シャルンホルストの船体・甲板
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ハルの舷側部は丸窓と雨よけは再現されているものの,鉄板の継ぎ目溶接の跡のモールドは無い。このスケールでは実際には目視出来ない程度かも知れないが,模型的配慮として追加した。艦船模型に詳しい方の助言などから,当時の鋼鉄の圧延機の規格を想像して幅1.5m,長さ6m位が一枚の鋼板の大きさとして妥当だろうという判断でスケール化した。



手際の悪さもあって丸二日掛かってしまった。手慣れた人なら半日仕事に違いない。また,真底の部分は展示時には見えないので省略し,横から見える船艇部分より上部に施した。
また,キットの地のプラ色がライトグレーなので,パテとの区別がつきにくく,一度艦艇色を先に塗ってある。その時点では,写真にある通り,まるでレンガ積みの倉庫の壁のような様相だ。そのように見えたのは,パネルラインの間隔が密過ぎたせいだろとうと思い,片面を終了した時点で潔く失敗を認め,間隔を大きくしてやり直そうかとも考えたが,折角なので取り敢えず作業を続けた。
シャルンホルストは竣工時には舳先は垂直に切り立っていたが,後に本モデルのような形状に変更された。その部分の継ぎ目もそれらしくパターンを変えてみた。必要な部分全体に溶接跡を施した後に,艦艇色で再塗装したところ,当初感じた「レンガの壁」は艦艇の舷側として蘇った。



航空機模型もそうであるが,なんでもかんでもプロトタイプをスケールに沿って縮尺再現すれば良いというものではない。今回の件はたまたま結果オーライとなったが,スケールに沿った再現の程度や色あいの調整というのは模型作りでは非常に大切な要素だと思う。勿論,趣味の世界なので,どこをどうするかは個人の勝手に過ぎないが。





このキットの購入を検討している時に,ネットで得た情報の中に,2分割の甲板のパーツの合いが悪く,「数ミリの隙間が出来る」というのがあった。まぁ,長さが50cmもある模型なら,2分割としてもそのくらいの隙間は仕方なかろうと思い,購入を決断した。大げさな言い回しだが,ご存知の通り,艦船模型は1/350ともなると高価で,社外エッチングも含めると3万円近くにもなる。よって,特に艦船ファンでもない私は,面白くないキットなどは買いたくはないのだ。



この甲板の隙間だが,組立図を見ていて,仮に隙間があったとしても全く問題ないことが,すぐに分かった。なぜならその上に艦橋デッキが載っかるからだ。なので,特にパーツを取り出して確認することはしなかった。実際,後に仮組みした時点でも,確かに5mm程の隙間はあるが,修正などの必要は全くない箇所だった。隙間がある理由は分からないが,完全に密封することで内部の空気の膨張などが問題になるので敢えて作ってあるのかも知れない。ハルはしっかりとした厚みのパーツなので問題はないのだろうが,電飾を入れる関係で,念の為,隔壁などに孔を開け,密閉部をなくしておいた。



次に甲板の表現だが,実際の欧州の軍艦の木甲板は白木を使っていたと小耳に挟んだが,真偽の程は知らない。一般的には甲板材として用いられるのはチークやマホガニーといった木材であるが,それらは通常赤っぽい褐色である。よって白木だとするとなんだろうか。白木と言っても木の種類は沢山がるが,最近ホームセンターで簡単に安く入手出来る2×4(ツーバイフォー)材(≒S.P.F材)は,いわゆる北米産のマツ科の白木で,スプルース(とうひ)・パイン(松)・ファー(とがさわら≒もみ≒つが)で,同じくホワイトウッドと呼ばれる欧州産の同種の材木である。つまり松材くらいしかない。松は脂分が多く柔らかく,実は脂分が多い割に水に弱く腐りやすい。よって本当に当時の軍艦に松系の白木が使われていたとは考えにくい。ヤケや汚れで白っぽくなった別の木かも知れない。が,艦船は守備範囲外なのでこれ以上の詮索はしないことにする。



この模型では,自分なりの「木」のイメージで塗った。複葉機の翼間支柱やプロペラに通じるところである。ただ,スケールが10倍も異なるというのがネックだ。よって,複葉機のようにはいかなかったが,まぁ,それなりに満足している。シート状の木甲板ば市販されているそうだが,この船体用があるかどうかは知らないし,実際に使用した人の感想では経年変化でソリがでてしまうそうだ。また,実際の木割いて貼り付ける人も居るがご苦労様である。それはそれでいいのだが,木目のスケールは1/1,船は1/350というのがネックだ。この辺りは好みだろう。甲板に関するもう一つの問題点は,縦目のモールドはしっかり(深過ぎ?)あるが,長さ方向のモールドがないので,船首から船尾まで1枚物の板になってしまっている。そこで,横目をナイフで入れた。地味な作業だったww



私は基本的に「プラモデル」を作ることが好きで,ハイブリッドな素材は極力避けたい。よって複葉機の場合には,機銃の放熱筒以外はエッチングは使わない。ただ,艦船模型ではどうしてもエッチングが不可欠になるが,しかし,甲板などに実際の木材を使うつもりにはならない。やはりプラスティクという素材にラッカーで色を塗ることで木に見えるように作るのが,プラモデル制作の醍醐味だろう。

仮り載せしてある砲塔は派手で気に入っている。どの艦船模型を見てもこんな色あいの砲塔はなかろう。とは言え,勝手に私が塗った訳ではない。実艦の塗装である。1年後には再塗装されてグレー系に変更されている。また砲身のカバーも通常は白系であるが,この迷彩時にはオリーブドラブ系だったようだ。キットと社外エッチングの設定年と作っているものとが異なるので,砲塔の上部前寄りの「M字」の手摺などは,別艦用のものを使っている。近所の模型屋で唯一売っていた(売れ残っていた?)日本の空母用の,それも1/700のものだ。





次に煙突周りについて。まず,スチームエキパイに関しては,モールドがなかなかシャープだったので,ドリルで孔を開けていたが,孔の太さが0.3mmと0.2mmの2種類のドリルが必要と判明し諦めた。0.3mmは常用しているが,0.2は非常に折れやすいので,もう使っていない。よって,全てを外径0.3mmと0.4mmの真鍮パイプに植え替えた。また,ジャッキステーはエッチングだが,パイプ類は真鍮線に置き換えてある。



ボート置き場の柱の間にステーを入れることでかなり雰囲気が良くなった。煙突部の工作は終了しているが,作業中に出来たエッチング部の塗装のハゲの再塗装は完成時に行う。なお,ボート置き場下のデッキには,取り付けるべきパーツがまだまだ残っている。



ひとつのブロックを,どの時点でどこまで組み上げて置くと以降の作業がスムーズで,壊しにくいかといった要領がわからないので時間が掛かって仕方がない。



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