Felixtowe F.2A
● フェリックストゥ F.2A  Felixtowe F.2A ●
実機について







フェリックストゥF.2Aは,主に北海で運用された5人乗りのイギリス海軍の長距離哨戒機で,ドイツ艦船や飛行船,特にドイツUボートの行動の監視と攻撃に使われた。大型な割にそこそこの機動性があり,敵戦闘機との対戦性能も乗員たちには評価が高かった。

前身となる水上機は,アメリカのカーティス(Glenn Curtiss)と イギリスを代表する水上機設計技師のポールト(Cyril Porte)が,戦前から設計を行っていた180馬力双発の飛行艇であり,そもそもの始まりは,ディリーメール紙により1万ポンドの懸賞金が掛けられた大西洋横断用の飛行機の開発であった。

第1次大戦の開戦によりイギリスに戻ったポールトは,カーティスH-4をベースに150馬力のイスパノ・スイサ8を2基搭載した機体を開発したF.1(機番3580)を開発する。カーティスのハルは軽量化のために強度が低かったが,彼はそもそも飛行記録用の機体を開発していたので,ヘビーデューティーな軍用機用としては想定していなかったのだろう。
カーティスとの共同開発の設計開始から数年を経た1916年7月,より大型のH-12の翼にハイパワーなイーグルエンジンを搭載し,独自に開発したハルを組み合わせることで,十分な実用性を持つ機体が,ロンドンの北東部の沿岸の町フェリックトゥ(Felixtowe)にあったRNAS Seaplane Experimental Station(帝国海軍水上機実験局)で完成,初飛行に成功している。

この機体はイギリスではラージアメリカン(Large Americas),ドイツからはカーティス(Curtiss)と呼ばれていたようである。その後,機動性を犠牲にすることで爆装量を増加させたF.3が開発され,北海や地中海に配備されたが,その低い機動性は乗員には不人気だったという。更に翼幅を広げたF.5が開発されたが,その頃には終戦を迎えていた。

アメリカでは,リバティ(Liberty)L12 400馬力が搭載された機体がカーティスH-16としてライセンス製造されているが,アメリカでは,フェリックストゥF.2Aのライセンス機ではなく,カーティスH-12の改良型と捉える向きもある。主に終戦からの数年間,アメリカ軍で就役している。

終戦後,F.5は日本にも輸入され,海軍で使用された。その後,その機体をベースに,愛知飛行機と広海軍工廠(呉海軍工廠支廠)で,フランスの450馬力ローレヌW12×2を搭載した少し小振りの一五式飛行艇(H1H)が,国内独自開発機(橋口義男技師:後の川西航空機で活躍)として設計され,製造された65機が1930年中頃まで就役している。また,横須賀工廠では全金属製の機体も試作されている。

フェリックストゥの後継機として,1925年にはスーパーマリーン(Supermarine)社のサザンプトン(Southampton)が開発され,1934年までに83機が製造された。その頃,日本では,一五式飛行艇のノウハウと,サザンプトンの技術を取り入れ,国産の後継機として八九式(H2H)飛行艇が開発されている。


上記のように,F.2Aの最大の成功理由は,ポールトの優れたハルの設計にあった。オリジナルのカーティスの脆弱な構造のハルではなく,箱桁構造(ボックスガーダ:box girder)を採用することで強度を上げ,実戦配備に十分に対応できるようになり,かつ,瀝青(れきせい:アスファルト)塗料でスポンソン内部と外部がコーティングされ,防水対策も強化された。しぶきが直接掛かる下面側の支柱類も同様にコーティングされている。 ハルの最大の特徴としては,ボートと同じようなV型の船底を持ち,かつ,離水性能を大きく左右するステップ(水切り段)が2箇所に設けられている点である。これにより,プレーニング(滑水)性能と離着水性能が大幅に向上している。

ハル上部は,側面が板張り,天面がストリンガーに布張りで,ドーブでコーテイングされている。主翼と尾翼も布張りドーブ仕上げとなっている。初期型には,キャビンを取り囲むような大きなガラスの風防が設置されていたが,理由は不明だが,後期型では,小さな2つの風防に変更されており,また,初期型の大きな風防も現地で小型に変更されるものもあったようだ。 また,初期型の非バランス型のエルロンも,後期型ではバランス型に変更されている。なお,本モデルであるオープンコクピットのF.2A後期型は,F.2Bと称されることもあるようだ。


主な緒元
・全長:14.1m
・翼幅(上翼):29.15m
・全備重量:5,216kg
・エンジン:Rolls Royce Eagle VIII 375hp×2
・武装:.303” (7.7mm) Lewis machine guns5~6丁, 460lb (208kg)までの爆装
・最高速度:85kn (156km/h)
・最大高度:3,048m
・製造数:1917年中期~1918年後期に掛けて約100機製造
・航続距離:10時間


キットについて
ウイングナット・ウイングズ
今はなきウイングナット・ウイングズ最大のキットである。同梱のデカールの国籍マークの大きさに驚かされた。


制作について  (制作2021年12月)
大きいとは言え,ゴータG.IVと同様に翼幅が広いだけで,胴体はそれほど長い訳でもなく,メカ部が中央に集中しているので,全体的には間延びした印象が強い。とは言え,その存在感は絶大である。このまま組み立ててしまうと,何かと不便であるので,外翼を脱着式にすることにした。メーカーもそれを想定していたのか,接合部の強度は十分である。問題は張線の処理であるが,ウレタンゴム系の糸と金属ピンとパイプを使うことで解決した。飛行艇は,エンジン周りの張線が面倒だ。また,このような大型機は,ひとつの動翼から複数の操縦索が張られており,それも面倒である。

写真では判りにくいが,胴体後部の斜めに張られた板にも木目を描いてある。スポンソン部の焦げ茶の部分にも薄っすらと抜けたように木目を描いた。マーキングはいつものように,全て塗りである。

また,キットでは,内部構造がよく再現されているので,完成後に内部が観察しやすいように,電球色のチップLEDを2個仕込んだ。




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 ギャラリー1

 ギャラリー2

 ギャラリー3

 ギャラリー4

 ギャラリー5

 ギャラリー6

 ギャラリー7

 ギャラリー8

 ギャラリー9

 ギャラリー10

 ギャラリー11


 



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