Junkers Stuka Ju87G
● ユンカース スツーカ (Junkers Stuka Ju87G)  ●  1/144 スケール  

実機について


2次大戦時のドイツ空軍の急降下爆撃機(Sturzkampfflugzeug)として名を馳せる機体である。完成は1935年9月と古いにも拘らず,終戦まで就役が継続された。マイナーチェンジにより,A型からG型まで派生型が存在する。ちなみにE・Fは計画のみ,H型は練習機。速度650km/hを越える(実戦では500~600km/hで運用)ダイブにも耐え得る十分な強度を持ち,メンテ性も良く,操縦が容易な実用性の高い機体であった。一方で,通常飛行性能は,足が遅く,マニューバリティも低い上,防弾性能も不十分で,航続距離も短いという欠点もある。

本来,急降下爆撃は,ある程度制空権が確保された戦場でなければ作戦の成功が難しい戦法であり,戦略爆撃による攻撃の方が遥かに効果的であった。その為,戦争の中盤からは,爆撃機は複数の爆弾を搭載できる双発・四発化し,単発のJu87は徐々に活躍の場を失って行く。更に戦争後半では,連合軍が制空権をにぎる地域が増えると,昼間の爆撃が事実上不可能となり,夜間爆撃仕様に改装されていくが,地上支援機としては戦闘爆撃機のFw190が担うことになった。

ダイブ時に,主翼後縁とダイブブレーキの隙間が発するサイレンのような空気音に,敵が恐怖心を抱くということで,実戦投入直後のスペイン内戦から2次大戦開戦後1年間程度の間は,プロペラ先端に,後に主脚や尾翼部に威嚇用に空気笛(Jericho's Trumpet:ジェリコのラッパ)をつけた機体もあったが,すぐに使用されなくなった。

ジェリコのラッパを吹くスツーカ動画

ユンカース スツーカG型 (Junkers Stuka Ju87G)




上記のような事情から,もはや急降下爆撃機の戦略的用途は薄れ,G型は,対戦車攻撃機として1942年11月から開発が始まった。D-5型以降はこのG型も,D-3をベースに主翼端が60cm延長されて翼端が尖った感じになっている。本モデルは東部戦線冬季迷彩仕様の塗装である。




エース,Hans Rudel(ハンス・ルーデル)の要望で,対戦車37mm機関砲(Flak18)を翼下に2門装備され,それにちなんで Kanonenvogel(カノーネンフォーゲル)という愛称が付けられた。それまでのD型ではMG151/20 20mm機関砲が搭載されていたが,20mm対戦車砲に耐える装甲を持つ車両には効果がなかったが,そのような車両に対しても,この砲なら破壊力があり,1943年以降,20mm砲は37mmに換装されていった。

ちなみにルーデルの戦果は,戦車500両以上に加え,800両以上の車両の破壊という桁外れのものであった。




この機関砲と,1門につき12発のタングステン徹甲弾を収めたガンポッドは,Bordkanone BK 3.7と呼ばれた。これを装備することで破壊力が格段に向上した反面,重量増加による飛行性能の犠牲が生じた。




●  量産型の緒元 ●

・全幅15.0m
・全長11.5m
・全備重量6.6t
・最高速度375km/h
・航続距離1,530km(2h-2.5h)
・上昇限度7,500m
・上昇率5,000まで20min,
・エンジン:Junkers Jumo 211J, 35L, 1200hp, 720kg



模型について
ベースはエデュアルド製の古いキットであるが,悪くはない。極少数ではあるが薄いエッチングが付属している。


制作について
セミスクラッチでスーパーディテールアップとして制作した。コクピット部はレトロモデルのレジンパーツを入れたが余り出来が良くないので少々手を加えた。キャノピーはいつも通り,タミヤの0.4mm透明プラバンをバキュームプレスして制作した。
主輪は片側にowlモデルのレジンパーツを使用,前方のカバーを外した状態にした。同じくowlモデルのレジン製機関砲とマスターモデルの真鍮挽物の37mm砲銃身を利用し,ガンポッド部はそれらを使ってセミスクラッチし,一方はポッドカバーを取り外した状態に,他方はポッドの点検ハッチを開けた状態にした。
またキットの機首を切り落とし,エンジン・エンジン架・補機や配線・配管類をプラ材でフルスクラッチした。またエンジン下部のラジエターは内部に真鍮メッシュを仕込み,正面のスリットはプラペーパーで再現した。 この機体のアンテナ支柱は等幅で長いが,強度を得る為に0.5mmの洋白線をつぶして整形した。アンテナ線は伸ばしランナー。

マークは付属デカールに改造を加え,塗装は珍しい冬季迷彩にしたが,本来はグリーン系の迷彩の上に,刷毛で白線を描き込んでいるのだが,制作上の都合で白地にグリーン線で表現したのでやや雰囲気が異なる。写真が1枚見つかっただけで,所属やパイロットなどの詳細なデータはない。(制作2018年梅雨)

 ギャラリー1

 ギャラリー2

 ギャラリー3

 ギャラリー4

 ギャラリー5

 ギャラリー6

 ギャラリー7


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