Ki-115 剣 ● Ki-115 剣 (Tsurugi) ●  1/48 スケール  

実機について
太平洋戦争末期に特攻機として製造された飛行機である。物資が底をついた状態での製造にあたっては,木製の胴枠やリブにブリキ板を張って作られた。主脚も特攻機には不要なので,離陸後に滑走路に落下させてリサイクルするようになっていた。設計開始から1ヶ月で試作機を飛ばし,約100機を量産した。

特攻機とされてはいるが,本来は爆撃機としての位置づけだったらしい。また,実際には特攻機としても使用されなかったと言う。恐らくは練習機としての用途に当てられたのではないだろうか。なお,機銃などの装備は一切なく,落下式の胴体半埋め込み式の爆弾を装備出来た。最高速度が高度2800mで550kmだからお話にならない。

Type28の緒元
エンジン ハ115複列星型14気筒1100HP
全幅8.57m,全長8.55m,自重1.64t,最高速度550km/h,装備250kgまたは500kgまたは800kgの爆弾のいずれか


キットについて
東欧のキラ星エデュアルドの1/48スケールのキットだ。この会社は元々,既存キット用のエッチングパーツを数多く提供してきており,10年程前から簡易インジェクションで複葉機を中心にキット化し始めた。最初期のものは流石にそれなりの出来だったが,年を追うごとに出来が良くなり,2000年以降は既に簡易とは言えないレベルの出来となっている。

ことに2005年頃からは組立図もカラー化し,更にシャープなパーツで構成されている。各部品の合いも現在の長谷川やタミヤのレベルに迫るものがある。このメーカーは「ノーマルキット」に加え,エッチングパーツを同梱した「プロフィパック」というシリーズもあり,制作技術にあわせて作り込める。最近ではノーマルキットを「ウイークエンドバージョン」としてかなり安価に提供し始めている。また2006年より戦車関係もキット化し始めている。(該当機発売2005終わり~06年頃)

制作について
上にも書いた通り,最近では大変魅力的なメーカーで,特にストレスなく組んでいける。デカールも上質のものが付属しているが,基本的に塗り仕上げの私には宝の持ち腐れ。東欧のキット全般に言えることだが,プラ質は柔らかめ。非常に小さく細いパーツもプラでシャープに再現してあるが,その細さゆえに制作中に壊れ易いのが残念。計器版はフィルムで再現されていてシャープである。

完成後はあまり見えないコクピットの奥の方とかエンジンの奥の方は簡略化され,見える部分は相応に再現されているバランスの良さも不用意に部品数が増えず,組み立ての時間を節約出来てよい。エッチングにないパーツなどは自作金属パーツに置き換えたりすることで,作る楽しみも得られ,キット部品だけでストレート組してもよし,手を入れてもよしと,なかなか好感の持てるキットだと思う。ここで挙げた特徴はこの機体に限ったことではなく,このメーカーの最近のキットに共通して言えることで,私にとってはなくてはならないメーカーのひとつである。

 ギャラリー1
 ギャラリー2
 ギャラリー3
 ギャラリー4