Halberstadt CL.II
● ハルバーシュタット CL.2  Halberstadt CL.II ●
実機について


1917年,カール・タイス(Karl Theis)によって,偵察・観測機兼,地上攻撃機として設計され,ハルバーシュタット航空機会社で約700機,BFW(Bayerische Flugzeug Werke)で約200機が製造され,1918年半ばに改良型のCL.IVに引き継がれた。

Cタイプに分類される機体は,複座偵察機を意味するが,その後Idfliegの改定により,Cクラスを軽量・コンパクト化したCLクラスが設定される。

1916年3月,ハルバーシュタット社は,150馬力のベンツBz.IIIを搭載したD.IV単座戦闘機を完成させた。しかし,評価が低く失敗に終わる。その後,D.IVの経験を活かし,当初は複座の偵察機として,C.IIの開発を始める。その後,CLクラスが設定されると,C.IIは,CL.IIと改称され,偵察・観測機としてだけではなく,地上攻撃機や護衛機としても使用出来るよう改良された。地上攻撃目的では,擲弾(トルネード弾)や手投げ式の小型爆弾が胴体外部に搭載された。

また,本来の偵察機として,無線装置やカメラが搭載された機体もある。そのバージョンでは,無線機と高々度を飛行する際の飛行服の暖房用の電源として,発電機が搭載され,エンジンのパワーで駆動するようになっている。ポート側の胴体側面外側の,エンジン後端辺りに位置する防水型の出っ張りは,機体からはみ出して設置された発電機のカバーであり,地上攻撃機として使用される場合には,この発電機は取り外され,側面の孔は平板で閉じられていた。


主な緒元
・全長:7.3m
・翼幅:10.8m
・空虚重量:770kg
・最大重量:1,130kg
・エンジン:Daimler-Mercedes D.III 水冷直列6気筒 160馬力
・武装:7.92mm Parabellum MG14 ×1(後部回転銃座),7.92mm LMG08/15 ×1(カウリング内前方機銃),10kg投擲爆弾(Wurfgranaten 15)×5までの爆装,1kgグレネード擲弾(Stielhandgranate)×10など。
・最高速:165km/h
・製造機数:1917年前半から1918年後半までに約900機
・上昇限度:5,000m
・上昇率:1,000mまで5分,5,000mまで40分
・航続距離:3h


キットについて
ミラージュ・ホビー(Mirage Hobby)

2009年にポーランドのメーカーから発売されたキットだ。A5版という小さい組立図には,資料として実機写真が多く掲載されているのはありがたいが,何分小さく判りにくい。また,この手のキットに多い,パーツの取り付け場所が判りにくい説明図には閉口する。3機分のカラースキームと,対応するデカールが付属する。翼の5色ローゼンジ迷彩のデカールは含まれないが,胴体部のボケたローゼンジ迷彩のデカールは付属する。大判のエッチング・パーツも同梱されている。

モールドは,簡易インジェクションのレベルを越えないダルいもので,細かいパーツもあるが,そのプラ素材は非常に柔らかいが,粘りが全く無く,すぐに折れる。これはローデンのキットに類似するもので,扱いにくい。インジェクションの質は良くはない。パーツの左右のズレが大きく,且つ,全ての湯口に不明な突起があって,処理には大いに手間が掛かる。

胴体モナカの合いは悪くはない。主翼・尾翼はトン付けなので,芯線を植えることは必須だろう。細かいパーツこそは付いているが,あくまで簡易インジェクション・キットと捉えた方がよいと思われる。組み立てには,プラモデル自体の組み立て経験と,多少の第1次大戦機の制作経験がないと,完成は難しいかも知れない。

また,発売から10年ということで,デカールには黄変はないが,使う段になると,水に浸けるとバラバラになるという,ありがちな結果に。このデカールは,解像度が低目で,よく見るとドット(ライン)が見える。元々の質が悪いようだ。やはり,デカールは多少値が張っても,カルトグラフ製がありがたい。


制作について  (制作2022年)


エンジンは,意味なく細かくパーツ割されているが,各パーツの精度や再現度が高まっている訳ではなく,技術の低さゆえのようだ。また,各シリンダーの順番や方向などを指示する合わせマークなどは一切ない。プラ材が非常に柔らかいせいで,接着剤によく溶けるので,多少の隙間なら埋めることが出来る。
バルブスプリングとタペットを自作して追加した。また形状が少しおかしい部分を修正しつつ,後部の補機も若干仕立てた。また,冷却水関係のパイプも真鍮線と真鍮パイプで作り直した。
ダイムラーD.IIIは,他社の割りと出来が良いレジンキットが,安価に入手が可能なので,それに置換えた方が手っ取り早いかも知れない。

コクピット部はそれなりに再現されているが,メーターは,メモリが印刷された透明プラバンを切り抜くなど,実用性が低いので,自作デカールを使用。無線機パーツは付属するが,カメラは含まれないので,自作した。カウリング内やコクピット部はパーツの取り付け位置がはっきりしないので,注意が必要だ。

主翼は形状がよく再現されており,各動翼も薄く作られているのがよい。反面,尾翼動翼は薄いので,エルロンを除き,いつもの芯線を植えることが出来なかったので,トン付けになった。また,主翼や尾翼の取り付け部は全く配慮されていないので,芯線を植えて胴体に接続した。

脚部は支柱と胴体との取り付け位置ははっきりしている。左右の支柱をつなぐ車軸とその前後の2本の補助軸があるが,補助軸の細いプラパーツは強度がなくて使えず,洋白線に置き換えた。主軸は問題ない。車輪はパルトのエッチングを使用。タイヤ(車輪)は,布カバー付きのパーツと,タイヤとリムだけのパーツの2種類が付属するのがありがたい。

ロールアウトをイメージし,かつ,第1次大戦機らしさを楽しめる模型として,胴体は木目に仕上げ,翼の上面は5色ローゼンジに仕上げた。下面はリネンのままとした。ローゼンジは塗装,マークはデカールを使用したが,先に書いたように,デカールは質が悪く,水に浸けるとバラバラになったので,マークフィルムをコートして使用したが,一部はそれでも対応出来ず,別のキットの余りを使用した。

張線は,パターンが少し変わっているが,1径間なので本数は多くない。モデルカステンの1/48用を使った。粘りがなく折れやすい翼間支柱の強度に気を使いつつ,適当なテンションを掛けて張線を張った。エルロンは,ニューポール機のように,ロットを使った構造となっている。

ちなみに,カラヤからもCL.IVのインジェクションキットが出ている。CL.IVはCL.IIを少し小さくし,エレベータがバランス式に変更されている程度で,基本形状はほぼ同じだ。ローラント社でライセンス製造された機体は,胴体がやや延長されている。カラヤは元々レジンパーツやレジンのフルキットを作っていたが,CL.IVは,確か初めてのインジェクションだ。とは言え,大きなパーツのみスペシャルホビーのタッチのインジェクションで,細かいパーツは,潔く,得意のレジンで作られている。そのため,パーツ割やディテールはミラージュよりも優れている。作りやすさは,実際に作ってみないとなんとも言えないが。


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 ギャラリー5

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