Hannover CL.II 3nd work
 ● Hannover CL.II 3nd work   ハノーファー CL.II 3作 ●

実機について

↑模型のモデルとなったC.9276/17


↑主翼上翼上面に前縁から後縁に掛けて黒縁のある白線が引かれているようだ。この写真では白飛びして不明だが,WNWの取説の同じアングルの写真でははっきりと
確認出来る。これは,一番上の写真と同じC.9276/17だが,初期の状態ではこの帯がなく,のちに帯が入れられたようだ。
また,上下の水平尾翼間にはワイヤーの補強が見られる。


↑この写真は中後期型で,初期型で見られた水平尾翼間のワイヤー補強は丸断面の鋼管に置き換えられている。上側の水平尾翼は薄く,鋼管骨格に布張りなので,
剛性不足によるフラッターが起きたと思われ,その対策だと考えられる。また,上翼中央翼上面に後部機銃の動きを抑制するかまぼこ状のガード線が見られる



ハノーファー社は,ドイツの鉄道車両製造会社としてそれまで有名であったが,開戦翌年の1915年になると政府からの命令で航空機の製造を開始することになった。リンデンに航空機部門が設立されると,アビアティク社のC.I,ハルバーシュタット社のD.II,ルンプラー社のC.Iaのライセンス製造を開始する。翌1916年になると,ドルニエ(Hermann Dorner)を主任技師として迎え入れ,自社オリジナルの機体の開発を始めた。
ハノーファー社にはCL.Iというのは存在せず,それに該当するCL.IIの前身のAV.C.Iという機体が存在したが,その後,CL.IIの開発が行われた。このシリーズは,後継のCL.IIIからCL.Vまで発展する。最大の特徴は複葉の水平尾翼で,後部機銃の銃撃範囲を広げる目的で水平尾翼の幅を短縮した代わりに複葉にしたようだが,果たしてその目的は達成されていたのだろうか。それよりも水平尾翼体積を拡大するなら胴体を少し長くした方が良かったかも知れない。ただ,マニューバリティに優れた機体は堅牢で,特に胴体は数発被弾しても飛行を継続できたそうで,偵察だけではなく戦闘機や軽爆としても活躍した。
この機体はCL.IIaという名称で,ローラント社でも200機がライセンス製造され,本社製と合わせて430機程が製造されている。良好な飛行性能のため,戦後も戦勝国によって数年の間使用されている。

主な緒元
・全長7.6m
・翼幅:11.7m
・空虚重量:717kg
・最大重量:1,081kg
・最高速度:165km/h
・運用高度:5,000m
・航続距離:3時間
・エンジン:水冷直列6気筒アルグスAs.II 180馬力
・武装:シュパンダウ7.7mm同調式前方機関銃 1,パラベルム後部回転機銃1門

キットについて
ウイングナット・ウイングス Wingnut Wings 1/32
同社の後期のキットにあたる。翼のローゼンジ迷彩のデカールが付属するが,他のキット同様にキットより一回り大きく,リブテープも同一プリント面に印刷されているので,恐らくそのまま使うと,翼のリブの位置とリブテープが合わなくなるのではなかろうか。私はローゼンジは全て塗装しているので実際のところは判らないが。国籍マークなども実際より大きいものあるが,このキットはギリギリ使用出来ると思う。マスキングを作る時には,数%縮小しているが,今回はそのまま作ったが,特に支障はないようだ。

制作について  (2026.1)
この機体も3作目なので,通常の塗装では面白みがないと思い,今回は,最近マイブームのハーフ&ハーフに仕上げることにした。スターボード側を生地状態に,ポート側を実塗装にした。この機体の胴体は木製合板のフルプランクなので,木目を描けるのでちょうどいい。しかし,実機では木製合板の上に更に羽布がクリアドープ貼りされているので,その再現を愉しむことにした。ラジコン模型時代の記憶から,半透明のホワイトで上塗りしてみることにし,金属部は終売になったクレオスのMC212アイアンと8シルバーで金属部を再現した。
ちなみにクレオスのMCメタルカラーシリーズは,独特のリアルな仕上がりだったので,終売は惜しいが,材料が入手困難になったのでは致し方ない。代替品が昨年中に発売とのアナウンスだったが,昨年末にメーカーに問合せたところでは,目下開発中らしい。それほど大量に使用する色でもないし,ストック分も当面は間にあうし,2026年当初では,実店舗ではまだ在庫しているところもある。

閑話休題。この機体はCL.IIの最初期型で,その構造や塗装がややこしい。順に解説する。
まず,構造について。大きな特徴である複葉の水平尾翼周りだが,この機体では上下の翼間の補強が張線となっている。中後期型では,丸鋼管の支柱に変更されている。上の水平尾翼は鋼管骨組みに布張りだが,恐らく剛性不足でロッド補強に変更されたのだろう。この機体はローラント社でもCL.IIaと呼ばれたライセンス製造機が200機程が製造されているが,それには,ダイムラー社の翼型ラジエターが搭載されていたようだ。本機は本社ハノーファー製で,Teves & Braun社のものが装備されている。
次に塗装だが,以前制作した機体の5色ローゼンジの胴体をプルシアンブルーで塗りつぶした胴体になっている。胴体の尾翼部と尾翼はそのまま塗り残されている。またプルシアンブルーは薄めに塗られており,僅かに元のローゼンジがすけているようだが,この模型では,プルシアンブルーに塗装したあとスポット迷彩のようにごく薄く数色を吹いて,下のローゼンジの抜けを再現してみた。微妙なタッチで塗ったので写真では判りにくいかも知れない。
更に,胴体(塗り残し部)と主翼の上翼中央翼部,水平尾翼とエルロンとリブテープのローゼンジは元の5色だが,主翼の下翼と上翼の外翼は4色ローゼンジとなっている。既にこの頃にはローゼンジは生地状態でプリントされているものが殆どだったが,模型では,生地部はブリーチした羽布の色で再現した。この辺りの塗り分けはかなり面倒くさかった。
 
胴体内部のメーター類やステンシルはデカールで,機体外部の小さなステンシルとプロペラロゴもデカールを使用した。ローゼンジと他のマーキングは塗装。勿論,木目は筆塗りの手描きだ。今は真鍮の木目マスキングも市販されているが,残念ながら使ったことはないが,手描きより面倒そうだ。ちなみに,撮影後に露呈したパーティングラインの消し忘れなど幾つかを修正したが再撮影はしていない。

エンジンはアルグスAs.IIで,ダイムラーシリーズ程ポピュラーではなく,水冷直6エンジンは,洗練度が低いOHVの方が模型的には面白みがある。プッシュロッドとプラグケーブルを追加した。スターボード側の車輪はスポークホイールにしたかったが,1/32のエッチングが手持ちになく,生地状態にした。海外サプライヤー製の一体型3Dホイールもあるが,強度的にどうなのだろうか。


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