ページ内では出来るだけ時系列順に写真を並べたが,詳細不明の為に時代が前後していたり,形式名が誤っている可能性があることを含みおいて欲しい。


ル・ローヌ(Le Rhone)社  

同じくフランスのルイ・ベルデ(Louis Verdet)によるローヌ社は1898年には最初の自動車用エンジンを制作,1906年からは航空機用エンジンも制作し始める。

Le Rhone 9C 1912年 馬力80hp 乾燥重量119kg (こちらがプロペラ側)  搭載機:ニューポール10B(nieuport-10)(1914年), 112128RAF SE4Sopwith F1 Camelなど


このエンジンでは,クランクケース前方内部にインテイク用とエキゾースト用の2つのカムある。混合気はクランクケース内部から銅製のパイプでシリンダーヘッド部に導かれ,上部の吸気バルブから取り込まれる。また,クランクケース内の2つのカムの動きは,図中にあるような形状のロッカーアームと1本のプッシュロッドを介してシリンダーヘッドにある吸気バルブと排気バルブの両方を作動させている。


という訳で,多数の写真を載せてはみたが,ではエキパイはどこにあるのか?目を凝らすも発見出来ない。排気バルブは見えるのに...。そう,ロータリーエンジンなのでエキパイは当然ないのだが,排気口がない訳はない。(上図中の赤い矢印と描きこみはこのページ制作時に加筆したもの)

実は,排気口は各ヘッドの排気バルブの周りにある...言い換えると,排気口(バルブシート面の外側)の円周部に2本脚のやぐらを立て,その中心部に排気バルブのシャフトを通してあるのだ。つまり,そのやぐらの脚の間の穴が直接シリンダー(燃焼室上部)に貫通しており,潤滑オイル混合の燃料を燃やした後の排気は,そこから文字通り,バラマキ放題にされる訳だ。高熱で酸化したオイルを常に浴びるバルブシャフトやその周りの可動部は,飛行後1〜2日放置しておけばきっと錆付いたに違いない。



1910年から1911年に掛けて7気筒の「Le Rhone 7C」ロータリー・エンジンを制作し,1912年には90kgの重量で50〜70馬力を生み出した。その後80馬力の9気筒エンジン「Le Rhone 9C」を開発する。軍用機に使われるようになったのは「ローヌ9C」からのようで,モランソルニエやニューポールの機体に搭載された。






Le Rhone 9C 80hp






もっと Le Rhone エンジンの詳細が必要な場合には この pdf ファイル(3.8Mb)を参照。ただし,説明文は仏語である



ドイツではすべてのローヌエンジンをオーベルウーゼル(Oberursel)社が生産にあたり,製品名にUr−を付けて売り出したが,その性能や信頼性はあまり高くなかったようで,パイロットの評価は低かったと言う。ライセンス製造も含めた9Cの総生産数は数万個にも及ぶ。

Oberursel-UR.II (=Gnome et Rhone 9J)




ローヌ製ローターリーエンジンの種類について

Le Rhone Type 7A
1910 50hp Borel単葉機とSommer複葉機用に20台製造された

Le Rhone Type 7B
1911 50hp 35台製造の試作

Le Rhone Type 7B2
1912 60hp 350台製造

Le Rhone Type 9C
1916 80hp 多数製造 グノームとの合併後

Le Rhone Type 9J
1913 110hp

Le Rhone Type 9Ja
1915 110hp

Le Rhone Type 9Jb
1916 120hp

Le Rhone Type 9Jby
1916 130hp

Le Rhone Type 9R
1916 170hp

Le Rhone Type 14D
1912 2 row (7シリンダー×2)

Le Rhone Type 18E
1917 2 row (9シリンダー×2)

Le Rhone Type 28E
1918 4 row rotary(7シリンダー×4)

Le Rhone Type 11F
1918 11シリンダー rotary

Le Rhone Type 9Z
1920 9シリンダー rotary

Le Rhone Type K, L
1916 9シリンダー rotary 試作

Le Rhone Type M, P, R
1917 9シリンダー rotary 試作


グノーム・ローヌ・クレルジェ・オーベル=ウーゼル以外にもジーメンス=ハルスケやベントレーもローターリーエンジンとしては有名である。それらを含めた参考資料(洋書)として「The Rotary Aero Engine/The Trustees of the Science Museum 1987/HMSO BOOKS出版(ISBN:0-11-290452-1)£5.95」を紹介しておく。著作権の関係で表紙と目次のみの表示に変更。






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「1巻」では,この時代のフランス機のほぼ全機と,フランスのエンジンについてを詳細に説明しています。
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