Douglas DC-6B UNITED Mainliner
 ● Douglas DC-6B UNITED Mainliner ダグラス DC-6B ユナイテッド航空 ●

実機について


Douglas DC-6B

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Redbull:故Dietrich Mateschitz氏所有機(恐らくザルツブルグにて)

© Richard Parkhouse (left) / © Marcin Szpak (right)


© europix


Douglas DC-6
1936年に,双発のDC-3を開発したダグラス社は,当初は軍用機として開発されたダグラス社最初の4発機であるDC-4を経て,与圧キャビンを持つこのDC-6が開発された。基本設計は,DC-4に準じているが,エンジンの更新などを得て,当時の名機として700機ほどが製造されている。初飛行は,戦後の1947年とされている。

DC-6の成功を支えたP&WのダブルワスプR-2800エンジンは,乾燥重量が約1t,スーパーチャージャー付きの18気筒 46Lで,多数の派生型があり,2,000から2,500馬力を発生する。1940年に量産が開始され,第2次大戦中には,F6Fヘルキャット,F7Fタイガーキャット,P-47サンダーボルト,B26マローダーなどに搭載され,1960年に製造終了になるまでに,125,000基以上が製造されており,その性能と信頼性の高さが判る。

DC-6のバリエーションは,貨物機のA型,旅客機のB型,貨客機のC型があり,軍用機バージョンとして,空軍用のC-118 Liftmasterと,海軍用のR6Dが製造されている。C118型は,トルーマン大統領時のエアフォースワン(VC118)として,またJFKとジョンソンのエアフォースワンとしてVC118Aが使用された。 また,アメリカ国内はもとより,日本航空を初めとする世界各国のエアラインで使用された。既に旅客機としての役割は終えてはいるが,極一部ではあるが,現在もカーゴ用などとして使用されている。上の写真のレッドブル機もそのひとつである。


DC-6Bの主な諸元
・全長:32.2m
・翼幅:35.8m
・全高: 8.7m
・空虚重量:25,100kg
・最大離陸重量: 49,000kg
・巡航速度:500km/h
・運用高度:7,600m
・航続距離:4,800~7,600km
・上昇率:330m/min
・乗員:操縦席3~4名,乗客42~89名
・エンジン:Pratt & Whitney 空冷2重星型18気筒2,500馬力Double Wasp R-2800-CB17×4
・製造数機:全タイプの合計約700機



UNITED Airlines (ユナイテッド航空)とDouglas DC-6B (UNITED Mainliner)
ユナイテッド航空は,ボーイング社のボーイングによって1926年に創立された航空会社である。その後,反トラスト法によって,製造部門がボーイング社に,運用部門はユナイテッド航空として分割された。アメリカン航空・ユナイテッド航空・デルタ航空・イースタン航空のビッグ4として,国内線でアメリカ最大のシェアを誇り発展し,後に国際線にも参入する。
このように会社は順調であったが,2001年の9.11ニューヨーク同時テロでハイジャックされた2機の旅客機が,このエアラインのものであり,その経済的損失と風評被害により倒産の危機に陥るが,なんとか再建し,2010年にはコンチネンタル航空と合併し,800機以上の機体を保有するに至り,世界370都市以上に就航する世界最大(距離ベース)のエアラインとして現在も存続している。

デンバー(Denver)路線機(N37559)

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デス・モイネス(DES MOINES)路線機(N37568)


別路線の塗装

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キットについて
ミニクラフト Mini Craft 1/144
この機体は,アメリカのエアラインはもとより,日本航空を初めとする海外の主要な航空会社で採用され,キットも,それぞれのエアラインのデカールが付属した複数のモデルが発売されている。今回選んだキットには,シカゴに拠点を置くユナイテッド航空のデンバー航路または,デス・モイネス航路に就航していた機体が作れるデカールが付属する。今回は,デンバー路線便に仕上げることにした。民間航空会社に関してはほぼ無知なので,デンバーとどこを結んでいたのかは知らないが,箱絵を見ると,どうやらハワイらしい。
ミニクラフトは,アメリカの会社だと思うが,製造は支那国である。全シリーズで2000個製造されたようだが,現在は既に絶版となっている。付属デカールモデルによっては,今でも多く流通はしているが,人気エアラインのデカール付属キットはかなりレアとなっているよで,このユナイテッド航空版もレアで,5,000円から10,000円と高額になっている。パンナム版は1,000円~2,000円も出せば買えるが,素組で済ませるにはそれでも高い内容だろう。



