カブリオ(cabrio)とは

2009.02.02

年式・平行・ディーラー・クーペ・カブリオといった違いについて



カブリオ(cabrio)とはいわゆるコンパチ車,つまり開閉が可能な屋根を持つ車で,フォーツーは電動式の幌(ソフトトップ)です。昔のホンダ・ビートは手動脱着の幌屋根を持ちます。マツダ・ユーノスロードスターは幌ですが,一部手動脱着のハードトップもあるようです。


同じスマートでいうとロードスターというスポーツ車にはハードトップ(ガラス)とソフトトップのものもありますし,ダイハツの軽コペンはフル電動作動のFRP製ハードトップ,かつてスズキ・カプチーノは手動脱着式のハードトップが装備されています。


コンパチ車というのはどのメーカーのどんな高級車でも多かれ少なかれ雨漏りがするもののようですが,私のところでは屋根と壁のある車庫で保管し,かつ雨の日には乗らないつもりなのであまり問題にはなりません。


購入までに何年も時間があったので,色々とスマート・カブリオについて調べましたが,幌開閉機構が結構デリケートなようで,破損や故障が多そうです。しかし,購入して機構をよく観察し,実際に作動させてみると,デリケートである点は間違いないようですが,特に壊れ易い訳ではなく,適切な扱いと定期的なメンテナンスが欠けていることが原因のようです。なんとこの幌と開閉機構部一式の交換となると50万円掛かるとのこと,大切にしないといけないですね。


スマートのメンテで一番困るのは小さなパーツが部品ごとに出ないところにあります。ほとんどがアッセンとしてまとまりでしか供給されないところにあります。ですから10の部品でアッセンブルされた部分のネジ1本が折れただの,ツメ1箇所が折れただの,マイクロスイッチが1個壊れただけで,丸々全体を交換となるのが殆どです。わずか数百円から数千円の部品が壊れた為に数万,時には数十万円出してパーツを交換することになります。


スマートのパーツが高いと言われるのは,正確にはこのように殆どがアッセン供給であるせいです。個別で供給されるパーツに関しては国産車と大差ありません。あのドイツともあろう国がどうしてそういう非合理的なことをするのか腑に落ちません。ガンガン売れるような車なら個別パーツの提供もあったかも知れませんが,採算を優先するとそういうオーナー泣かせなことになるのでしょうかね。



こういう格好で車を降りると,近くを散歩していたおじさんに「あんたがたぁ,そんなに寒いところから来たのかねぇ?」と怪訝そうに尋ねられた。真冬のこの日,気温は12度前後,雲ひとつない晴天で風は微風から秒速5mくらい。

別のところにも書いたように,窓を閉めておくと屋根がフルオープンでもあまり寒くはない。ヒーター弱でも60km/h程度なら快適だ。ではどうしてこんな格好?暑いのです。顔が。そう,直射日光が当たり,暑い。紫外線がもろに当たるので日焼けもします。日焼けは大敵。美白が一番。カブリオ不慣れで日焼け対策まで頭が回らず,てるてるぼうず状態になりました。

 







2000年に購入したスマートクーペは2000年型の平行車で,今回のカブリオは2001年型のディーラー車です。出来れば所有のクーペと同年式の平行輸入のカブリオが良かったのですが妥協しました。

平行車とディーラー車とでは各部に違いがあります。例えばフロントウインドーのウォッシャー液の噴出し口は,ディーラー車は良くある車のようにボディから飛び出しますが,平行車はワイパーブレードに吹き出し口があります。メーターパネルのデザインにも若干の違いがあります。

またマフラーの内部構造も異なるようで,音が違います。平行車の方が低くずっしりと響く音です。走行中もアイドリング時も太く低い音質です。一方,ディーラー車は周波数の高い音質で,国産の軽っぽい音です。平行車のこの音質は,スポーツカーのフィーリングを与えるのに大変重要なファクターとなっていると思われます。



助手席ウインドーのパワースイッチの位置も異なります。平行車はドアにあり,ディーラー車はドアのスイッチが取り外され,フタがされており,代わりに中央コンソールラジカセ横に新設されています。写真右端の縦長のスイッチがそれです。便利と言えばそうなのですが,野暮ったいデザインでスゥオッチのセンスなど全く無視した無粋さです。どちらも押している間しか動かず,ワンプッシュで完開・完閉が出来ません。



右ハンドル仕様も選べる点がディーラー車の特徴です。スマートKとして後に販売されたものは右ハンドルしかありません。私のクーペは当然左ですし,このカブリオも左ハンドルです。メーターのスピード表示の数字のフォントも違っています。角ばってスポーティな感じですね。

年式の違いで言うと,2000年型はフロントサスがリーフ式,2001年以降はコイル式になっています。前者は動作が硬く,乗り心地が良くないのですが,反面,ステアリングの動きがダイレクトに路面に伝わる感じで,これもスポーツカーのフィーリングを生んでいます。後者は若干の乗り心地の向上に寄与していますが,ギャップやコーナーでのふらつき,ダイレクト感の減少などデメリットがあり,私はこの変更は失敗だったと思います。



リーフ式の方がはるかにスマートの魅力や面白みを増します。質の良い高級セダンは別として,節操のないフニャフニャのサスの車ばかりのいま,それが魅力となるものならば,こういう硬派な足回りの車があってもいいと思います。2001年型は内装のカラーリングが地味になりちょっと物足りない。レブメーターも時計も地味。

クーペとカブリオそのものの違いは,言うまでもなくルーフの有無です。ボディにガラスルーフをボンドで接着したクーペに対して,カブリオは電動式の幌屋根です。スマート軽はクーペのガラスを樹脂に変えたものです。電動式とは言え,幌の開閉は電動ですが,ロックやピラーの脱着は手動という半自動のシステムです。

またカブリオはシート高が2〜3cmクーペよりも高いはずで,当然ポジションも高くなります。僅かな差ではありますが,雰囲気が変わります。シート高が高くなっているのは,小物を保管するロック付きのボックスがシート下に取り付けられる為だと思います。このシート高の違いもちょっと気に入りませんが仕方ないでしょう。




スマートの経緯に戻ると,最初期の加給式600cc電磁クラッチ式6速シーケンシャルミッション車が発売された後,前後タイヤ幅が狭く作り全体がコストダウンされている日本向けのスマートKが発売されましたが2〜3年で販売終了になり,やがて排気量が加給式700ccに変更されました。

2008年にはNA1000ccの三菱エンジンと5速シーケンシャルミッションを組み合わせ,数十センチ全長が長くなったスマート451と称される車が発売されました。現在はクーペ,カブリオ,Kに関わらず600ccのスマートは新車では購入出来ません。700ccのスマートもまもなく販売終了になるでしょうし,そn時点でスゥオッチ・スマートは絶滅することになります。

451は全体の形状はスゥオッチ・スマートを踏襲していますが,フロントビューはどこか他社で見たような面構えになっていますし,初期のスマートとはどことなく違った車になってしまいました。また200万円前後の価格もあって,スゥオッチ・スマートファンにはいまひとつ受けがよくないようです。性能や快適性の向上は否定しませんが,私は全く魅力を感じません。


車の魅力を計るには,性能や快適性はその要因の一部でしかないと私は思っています。もう一台のクーペの方は,12万km近くになりますので相応のパーツ交換はして来ましたが,大きなトラブルもなく,「当たり」だったと思っています。このカブリオにもそうあってもらいたいものです。この2台のスマートは手放すことなくずっと修理を続けて乗り続けるつもりでいます。






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