Phönix D.I
 ● Phönix D.I フェニックス D.1 ●

実機について
以下,実機の話は,PhonixD.IIのページの掲載内容と同じ
フェニックス D.2


フェニックス C.1 偵察・爆撃機


フェニックス D.1プロトタイプ(機番20.16)


フェニックス D.3 スゥエーデン軍で就役する機体


オーストリア=ハンガリー帝国(以降オーストリア)のフェニックス航空機製造会社で製造された単座戦闘機で,オーストリアの航空部隊であるK.u.K(Kaiserliche und Königliche Luftfahrtruppen=帝国及び王国の航空隊)で使用された。

オーストリアでは,1893年に初めて気球を使った部隊(Militär-Aeronautische Anstalt)が編成され,その後1912年に陸軍士官であったエミール・ウゼラック(Emil Uzelac:1867-1954)の元で,飛行機を含む部隊に再編成されると,彼の指揮により終戦まで彼が航空部隊が継続した。開戦時には,10基の観測用気球と39機の飛行機が配備されており,1914年中には14の分隊にエトリッヒ・タウベやフォッカー・アインデッカーなど147機を配備するに至っていた。アドリア海では,イタリア軍を相手に海軍がローナー飛行艇を配備している。 

C.Iを開発した直後の1917年に,フェニックス社はハンザ・ブランデンブルグD.Iをベースに改造を施した試作機(20.15,20.16)をライセンス下で製造した。その後,D.IからD.IIIまでの量産型が製造されている。D.Iは飛行速度で優れていたが,その反面,安定性が高すぎて運動性に問題があり,かつ構造的な強度不足が問題であった。まもなく改良試作機(20.18)を経て,後継機のD.IIへと生産は移った。D.IとD.IIとは非常に似ているが,D.IIではD.Iより胴体が少し短くし,水平尾翼の形状も大きく変更することで水平尾翼容積を縮小し,かつ,エレベーターがバランス型に変更することで,エレベーターの効きが高められている。また,エルロン・リンケージの取り回しも変更されている。見た目とは違ってこの機体はかなり安定性が高いと見られ,運動性向上のために,D.IIaでは,更に下翼にもエルロンが増設された。上下のエルロンはロッドで接続されている。このエルロンはD.IIIにも引き継がれている。D.IIIは,それまでカウリング内部に設置されていた機銃が,カウリング上部へと移動されている。弾づまりなどの不具合時に,飛行中のパイロットが対処できるようにするためである。このD.IIIは,1918年3月15日から終戦間近の1918年11月4日まで供給され,終戦後はスゥエーデン軍に接収され就役している。


D.I(128,228,328シリーズ)の主な緒元
・全長:6.75m
・翼幅:9.8m
・空虚重量:640kg
・全備重量:805kg
・最高速度:178km/h
・運用高度:6,000m
・航続距離:500km
・上昇率:5000mまで20分
・エンジン:Hiero水冷直列6気筒 200馬力
・武装: Schwarzloze7.92mm機関銃 2門(プロペラ同調式)
・158機製造

D.II/D.IIa(122,222,322シリーズ/422シリーズ)の主な諸元
・全長:6.62m
・翼幅:9.8m
・全備重量:805kg/-kg
・最高速度:185km/h /188km/h
・運用高度:6,000m
・航続距離:600km
・上昇率:5000mまで20分
・エンジン:Hiero水冷直列6気筒 200馬力/230馬力
・武装: Schwarzloze7.92mm機関銃 2門(プロペラ同調式)
・144機/48機製造

D.III(222,100シリーズ)
D.IIaの機機首形状が変更され,機銃がカウリング上部に移設されている。搭載エンジンと機体サイズは同じで,エルロンも上下翼にある。重量は空虚重量が685kg(全備重量:951kg)に増加している。28機製造。


キットについて
スペシャルホビー Special Hobby 1/48
スペシャルホビー社の1/48インジェクションキットである。このメーカーからはD.Iのキットも発売されている。スペシャルホビーのキットは,簡易インジェクションだが,プラの柔らかさといい,大きなパーツの合いがよい点といい,好きなメーカーである。厚みが薄いエッチングパーツとラジエターと排気管などのレジンパーツが付属する。一方でディテールはほぼ省略されている。ベースとなるエンジンパーツは付いているので,改造を前提とすれば問題ない。とは言え,この機体はカウリングが大きくエンジンに被っているので,カウリングを撤去しなければ殆ど見えなくなる。
デカールは2機分で,プロペラのロゴマークも付属している。計器盤とシートベルトはエッチングが,計器部はプラシートに印刷されたスペシャルホビーの専売特許だ。排気管は,200馬力タイプと230馬力タイプの2種類がレジンで入っている。計器と同じプラシートに切り抜きタイプの風防がプリントされているが,弧に歪めて接着するのが難しいのでいつも使わない。1/48の第1次大戦機の風防には3色団子のプラケースのコーナー部がちょうどよい。


制作について  (2022.3)
D.I 328.26 Flik 39D/14J,搭乗者 K.Bemedel/J.Malz 1918年5月

今回のヒエロエンジンは,前作のD.IIを上回るディテールアップを施した。クランクケースとピストン底部のボルト,ウオーターポンプ,キャブレター,スロットル部,プラグとプラグケーブル,プラグケーブル収納管,燃料や冷却水配管,ティテールアップを施し,エンジンマウント後部に,燃料タンクを燃料タンクを追加した。
コクピット部はほぼ素組だが,ペダルの位置などがおかしいので変更,ラダーの操縦索も追加した。エンジン脇を通る機銃を追加した。車輪はキットパーツのタイヤ部をくり抜き,社外品のエッチングのスポークを入れ込んだ。張線はモデルカスティンの0.6号を使った。

カムフラージュはオーストリア機でよく見るドットパターンだ。この迷彩には,茶系ベースと緑系ベースの2通りがあるようだ。実際に2通りあったのか,モノクロ写真の解析違いかは判らない。ドクロのマーキングのこの機体は,茶系ベースである箱絵が有名なせいか,脳内イメージとしては茶色ベースなのだが,前作D.IIをそのパターンにしたので,今回は緑系ベースに3色の茶系ドットを,ドライブラシで付けていった。この模型も,全て付属のデカールを使用した。一部プリントの定着が悪く,後からラッカーで描き込んだ。スペシャルホビーも,デカールをカルトグラフにしてくれると,かなりクオリティの高いキットになるのだが。独特のスタイルと雰囲気があるオーストリア機は,第1次大戦機の中でも魅力的だ。


Gallery 1

Gallery 2

Gallery 3

Gallery 4

Gallery 5

Gallery 6

D.I&D.II

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