで修理なりを行うのかとなると,実際のところは不透明です。

一般的には,クレーム認定されたものは販売者が責任を持つのが妥当でしょうか。このあたりも,購入時に店の方とはっきりとしておく必要があります。こういった不安や面倒が嫌な人は,登録費用と維持費が高くなるというデメリットを受け入れられるなら正規輸入車を選択した方が無難でしょう。


さて,並行輸入車のメンテナンスについてです。smartはその名の通り,「頭がよい」のを売りにしています。つまり,殆どの機能はコンピュータで制御されています。これはおそらく,2〜3年後に予定されている「燃料電池」を採用したsmartを念頭に置いたものかなと思っています。

各車体に搭載されているコンピュータにアクセスするシステムがない町工場では,コンピューターの必要な修理や部品交換は不可能です。また,smartには本になっている部品リストはなく,個別の車体に搭載されているコンピューターのデータをMCCのホストコンピューターに送り,そこから部品リストをオンラインで得るのだそうです。

では,どこで並行輸入車の修理や整備点検を行えるかとういと,ヤナセ系の工場や三菱自販で受け入れてくれるようです。これは独占禁止法の関係上,法的に修理依頼を断ることができないそうなのですが,そんな大げさな話をしなくても,修理工場は修理をするのが仕事で商売ですから,それがどんな所以の車でも違法改造車でない限り,可能な修理ならしてくれるのが普通でしょう。

とはいえ,すべての工場で出来るかというと,個別の要件によってまた,工場の事情によって平行車の修理を受け入れてもらえないケースもあるでしょうし,実際問題,修理に必要なコンピューターチェッカーを有するところでないと不可能です。これは,三菱などで正規車を買ったとしても,当然同じことです。また,三菱の正規車の場合は,無料点検等がついているようですが,詳細は三菱自販で確認してください。


最後に,個人的には,並行車の修理については,「当然の権利」として,ヤナセにでも三菱にでもがなりこんで行くのではなく,あくまでもお願いするという謙虚さ(遠慮ではない)を持つべきだと思います。ユーザーと修理工場との良い関係を築くことが,日本の平行車ユーザー全体の利益となるのではないかと考えるからです。