ページ内では出来るだけ時系列順に写真を並べたが,詳細不明の為に時代が前後していたり,形式名が誤っている可能性があることを含みおいて欲しい。


グノーム・エ・ローヌ(Gnome et Rhone)社

数年間の間,グノーム社とローヌ社は激烈な市場競争を行っていたが,1915年1月遂に合併するに至った。ローヌの9Cシリーズは,新会社でも開発が進められ,やがて110馬力の9Jや9Nが開発された。また,当初は制式なライセンス契約の下でドイツのオーベルウーゼル社でも製造していたが,当然ながら,開戦後には生産ライセンスは取り消されている。しかし,戦時下にライセンスが取り消されたからといって,生産を止めるものなのだろうか。

Gnome et Rhone 9J 1917 馬力110hp (下=1枚目の写真は,Le Rhone 9C 80馬力)



実は,ローヌ9C(80hp)と,下の3枚のカラー写真のグノーム・エ・ローヌの9J(110hp)をよく見比べるとわかるのだが,前者の吸気パイプはエンジン表側から,後者は裏側からシリンダー・ヘッドに伸びている。








Gnome et Rhone 9N 1917 馬力160_hp



1916年には7気筒80馬力の「Gnome Monosoupape 7 Type A」と9気筒100馬力の「Gnome Monosoupape 9 Type B-2」,1917年には9気筒150馬力の「Gnome Monosoupape 9 Type N」を制作している。

Gnome Monosoupape 100hp



Gnome Monosoupape TypeN 1916-7 馬力150hp
このように,第1次大戦中軍用機に使われていたローターリーエンジンは,どの国の機体でも,すべてがこのグノーム,もしくはローヌ社の,あるいはその後のグノーム・エ・ローヌ社というフランスのエンジンをベースとするものであったが,製造国の技術の差によって,出力や信頼性には大きな差があったようである。




グノーム・ローヌ・クレルジェ・オーベル=ウーゼル以外にもジーメンス=ハルスケやベントレーもローターリーエンジンとしては有名である。それらを含めた参考資料(洋書)として「The Rotary Aero Engine」を紹介しておく。データが大きいので2部に分割した。
The rotary aero engine 前半

The rotary aero engine 後半

更に詳細なデータサイト「サフラングループ博物館」:数十部にわかれた本でグノームとローヌの情報が見られる。無料だがフランス語と英語のみ。エンジンや機体の写真が豊富なので,是非訪れるべし。ポスト1次大戦の資料が中心。データが大きいので読み込みに時間が掛かる。

SAFRAN サイト