Albatros D.III
 ● Albatros D.III アルバトロス D.3 ●

実機について




アルバトロスD.I,D.IIに続くアルバトロス社の単座戦闘機がD.IIIである。1916年の半ば頃には初飛行に成功し,その秋には正式採用された。翌1917年4月の大規模な地上戦「血の4月」では,イギリス軍機に大打撃を与える戦果を上げている。

胴体は,D.IIとほぼ同じような形状をしており,両側面が平面となっている。一方,翼は大きく設計変更され,セスキプランが採用された。下翼の翼弦は,上翼のほぼ半分しかなく,それに伴い,下翼のスパーは1本になり,それが,次のD.Vにも引き継がれる致命的欠陥を生むことになる。致命的欠陥とは,下翼の強度不足である。

1本しかないメインスパーは,根本で折れたり,前縁・後縁方向への捻れを誘発し,後の補強にも拘らず,解消されることはなかったが,当時の枢軸軍の主力戦闘機として活躍した。D.IIIの初期の機体には,D.IやD.IIで使われたビントホフ社の耳型ラジエターが搭載されていたが,後期型ではテフェス・ブラウン社の翼型ラジエターが搭載された。また,この翼型ラジエターは,当初は上翼中央部に配置されたが,後にやや右にオフセットして取り付けられるようになった。これは被弾時にパイロットが熱湯の直撃を避けるのが目的であった。

D.IやD.IIに比べ,上昇力と操縦性が向上し,小さくなった下翼による下方視界の良さをもつD.IIIは,パイロットには好評であったという。また,この機体は,オーストリア・アルバトロス(Oeffag)社でも多く製造された。本社のD.IIIのラダー後縁は直線的であったが,Oeffag社の機体ではうちわ型が採用され,後のD.Vでは,それが標準として採用されることになる。また,Oeffagの機体は,本社の下翼の強度不足を是正したもので,高性能で信頼性も高かったアウストロ・ダイムラーのエンジンと相まって,非常に優れた機体となっていた。また,Oeffagの機体の一部はスピナーが廃止され,それに合わせて整形したユニークな機首形状を持つ機体もある。Oeffagの機体は,その優れた性能故に,第1次大戦終戦後のポーランド・ソビエト戦争で,ポーランド軍によって採用されている。


主な緒元
・全長:7.33m
・翼幅:9.05m
・空虚重量:661kg
・最大重量:886kg
・最高速度:175km/h
・運用高度:5,500m
・航続距離:2時間(330km)
・エンジン:水冷直列6気筒Mercedes D.IIIa 170-175馬力
・武装:Spandau IMG08 7.92mm機関銃 2門(プロペラ同調式)
・製造機概数:アルバトロス社 500機,OAW社 850機,Oeffag 530機


キットについて
エデュアルド Eduard 1/48
エデュアルドのウィークエンド・キットである。エデュアルドのウィークエンドシリーズは,プロフィパックキットからエッチングを廃した廉価版で,それ以外は同じ内容だ。現行のエデュアルドのキットは,大きな問題なく組み立てられる。


制作について  (2020.5)
アルバトロス社製 Jasta5  D.2225/16

このシリーズになると,プラのインジェクションが良くできているので,エッチングがなくてもさほど問題はないが,シートベルトと放熱筒がいないのが唯一不満。機銃はそのまま組み上げたが,シートベルトは自作した。ちょうど,他のプロフィパックに付属していたカット済のマスキングシートが素材として使いやすそうであったので,それを使った。エンジンは,付属するが,カウリングが付いた状態で仕上げるので特にディテールアップは行わなかった。しかし,全てのこのメーカーのキットに共通だが,アルバトロス機のエンジン後方にあるべきかまぼこ型の燃料タンクがないので,カウリングがあっても,後方のスカスカが目立つので,他の作同様に自作して入れ込んだ。「やまざき・三色だんご」製のキャノピーも追加した。

今回も塗装は全て塗りである。一見面倒そうな垂直尾翼のチェッカーは,実際にはそれほどでもなく,その縁の帯や水平尾翼の縁の帯の方が面倒で難しい。微妙なカーブなので,フリーハンドとなる。また,胴体をぐるっと巻く帯は,最も難しいと思う。また,実機説明のところでも書いたように,D.IIIのラジエターは2タイプがある。本機は,翼型のものである。最初期の耳型のものも,全てこのタイプに換装されたらしいが,アルバトロス社製のD.IIIも耳型を作っておきたいところだ。


Gallery 1

Gallery 2

Gallery 3

上のサムネールをクリックすると複数の大きな画像(1000dpi)に飛ぶ。表示された各画像を更に個別にクリックするとフルサイズ(1920dpi)の個別画像に飛ぶ。IEでは自動的にウインドーサイズに縮小されるので,その場合にはウインドー内を一度クリックすると拡大される。

 



プラモデルのトップへ戻る

掲示板へ行く