写真の通り,モールドは,各動翼の境目とドアのスジボリ以外,一切存在しないのっぺらぼうだ。手間は大いに掛かるが,考えようによっては,下手なモールドがあるよりも,潔く完全に放棄してもらったほうが,対処がしやすいとも言える。また,カウルフラップとして,妙なモールドが施されている。脚部は,解像度は低いが,スケールにしてはよく再現されている。内部は,客室は勿論,コクピットも一切再現されていない。パーツの合いは,比較的良い。特に,コクピット部のキャノピーの透明パーツと胴体との合いはかなり良い点は儲けものだった。前に作ったモノグラムの1/144のコニーはその部分が絶望的で,コクピットの窓を全て作り直さざるを得なかった。
このキットは,2004年頃のものらしいので,デカールの状態に問題はないが,あまり高品質とは言えない。やや薄いせいで強度が低く,若干白抜けする傾向があるが,なんとか使用出来る。カルトグラフのような高品質ではないので,雑に扱うと破れる。





制作について  (2023.1)
表面がのっぺらぼうなので,全面にスジボリとリベットラインを入れた。スジボリは,実機図面を参考に,ガイドテープとラインチゼルとノコギリ型ライナーを使い,リベットラインは,概ねそれらしく,コロコロリベッターで入れた。普段はかなり苦戦するのだが,今回は比較的綺麗にスジボリを入れられた。

また,今回最大の工作となったのは客室の窓だ。キットでは,窓周りの紺のラインと窓が,一体プリントされたデカールだったので,窓をクリアパーツに置き換えた。3mm四方のひとコマずつをくり抜く方法と,複数の窓をつなげて,間の胴体と共に細長くくり抜く方法がある。最初は1個ずつ個別に約3mm角の穴を開けて,そのサイズの透明プラ板を貼り付けて作った。瞬間で接着し,隙間も瞬間で埋めてしまって上から磨く。大きさに多少のばらつきは出るが,概ね綺麗に揃ったと思う。内部を再現していないので,中がくっきり見えないように,薄くスモーク塗装を施したが,ガラス感は十二分に残っている。

実は,胴体の塗装が完了し,デカールを貼る段階になって,窓の位置が間違っていることが判明した。前述の通り,当初はデカールを基準に窓の位置を決めて1個ずつ穴を開けていったのだが,このデカールは,中央付近で2分割されていた。そして,その長さが上手く合っておらず,前から合わせていったところ,機体後部の窓の位置がずれてしまったのだ。救いは,各翼を接着する前であったことだ。主翼・尾翼が付いていると修正の加工が難しくなる。ちなみに,今回は胴体と翼を個別に塗装を完了させた後で,それらを接着することにしていた。
ポート側は,最後尾の窓穴を1個塞ぎ,最前部(ほぼ主翼後縁辺り)に新たに開けることで対応出来たが,スターボード側は完全にずれてしまっており,既に新設の窓を取り付けて穴が開いていたので,修正が不可能だったので,後部の6個の内,最後尾の1個を除いた5個の窓部を全て繋いで細長くくり抜き,そこに透明プラ板をはめ込んだ。(下のおまけ写真参照)

