● プロペラプロテクターと機銃同調システム ●
1次大戦が開戦前後は,まだプロペラを挟んで機種から敵に機銃を発砲することは至難の技であった。モランソルニエは,プロペラ・ブレードに,金属製のレフレクターやプロテクターを装備することで,自機のプロペラへの被弾から免れていた。




とはいうものの,既に開戦の何年も前からシステムの試作は試みられており,1909年にドイツ初の航空機操縦免を取得した後に,飛行学校を設立していた「August Euler(アウグスト・オイラー)」が前方固定式機銃を航空機に取り付けることに対する特許を申請している。実際に特許を取得したのは,スイス人技師「Franz Schneider(フラン・ツシュナイダー)」であった。彼は,フランスの「Nieuport(ニューポール)」社から「LVG(Luftverkehrsgesellschaft m.b.H.)」社へ移籍し,具体的な発明品の機銃プロペラ同調システムが正式に認められたのは,1913年7月15日のことであった。しかし,当時のプロイセンの陸軍大臣はその有用性を見出すこと無く,実際に採用されたのは,その翌年に,フォッカーが改造を施した「Stangensteuerung」であった。これはパラベラムMG14と組み合わされて,ようやくフォッカーE.Iに採用されることとなる。