紫電11型 ● 紫電11型 ●  マイクロエースベース  1/144  

実機について
通常の「進化」とは逆の,水上機から陸上機に改造された機種で,前身が強風であったは周知のことだ。開戦後まもなく局地戦闘機を必要とした海軍の要望にこたえるべく川西は,なるべく手間と時間をかけず陸上機に改修,その結果,中翼というどちらかと言うと珍しい形状の陸上機となった。例によってつきもののエンジンの不調に加え,中翼ゆえの長い脚がトラブルの元となった。

試作機には誉11型+集合排気管が,量産型には誉12型+単排気管が採用され,昭和19年10月に制式採用され,5800機程が生産された。

11の後武装変更された11型甲が6800機生産され,武装は主翼に4門の99式20mm砲を装備。初期型のカウリング内蔵の7.7mm砲は撤去されたが,カウリングはそのままだったので6門装備のように見える。

11型乙は250kg爆弾2発を懸架する戦闘爆撃機となり,水平尾翼が角ばった。丙型は97式爆弾4個を装備したものであり,丙型には跳飛爆弾や火薬ロケット推進装置を装備した実験機もあったという。

紫電はやがて12型,すなわち紫電改となり,低翼に変更され,尾翼面積の現象に伴い形状も変化するが,強風時代から紫電改まで一環してLB層流翼型が使われた。


キットについて
ベースキットはマイクロエースの紫電改だ。当時ものの手持ちがあるので使用した。現在はプラッツからモールドの細かい紫電改が発売中であるが,大掛かりなスクラッチの場合,逆に細かいモールドは邪魔になったりする。またキットの構造上,改造にはマイクロエースの方が向いている。紫電改として素組ですませることが出来るなら,言うまでもなくプラッツのキットの方が良い。が,スーパーディテイルアップにする場合には胴体と主翼・尾翼しか使わないし,筋彫りやリベット打ちをするのでどっちでも関係ないので個人的になぜか好きなマイクロエースに決まり。(制作2008年)


制作について
主翼取り付け位置の変更というハーフスクラッチではあるが大掛かりな改造となる。更に,垂直尾翼やガンポッドの改造・制作の作業も必要となる。また,この機体は長い主脚が特に見せ場なので,頑張って再現してみた。

マイクロエースのキャノピーは使いもにならないので,大分ましなプラッツのものを使おうと思ったが,やはり透明度に不満があったので,いつも通りのバキューム抜きにした。キャノピーに関しては,大きすぎだの小さすぎだの色々聞くが,タミヤの72キットでは小さめ,長谷川の48スケールでは大きめなようだが,確かにマイクロエースのものはちょっと小さい気がする。

塗装とマークに関しては,色々なパターンがあったようだ。上面は同じ濃緑色だが,下面は銀と明灰色がある。銀はジュラのままではなく,銀を塗ってあったそうだ。また,スピナーとプロペラ,アンテナ支柱の色にもバリエーションがある。更に,胴体の日の丸に白縁があるものとないものがあるが,ないほうが紫電らしいと勝手に思っている。垂直尾翼の戦隊マークは,陸軍機とは異なり,図柄がないので少し楽そうだが,反面,数字が多いので余計大変かも。

恐らく日本で唯一の中翼戦闘機だと思うが,中翼機は独特の味があってかっこいい。オムスビ形の垂直尾翼もいいね。知名度で上回る紫電改よりも,そのスタイルは遥かに魅力的だ。


 ギャラリー1
 ギャラリー2