Aviatik Berg D.I
● ハンザ・ブランデンブルグ D.1 Hansa Brandenburg D.I ●

実機について
1916年,エルンスト・ハインケル(Ernst Heinkel)を主任設計技師とし,ドイツのハンザ・ブランデンブルグ社(Hansa und Brandenburgische Flugzeug-Werke)によって,オーストリア=ハンガリー航空隊(KuK=Kaiserliche und Konigliche Luftfahrtruppen)向けに開発された単座戦闘機である。前身となるKD(Kampf Doppeldecker)にはこの特徴的な翼間支柱が採用されていた。試作機では支柱は鋼管パイプを球状のジョイントでX型に繋いだものであったが,量産機ではその鋼管の外側に整流用のカバーが取り付けられた。この独特の支柱の配置から,この機体には「蜘蛛」という愛称が付けられたが,やがて「棺桶」という悪名も付けられることになるが,それでも登場から1年弱(1917年半ば)の間,就役した。

模型でも判るように,座席は低い場所に埋まるようにあり,前方の高いカウリング部に阻まれ,前方視界は非常に悪かった。時速190kmに至る高速性能と上昇力を誇ったが,非常に小さな垂直尾翼のせいで,ヨー軸方向の安定性に乏しく,一度スピンに入ると離脱するのが難しい機体であった。その欠点を克服すべく,様々な形状と大きさの垂直尾翼とラダーを持つ機体が存在する。また,ラジエターも様々なものが装備されている。

また,同調装置の搭載が上手くいかず,初期の機体には上翼にガンポッドが設置されていた。ガンポッドを撤去し,その位置に増槽を取り付けた機体もある。ガンポッド内部には,オーストリア=ハンガリー軍では標準であるシュバルツローゼ(Schwarzlose M7/12 7.92mm)機銃が水冷ジャケットを付けた状態で搭載されていた。その重量は41kgあり,陸軍では通常3名で操作する重機関銃であった。ガンポッド左側面にあるプロペラは,射撃後に空になった弾帯を巻き取るための動力源となっている。

機体の欠点にも関わらず,軍はこの機体を採用し,D.Iの制式呼称をあたえ,120機から200機ほどが製造された。試作機には160馬力のメルセデスD.IIIが搭載されたが,量産型には150馬力のアウストロ・ダイムラー(Austro-Daimler)エンジンが搭載され,50機が自社で製造された。フェニックス(Phonix Flugzeug Werke)社でライセンス製造された28シリーズには185馬力が搭載され(標準的な翼間支柱),ウーファグ(Ufag)社でも160馬力エンジンを搭載した65シリーズが製造された。ウーファグではヒエロ(Hiero)200馬力の搭載も計画されたが,実際には製造されなかった。

第2次世界大戦初期のユーゴスラビア侵攻時にも一部の機体が使われた。また,この機体の水上機バージョンのKDW(Kampf Doppeldecker Wasser)もフェニックス社で60機ほどが製造され北海の沿岸防御に配備されている。




主な緒元
・全長:6.35m
・翼幅:8.5m
・空虚重量:672kg
・全備重量: 920kg
・エンジン:Austro-Daimler 185馬力 水冷直列6気筒など
・武装:Schwarzlose M7/12 8(7.92)mm機関銃 1門
・最高速度:187km/h
・最高高度:5,000m
・製造機数:約120~200機

キットについて
エデュアルド Eduard 1/48
エデュアルド最初期シリーズの簡易インジェクション・キットである。フルカウル状態を再現したキットで,エンジンは付属していない。現在ではこの機体のキットは,エデュアルドでも他社でも再販はされておらず,非常に希少なキットとなっている。キットの出来と内容は,標準的なエデュアルドの簡易インジェクションである。



制作について  (2019.3)
1916年,28.11番機 Karl Kaszala搭乗機(スコア8)

なんといっても特徴的な支柱の組み上げが難関だ。簡単な治具が付属しているが,あまり当てにならない。中央部の胴体支柱はエッチングであるが,寸法が合わず,作り直した。ベルグD.Iでは上部のカウリングを開けた状態で,わずかにエンジンのヘッド部が見えるようになっていたが,今回はフルカウル状態のままで製作した。エンジンを見せるにはカウリングを取り去る必要があるが,そうすると特徴である頭デッカチのフォルムを楽しめなくなるので,悩ましい。コクピット内部もエッチングを中心に再現されていて,若干の手を加えた完成させた。張線がないのは楽だが,それ以上にX型の支柱の取り付けに時間が掛かった。支柱根本には恒例の補強用真鍮線を植えた。
塗装関係は,木目やマークの全てを塗りで仕上げた。数字が入ってないのでありがたい。木目表現は,第1次世界大戦機を作る上で1番の楽しみであるが,今回のプロペラの出来は自身でも気に入っている。前回のベルクでは,白木系の木にニス仕上げということで,胴体の木目を淡くしたが,少し木目が弱かったようだ。今回は,堅木系の濃いめの木にしたが,こちらのほうが木目を入れ易い。翼間支柱に関しては,黒,グレー,クリームなど色々な説があるようだが実際のところは不明で,本来のドイツ機色であるグレーグリーンにした。

Gallery 1

Gallery 2

Gallery 3

Gallery 4
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