Aviatik Berg D.I
● アビアティック・ベルグ D.1 Aviatik Berg D.I ●

実機について
1917年,オーストリア=ハンガリー帝国のアビアテック社で製造された単座戦闘機である。自社だけではなく,ロイド社やローナー社,フェニックス社など,複数の航空機製造会社でライセンス生産された。ドイツ本国のメルセデスエンジンよりも高性能・高信頼性と言われたアルストロ・ダイムラー社によるライセンス生産エンジンが搭載されていたが,エンジンのオーバーヒートがつきまとったという。そんなこともあって,戦闘機ではあったが,実際にはOeffag製のアルバトロスD.IIIがその任に付き,ベルグD.Iは主に偵察任務に充てられた。

オーストリア=ハンガリーの機体に共通する独特なプロフィール・シルエットは,木製モノコックの後部が絞られた胴体とあいまって,機首部をすっぽりと覆うカウリングによって醸し出されているのだと思う。しかし,そのカウリングは,冬の東部戦線やアルプス戦線などの寒冷地では必要だったのかも知れないが,同時にオーバーヒートの原因はその特徴的なカウリングにあるとも思われる。実際,横側のカウリングが外されて運用されたケースもあったようだが,水冷エンジンなので,ラジエターとの兼ね合いもあったのかも知れない。しかし,飛行性能は全般的に優れていたこともあって,終戦後はハンガリーやルーマニア,ユーゴスラビア等の空軍で使用され続けた。

バリエーションについて
本社アビアテック製のD.Iは,プロトタイプの30シリーズに加え,38シリーズ(72機),138シリーズ(88機),238シリーズ(119機),338シリーズ(108機)。
ローナー (Lohner)社製は,115シリーズ(89機),315シリーズ(76機)で,D.I(Lo)と表記し区別されることがある。
ロイド(Lloyd)社製は,48シリーズ(10機),248シリーズ(20機),348シリーズ(70機)で,D.I(Ll)と表記され区別されることがある。
WKF(Wiener Karosserie und Flugzeugfabrik)社製は,84シリーズ(10機),184シリーズ(24機),384シリーズ(40機)で,D.I(WKF)と表記され区別されることがある。
MAG(Magyar Altalanos Gepgyar RT)社製は,92シリーズ(172機)があり,D.I(MAG)と表記され区別されることがある。
TuF(Thöne und Fiala)社製は,101シリーズ(54機,うち3機は201シリーズからの変更),201シリーズ(6機)で,D.I(Th)と表記され区別されることがある。

モデルにした機体は,本社製の38.01で,上翼中央部後端に斜銃のように機関銃が装備されている。


主な緒元
・全長:6.86m
・翼幅:8.00m
・空虚重量:580kg
・全備重量: 850kg
・エンジン:Austro-Daimler 185馬力 水冷直列6気筒
・武装:Schwarzlose07/12 8mm機関銃 1門
・最高速度:187km/h
・最高高度:6,000m
・製造機数:約700機

キットについて
フラッシュバック Flashback 1/48
前世紀モノの簡易インジェクション・キットである。時代と簡易という割にパーツの合いは悪くはない。スポークホイール用のエッチングは付いてはいるが細かいパーツは殆ど含まれないので,それらのパーツは自作する必要がある。しかし,半端に質の悪いパーツが付いているよりも覚悟が出来て良いかも知れない。



制作について  (2019.3)
1917年,38.01番機

レジン製のエンジンが付属するが,2個のシリンダーが合体した120馬力のダイムラーIIなので,独立したシリンダーの185馬力のアウストロ・ダイムラー製エンジンをプラグや配線まで含めスクラッチした。カウリング上部が開いてはいるが,オーストリア=ハンガリー機に多いフルカウルタイプであることと,上翼が低いため,殆どエンジンは見えなくなってしまう。
支柱類は長さを若干調整したあと補強の金属線を埋め込んだ。動翼は一度切り離し,こちらも金属線でつないでニュートラルを外した。主輪と尾橇のダンパーゴムは,EZラインヘビィを使って再現した。張線関係はファインを採用した。また,このキットに付属するエッチングは端正な出来ではあるが,薄すぎる感がある。スポークホイールに関しては,付属のエッチング・パーツを採用したが,そのままでは組み付けられないので,いつも通りのひと工夫が必要となる。
塗装関係は,木目やマークや文字を含め全ては塗り仕上げである。1/32のアルバトロスB.IIに続いて,翼の光の抜け感に挑戦したが,ブリーチリネンではない生成りの布の透け感はブリーチリネンの場合よりもはるかに難しい。また,スケールを考慮したリアルさを優先し木目は控えめにしたが,木目表現を初めて見る人にはもう少し強調した演出の方が目を引くかも知れない。

Gallery 1

Gallery 2

Gallery 3

Gallery 4
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