詳細を書くと,タミヤの0.4mmの透明プラ板から,幅約3mm,長さ70mmほどを切り出し,くり抜いた胴体に嵌めて瞬間で接着する。胴体の穴は,超音波カッターで適当につなげてしまい,その後,カッターで綺麗に成形する。切り出したプラ板は,そのままだと胴体の湾曲に沿わないので,胴体に接着した後,外側に瞬間を充填し,かまぼこ型にサンディングしていく。瞬間というのは,途中の充填の仕方にもよるが,コンパウンドに至るまで磨き込むと,透明プラ板くらいまでの透明度になる。
磨き込みに関しては,ミスターホビーの電動歯ブラシのようなポリッシャーが重宝する。1,500円くらいと安価なのもありがたい。メーカーからは,#400・#600・#800・#1000の専用サンドペーパーが発売されているが,#2000から#7000のペーパーを,円形に切って古くなったメーカー製のサンドペーパーの上にリャンメンで貼り付け,コンパウンドは,長谷川だったかが出している白青の硬質スポンジみたいな研磨具を,やはり丸くカットして貼り付けて,それにコンパウンドを付けて磨いている。相当な量の磨きになる場合には,かなりの効率化が図れる。 その後,窓の部分に約3mm四方のマスキングを貼って,胴体色で塗装する。

今回は,シャープさを優先し,基本的にデカールを使用した。ライン関係は塗装である。コクピット後部のUNITEDの大きなロゴだけは塗装にした。理由はこの文字のデカールが,下地の紺の地の上に一体でプリントされているためだ。窓から続く紺の塗装色とデカールの色を完全に合わせるのが不可能だからだ。この問題は,胴体後部の”DC-6B Mainliner”のロゴデカールでも同様でだったが,デカールの面積が小さいので,その部分だけ塗装の色合いを変えながら,なんとか違和感なく繋げられた。
しかし,ここでも,問題が発生する。スターボード側が”M”の文字の前半分から前側が剥離し脱落していることに,水平尾翼を接着する段階で気づいたのだ。探したが当然見つからない。仕方なく,筆で描き入れることにしたが,ほぼ違和感なく仕上がった。下地はミスタカラーのアクリルだが,白文字も同じアクリルで入れた。通常なら修正し易いエナメルで文字などは入れるが,エナメルは,下地の状況によっては滲んでしまうので,最近ではフィギュアの目玉以外では使用していない。

コクピット部は,2脚の椅子のみを追加した。また主脚はなかなか良く出ていたので,若干のディティールにとどめ,前脚は,バラストが結構重いので,細いオレオ部を洋白線と真鍮パイプに置き換え,前照灯やワイヤー類を追加した。カウル部は貧相だったので穴を開けて撤去し,カウルフラップをプラ板で作って,半開状態で1枚ずつ貼り付けたが,かなり見た目が良くなった。

塗装は結構手こずった。独特の紺は,深い色を出すため,前作のセスナスカイマスター同様にクリアブルーを使ったが,その名の通り,クリアなので,隠蔽力がないので,極僅かにクリアブラックを混ぜて重ね塗りをした。また,胴体上部の白も,スジボリとリベットが僅かに見えるまで厚目に重ね塗った。翼と胴体下部は,できるだけジュラルミン感を出すために,下塗りの黒をツヤツヤに仕上げ,ミスタカラーのスーバーファインシルバー・エアブラシ用を薄く吹いた。シルバー系は,種類によっては,上にクリアを吹くと金属的な光沢が失われるものがあるが,実験したところ,このシルバーは大丈夫だったので,全面にクリアを厚目になるよう,何度も重ね塗りをした。一番厄介であったのは,上で書いた尾部の小さなゴロも,胴体の紺のラインに印刷されたデカールであった点で,下地の紺と塗装した紺と合わせるのに,部分的に色合いを調整する必要があった点だ。なんとか違和感なく仕上げることが出来た。その後,片側の欠損に気づいた時のショックは少なくはなかったが,すぐに無心になり,粛々と文字を描き入れた。

【おまけ】窓ガラス部制作の様子
胴体後ろの赤黒の細長いのが電池式ポリッシャー。ダブルアクション式(回転ではなく,30°~40°くらいで往復運動)なので,削れ過ぎがなく,コントロールしやすい。



サムネイルをクリックすると,1680dpiの連続した画像に飛ぶ。写真では,シルバー部の表面が粉っぽいが,肉眼ではもっと滑らかでピカピカ。紺のラインも照明で水色っぽく見えますが,実際は,かなり黒に近い深い藍色です。
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