Albatros D.I
 ● Albatros D.III Oeffag アルバトロス D.3 オエッファグ社製 ●

実機について

寒冷地で使用される機体は,上写真のようにエンジン上部までフルカウル状態とされることも多かった。この機体には225馬力エンジンが搭載されている。

ドイツ帝国のアルバトロス社のD.III戦闘機を,同盟軍オーストリア・ハンガリー帝国のオエッファグ社がライセンス製造した機体である。オエッファグ社では,本社製の機体の主翼の強度不足などを中心に,欠点を改良した機体を製造した。両社のD.IIIの外観上の違いは機首部にあり,オエッファグ社の一部のアルバトロスD.IIIも,本社製造機と同様にスピナーと絞られた機首形状の組み合わせだが,多くは本機のような形状に変更されている。この形状の方が,スピナー付きよりも速力が上がったそうだ。また,エンジンも,本国ダイムラー社のモデルをベースに改良されたアウストロ・ダイムラー社のエンジンが搭載されており,こちらも本国製よりも高信頼・高性能であったとされている。
1918年5月に確認されている機番153.167の機体であるこの機体のユニークな点は,左右のパーソナルマークのイラスト・デザインが異なっている点だ。また翼のリネンには,オーストリア・ハンガリー機特有のブリーチされていない黄色っぽいものが張られている。前方機銃にはシュバルツローゼ7.92mm機銃が2丁搭載されているが,この機銃はプロペラ同調装置との相性が悪く,銃身を長くし,レシーバー(本体機関部)にパイロットの手が届く位置に配置されています。

本社ダイムラー社とアウストロ・ダイムラー社の関係についてや,前方機銃とプロペラ同調装置の種類やその構造,相性を含むそれぞれの問題点などについては,拙著「飛行機の発展とその裏事情 序巻」の80ページ,87ページ,100~113ページに掲載してあるので,確認していただきたい。


主な緒元
・全長:7.35m
・翼幅:9.05m
・空虚重量:690kg
・最大重量:964kg
・最高速度:188km/h
・運用高度:5,500m
・航続距離:500km
・上昇率:4.5m/秒
・エンジン:水冷直列6気筒Austro Daimer AD.6シリーズ 200馬力
・武装: Schwarzloze7.92mm機関銃 2門(プロペラ同調式)

補足)
オーストリア・ハンガリーの機体は,機番で搭載エンジンが区別できる。例えば,ドッドから前の数字は,搭載されているアウストロ・ダイムラーのエンジンの馬力を示している。ドットから後が機体製造番号となる。例えば,53.20(アルバトロスD.IIIの場合は53.20が最初で53.64までの45機が製造された)は185馬力エンジンが搭載された20番目に製造された機体を示す。同様に,153(アルバトロスD.IIIは153.01-.281までの281機)は200馬力エンジンが,253(アルバトロスD.IIIは253.01-330までの330機)は225馬力エンジンが搭載されていることを表す。


キットについて
エデュアルド Eduard 1/48
エデュアルド社の1/48インジェクションキットを制作した。これはデュアルコンボキットということで2機分が入ったお得なキットであるが,青みがかったグレーのプラは東欧製にしては硬く,扱いづらかった。パーツの合いはまぁまぁで,取り付け穴の位置などは正確なので,あまり苦労なく組み立てられる。ただ,胴体モナカの左右接合部には隙間ができる。デカールは9機分から選択出来,プロペラのロゴマークまで付属している。メーターやシートベルトはカラーエッチングが,その他にも,シート背もたれや点検ハッチ用のブラスエッチングが数パーツ分付属する。車輪用のマスキングも付属する。


制作について  (2022.1)
Oeffag製 153.167 Flik 2D,搭乗機不明 1918年5月

エンジン部にはプラグとプラグケーブルなどのティテールアップを施し,キットではスカスカのエンジンマウント部に,アルバトロス製の機体に習い,オイルタンクや燃料タンクを追加したが,存在の確認は取れていない。側部カウリングは外した状態で制作した。コクピット部もよく再現されているので,模型としての見どころになる。上翼がスタガーしておりコクピット内部がよく見えるので,リンケージワイヤーや配線等も再現した。

車輪はキットパーツのタイヤ部をくり抜き,社外品のエッチングのスポークを入れ込んだ。風防は付いていないので,いつもの3色団子で作った。張線はモデルカスティンの0.6号を使った。

今回は,友人に興味深い翼と胴体上面をすっぽり覆うデカールをもらったが,パリパリになって使いず辛く諦めた。社外品のデカールは購入後2年ということなので,恐らくは製造から3~5年と思われるが,その程度で劣化するのだろうか。くれた人は,2年前に綺麗に貼ってたので,単に私の扱いが下手だったのかも知れない。ということで,塗装スキームを急遽変更し,翼と胴体上面を塗装し直した。緑のポツポツの点を描くのは結構時間が掛かった。

今回はマーキングは塗装せず,全て付属のデカールを使用した。このデカールは丈夫で,同時に柔軟性もあるので,マークソフターでしっかりと密着する。上にUVカットのクリア塗料をオーバーコートしておいた。ユニークな点は,パーソナルマークが左右で異なるところで,このような機体は多くはないと思われる。また,汚しも入れてみたが,写真では強目に写ってしまう。やはり汚しのない綺麗な状態で,墨入れもしない模型が好きである。


Gallery 1

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Gallery 4

Gallery 5

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