シャルンホルスト  Scharnhorst 1/350 Dragon



さて,艦船模型界では1/700が百花繚乱状態である。船団を作るならそれもよいが,単体で展示するならやはり1/350が適当なサイズだろう。ということで,ドラゴンの1/350のシャルンホルストのキットを探してみた。ふむっ,時既に遅し。発売当初は1万円を切る価格で販売していた通販店はどこも売り切れ。が,13800円の定価かそれに近い価格なら数件の店には残っているようで,その中で一番安い店に注文した。安いとは言え,送料を含めると1万3千円程だったと思う。
↑ キットの組立図は裏表両面で,合わせると新聞の一面と同じ位ある。

このキットはドラゴンが社運を掛けたという鳴り物入りの商品だけに,モールドなどはシャープで素組みでもかなりいい線にはなるのだろうとは思うのだが(実際に作った人の話によるとハルと甲板の合いが悪く,2分割の甲板は長さが足りないらしい),俺にとっては艦船は守備範囲外なので,これが最初で最後となることは明らかだ。よって,出来るだけディテールアップしたものにしたい。艦船の知識がないのでEP頼みのディテールアップとなってしまうのは致し方ない。


下の写真のように,本体キットにも4枚のEPが付属してはいるのだが,イメージする完成時の勇姿には程遠い。そこで発売されている社外品のEPを調べる。すると艦船用EPでは有名なライオンロアがまっさきに見つかった。更に探すと,フライフォークからも発売されている。どちらもドラゴンと同じ中国製で,プラモデルキットの世界も中国に席巻されつつあるのは間違いない。


前者は約1万円,後者はやく1万6千円!ぎょぎょっ!!艦船用のEPは本体キットより高いのは常識であるということは知っていたものの,自分がいざ当事者となると流石に二の足を踏む。どちらにするか決める途中,やけになって,両方をポチッとしそうになったが,理性を起動させて一方にした。フライフォークの方だ。値段が高い分,内容もライオンロアよりかなり濃い。難点はライオンロアに付いている艦載機のアラドがフライフォークには付いていない点だ。実はそれが引っかかって,両方買おうかと一時は悩んだのであった。


このスケールならスクラッチしてしまおうとも思ったが,3機必要なので止めて,更にあれこれネットで調べていると,1/350のアラドのキットを発見した。フランスのL'ARSENALというメーカーのものだ。2機入りのレジンでプロペラやフロート支柱がEPという構成で,1000円位と,ちと高いと思いつつ,2個(4機分)の在庫があったので2個買った。ライオンロアのアラドはキャノピー(枠)がエッチングだが,こちらはレジンソリッドなので,透明化の工作が必要になる。これで素材はほぼ揃った。
↑ 見よ,この膨大なEPのシートを!ズシッと来る本物の重み!!あぁ...めまいが...するのは気のせいだろうか...。

      フライフォークのEPの説明図がこれだ。こちらも裏表に印刷されており,やはり新聞を広げた位の面積のになる。↓



しかし,なにぶんにもシャルンホルストどころか艦船自体に殆ど全く知識がないので何か資料が欲しいところだ。日本の艦船に関しては,国内の出版物か色々出ているし,ビスマルクのものは少しあるようだが,使えそうなシャルンホルストの資料は見当たらない。そこでまたネットのお世話になる。探していると,ドイツの軍事書専門の書店がドイツのe-bayオークションに出品している本を発見。最近出版された新刊のようだ。


「WaldemarTrojca」著のVDM出版刊である。この著者の資料本は多数発刊されており,その後取り寄せた「∪ボート大辞典」も彼の手によるものである。他にも各国の陸海空の資料本が揃っているのは流石欧州である。いかんせん,シャルンホルストの方は記述がドイツ語あるのが少々不便であるが,内容は,当時の写真が中心で,精密図面と各装備の詳細3Dカラーイラストなどがふんだんに使われているのでキャプションが日本語でなくても模型作りの資料としては十分である。また,乗組員の写真や戦歴や航行ルート記録が海図上に表されていたりと,シャルンホルストに関してはこれ以上の本はないと言えるだろう。ドイツのショップでの価格は約30ユーロ,送料が20ユーロで,5千円ちょっとになる。有益性を考えれば高くはない。


∪ボートの方は絶版中で,重さが2.5kgもある分厚い本だ。ドイツの同じ書店で99ユーロと格安で購入出来たが,EMS送料が40ユーロもした。合計で約1万5千円といい値だが,その内容とボリュームを考慮すると安いくらいだ。こちらのキャプションは英語で,3Dイラストは,ミゼットはかなり広範囲に網羅されているが,反面,大型艇は7型と9型が少しあるだけである。著者自身が2版を出版する機会があればイラストの増補の必要があると認めているが,その後もう8年になるが再版の気配はない。また,誤植も多いが,写真や図が中心なのでまぁええじゃろ。

VDM Heinz Nickel

model hobby

J.J. Fedorowicz Publishing Inc.


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