Albatros D.I
 ● Albatros D.I アルバトロス D.1 ●

実機について


第1次世界大戦冒頭の1915年に活躍したフォッカー・アインデッカーシリーズも,連合軍がエアコDH.2やニューポール11が投入すると,登場から僅か半年から1年足らずで旧式化は明らかになっていた。1916年,ドイツ軍は3月にハルバーシュタットD.IIを,5月にはフォッカーD.Iの量産を命じ,初夏には実戦投入が始まったが,根本的なエンジンのパワー不足や翼強度の問題等から芳しいものではなく,新たな機体の登場が待たれた。
アルバトロス社は,複座の偵察機であったBシリーズ(後にCシリーズに発展)の成功を元に,1916年には単座の複葉戦闘機を開発していた。このD.Iは,1916年4月には設計が完了しており,秋には量産機の実践配備が行われた。当初,数機のD.Iは,爆撃隊(Kampfgeschwadern)の護衛にも充てられた。

ハルバーシュタットやフォッカーが,120馬力のメルセデスD.II直6エンジンを搭載していたのに対し,アルバトロスD.Iには,150ないし160馬力のエンジンが搭載された,2丁のプロペラ同調式前方機銃が搭載出来るようになった。胴体は3プライの木製合板パネル張りで,翼は,木製骨格に布張りで,後縁はワイヤーであった。この基本構造はその後のアルバトロス単座戦闘機に受け継がれた行くが,D.IとD.IIは上下の翼は幅広の矩形に近く,大きさもほぼ同じで,スタガーも殆ど付けられていない。
また,コクピット前方の胴体左右に1対のウィンドホフ製の箱型ラジエターが低い位置に取り付けられており,このシステムは被弾時に冷却水の漏洩が早いという問題があった。性能としては,機動性はロータリー・エンジン機などには劣るものの,エアコDH.2よりも速く,ニューポール11よりも装甲が丈夫で,操縦性が良いこの機体は,パイロットには評判が良かった。一方で,特徴の一つでもある逆V字型の胴体支柱と,やや上方に設置された2丁の機銃は視界を妨げる結果となった。
それらの問題に対処したD.IIがすぐに開発され,ラジエターは,その後のアルバトロス機を象徴する翼型のものが上翼中央部に搭載され,逆V字の胴体支柱も,左右に開いた1対のN字型のものへと変更された。D.IIが直ちに登場したことで,このD.Iの製造数は僅か50機に留まったが,1917年時点でも39機がまだ殆どが最前線での就役を続け,更にそのうちの9機は,終戦まで継続して戦闘に参加していた。

このようにD.Iは,マイナーチェンジが施されたD.IIへ移行し,その後は,大きく設計変更されたD.IIIへと発展する。

主な緒元
・全長:7.4m
・翼幅:8.5m
・空虚重量:647kg
・最大重量:898kg
・最高速度:175km/h
・運用高度:5,000m
・上昇率:2.8m/秒
・航続距離:1.5時間
・エンジン:水冷直列6気筒Mercedes D.III 160馬力,またはBenz Bz.III 150馬力
・武装:Spandau IMG08 7.92mm機関銃 2門(プロペラ同調式)


キットについて
ガビア Gavia 1/48
エデュアルドの匂いがプンプンするキットだが,ガビアもそのいちブランドなんだろうか。他の機種でもスペシャルホビーブランドのものがガビアと全く同じという情報も得た。確かスペシャルホビーはMPMのブランドだから...

販売は比較的古いものではないが,中身は2000年頃のエデュアルドD.IIIのキットがベースとなっており,翼以外のパーツのスプルーには,しっかりとエデュアルドの刻印がある。恐らくD.IとD.IIのコンパチ様と思われるが,上翼は,翼型ラジエターが中央にあるものと,全くモールドされていないものとの2枚が入っている。しかし,逆V字型の支柱が入ってはいるものの,どちらもN型支柱用の取り付け穴が開けられており,孔を塞いで,中央部に逆V字型支柱の孔を開け直さないといけない。当然胴体側も同様で,支柱の位置決めは自分で行う必要があるが,組立図ではその位置が特定出来ない。中期のエデュアルドのインジェクションということもあって,それほど合いに問題はないが,引けは多少あり,付属のパイロットは被弾したかの如く大きな穴が右脇腹にあった。恐らく死亡している。また,デカールにはガビアの銘が入っており,メーターなど細かいものは含まれていない。付属のエッチングは,エッチングパーツメーカーのエデュアルドのキットに付属する「これでもか!」という過剰な量ではなく,機銃の放熱筒や貼り合わせ後の処理に必要な部分を押さえて量で必要十分と言える。



制作について  (2019.10)
OAW製 Jasta2  D.391/16 Karl Büttner 搭乗機

この時代のエデュアルドキットでよく見掛ける構造がある。操縦席部の板材の取り付けが,根太の上に床材を張るタイプではなく,根太とツライチで床板を張るという妙な構造である。大きな引けもなく,パーツの合いもまぁまぁなので,作りにくくはない。しかし,そんなに簡単には完成に至らない。

簡易インジェクションやこの手の追加コンバージョンキットは,支柱が問題だ。先の胴体支柱の取り付け位置もそうだったが,翼間支柱が別スプルーで4本付いているが,元々ののスプルーに入っているものと全く同じで意味がない。実際,長さが全然足りない。また,ちょっと細すぎる感じで強度的にも問題が出そうだ。長さが足りないことには,塗装も済ませ,上翼を仮組する段階で気づいた。ということで,作り直し。強度面から作り直す必要があるだろうと思っていたので,あまり精神的ダメージはなかったので,粛々と進めた。試作支柱の長さが,珍しく1発ドンピシャだったので,4本を削り出した。更に,翼側のほぞ穴の位置もおかしく,一度塞いだあと,1.5mm程ずらして開け直した。

エンジンは,カウリングが付いた状態なので,露出度が低く,特にディテールアップは行っていないが,キットでは,エンジンと防火壁の間がスカスカだったので,かまぼこ型の燃料タンクを作って入れ込んだ。予想通り完成するとあまり見えないが,それでも覗き込むと上半分はバッチリ見えるので,わざわざ作った甲斐はあったようだ。それ以外には,尾橇の支点部の金属板の追加と,主脚のゴムダンパーを導線で巻いて追加した。付いているはずの風防(ただのアクリル板を切り抜くもの)が入っていなかったので,いつものようにタミヤの透明プラ板で作って取り付けた。

この個体の実機写真は上の1枚しか見つからず,塗装の精度に関しては,あまり拘ってはいないが,付属の組立図の指定イラストは,特に胴体背中の部分は間違いだと思われる。塗装は比較的単純ではあるが,文字のあるマーキングやアイゼルネス・クロイツは面倒である。描く楽しみよりも今回はシャープさを優先して,尾翼の機番は付属のデカールを使用した。糊が浮かないように,貼り付け面を磨いてから張ったが,デカールの厚みがそこそこあるので,よく見ると判るが,取り敢えず,擦りガラスのようにはなっていないのでOKだろう。車模型のビルダーなら,クリア塗りと研ぎ出しに膨大な時間を掛けて,ツルツル・ピカピカに仕上げることを楽しむのだろうなぁ。また,張線には,モデルカステンの黒いテグスの0.6mmを使った。操縦索はEZライン。

Gallery 1

Gallery 2

Gallery 3

Gallery 4

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