所謂,ファルマン型のプッシャー機で,ファルマンIIIの機体をブリストル社がパクリった機体だが,正式呼称は,ブリストル複葉機で,British and Colonial Aeroplane Company (後のBristol Aeroplane Company)が最初に製造した機体である。ファルマン機との違いは,接合部にアルミや鉄材を使用している点で,資力の差を見せつけている。当初,ファルマン側は,特許侵害で裁判を起こし掛けたが,ブリストル社は構造の差異を強調することで免れた。
E.N.V.は,元々,London and Parisian Motor Companyという名称で,1908年に最初の航空機用エンジンを製造する。その社名の通り,第1次大戦までは,イギリスとフランスで製造され,1968年まで,エンジンパーツメーカーとして存続していた。ENVとは,当時フランス語で,V型エンジンを指す単語だったらしい。60馬力のA型と90馬力のB型は,重量が200kgほどと重かったが,D型は40馬力で70kg,F(A)型は88馬力で130kgと軽量だった。このボックスカイトに搭載されたのは,1909年から1911年まで製造された7.6LのF型であった。※いずれも出力は公称最大値。これらのエンジンは全て,90°の水冷V8であった。また,同社では,1909年から1910年に掛けて,小型の24馬力(30kg)ないし30馬力(60kg)の4気筒の水平対向エンジンも3種開発している。