トラブルと対策 8

2014.06.01


グゲッ! orz なんで...(68100km)




ピカピカに磨き上がったかめむしくんを駆って岐阜の新・旧の旅足橋を見に行った。旧橋は数年後には拡張されるダムに沈む運命にある。橋脚の高さ100m,谷底からの高さ200mというノッポの新旅足橋を含む新道が既に供用されている。



旧橋は既に旧道化したダム湖の湖畔にある。旧道化したとはいえ,まだ路面は全く荒れていないが,行き交う車はない。非常に味のある旧橋を楽しんだ後,それは起こった。


全く荒れていない路面にたまたま数個の落石があった。十m以上手前で発見し,高さは5〜6cmのもので,十分に跨げる大きさだった。で,いつものように跨いだはずだったが,どういう訳か底部にヒットした。ど真ん中で跨いだつもりだったが,前輪で跳ねたのか,はたまた路面が傾斜していたのか,今でも納得が行かないが,ヒットした事実は事実である。


たまに前輪で跳ね上がった小さな落石や枝が樹脂のアンダーカバーを擦る音を聞くことはあるが,今回は裏が空洞の樹脂板に当たったような軽い音ではなく,ガツンという重い物同士がぶつかったような鈍い音と車体後部が持ち上がったかのような突き上げに尋常ならぬものを感じた。あまりに嫌な感じがしたので,数十m走って降りて後ろから下を覗くと,おやおや,何かがチョロチョロと落ちている。ピンクの液体...orz 一見してわかった。その途端,一瞬頭が真っ白に。行き交う交通が全くない山中の旧道である。

ミッションケースのクラッチ側に直径5mm程の孔と,数個の1cm程度のヒビが見られた。うん,ミッションオイルは汚れていないな,OK,OK,ってちゃいます。そういう話ではない。このチョロチョロと流れ出てくるピンクの液体を見ているのがいたたまれなかった。動脈を切られた被害者を見ているかのような感じ。頭が真っ白になった後,この光景を目の当たりにして打つ手がない自分が焦っているのを自覚出来た。数秒後にはなんとか自宅まで自走して,日曜だったので日を改めてベンツに持っていくまで持たせたい。どうすればいいか。取り敢えずは,部落のあるところまで峠を登ろう。そこで新道に合流出来る。

結構急な登り坂を上り詰めたところに民家が現れた。よろず商店のようだ。が,入り口に行くと商品がガラス戸越しに色々見えているが鍵が閉まっている。日曜なので休みなんだろうか。ガムテープでもチューイングガムでもなにか応急処置に使えそうなものを購入出来るかも知れないと期待していたのだが,ぬか喜びとなった。当然ながら,その時点でもまだチョロチョロとオイルは落ち続けている。止まっている時間が長いほど,オイルの抜けが進む訳なので,その場を離れすぐ近くの新道に出た。現場からここまで10分程度だったろうか。

新道の新旅足橋を渡って街に降りていく。実は旧道に入る前にこの新道を先に訪れていたのだ。よって,この地点から街までさほど遠くないこともわかっていた。更には,そこにコメリがあることも往路でわかっていた。なので取り敢えずそのコメリまで行くことにした。オイルパンを割ってエンジンオイルが漏れてしまっては5分たりとて自走は無理だが,不幸中の幸い,今回はミッションオイルだ。ギアには良くないのは言うまでもないが,極端な話,オイルが全く入っていなくても結構な距離を走ることは可能だ。

なんとかコメリの駐車場に辿り着き,少しでも漏れを食い止められるよう,やや傾斜になっている場所を選んで駐車した。これは残りのオイルの温存の意味と,補修の為にオイルを止めたかったからだ。それでもまだポタポタと滴っている。店内に入ってパテと接着剤を探した。ちょうど対高温(と言っても100℃までだが)の金属用のエポキシパテがあった。それと,清掃用のパーツクリーナー(速乾がなかったので遅乾で我慢),そしてキッチンペーパーを購入する。当然ながら,D2Dというようなオイルなどは扱いがないが,オイルの補充は後で考えるとしてと,給油キャップを外すトルクスレンチも必要だ。なんだか細いなぁとは思いつつも,1種類しかなない数本セットパックを購入したが,はやり合わなかった。

この場では,孔を出来るだけ塞ぐことに力を注いだ。十分に傷口を清掃出来なかったので完全閉塞は無理そうだとわかってはいた。出来る限り綺麗にし,パテを練って傷に張り込める。この日は気温が30℃以上あり,10分硬化型のパテが5分もすると固まり始める。少量づつを混ぜて,擦り付けるように盛っていく。パテ1本を使って一応終了。

次はオイルとトルクスレンチを探さないといけない。もう少し下ると大きな街があるのでオートバックスか何かがあるだろうと思い,そこを後にした。オートバックスの作業員というのは素人集団である。よって,輸入車には一切タッチしない。もしもと思い店の前に居た店員にミッションオイルを交換出来るかと尋ねてみると,ピットに問い合わせてくれたが,やはりダメ。D2Dオイルというもの自体,何かわからないようだった。仕方ないので店に入ってオイルを探すがはやりない。少しでも漏れを遅められるよう,80W90の通常のミッション・デフオイルを1L購入した。トルクスレンチは先のものより少し太いのを含むセットがあったので購入してみるが,やはりダメ。実はトルクスレンチのサイズを覚えていなかったのだ。

ギアオイルだけを購入して店を出る。3000円弱。なんでオートバックスは何でも高い?なんでオートバックスのレジはブスで無愛想なヤンキー上がりばっかり?どの店に行っても感じ悪いったらありゃしない。だからオートバックスには滅多に行かないんだけど。

あまりに暑いのと,気分転換の為に,近くにあったショッピングモールに入った。勿論,落ち着いてウインドーショッピング出来るような心の余裕はない。猫のおやつを少し買って駐車場に戻った。そこに地元らしき人が居たので大きなホームセンターが近くにないか尋ねると,ちょっと行ったところに大きなカインズホームがあると教えてくれたので,早速向かった。トルクスレンチを探す為だ。

この店にもセット物が1種類しかなかったが,今度は一番太いものがT50だった。こんなもんかと言うことで 本日3セット目を購入。なかなか出費がバカにならない。ついでに速乾性のパーツクリーナーもあったので購入する。オイルはやはりないので,さっき買ったものを使うことにする。また,オイルを入れるにはホースか何かが必要なので,プラのオイル差しも購入した。駐車場に戻ってレンチを合わせるとなんとか行けそうだ。この日は客が多く,その場で店を広げるのはあまりにみっともないので,移動することにした。

少しは知ると高速が見えた。清掃用の歯ブラシを買い忘れたので,通りすがりのコンビニで400円近くもする高額なものを買う羽目になった。それを持って,高速の高架下に向かう。人気がなく広さもある高架下のスペースがあったので,そこで開店することにした。念の為にもうパテを1本買っておいた。今回は遅乾性と速乾性のパーツクリーナーと歯ブラシで念入りに清掃し,補修した周りに,更にパテを擦り付けて重ねる。あっという間に硬化が始まる。

補修を終え,レンチを取り出し,給油キャップを開ける。このトルクスレンチというのは一回り小さくてもなんとなく引っかかりがあってゆるいネジなら回ってしまう。なめてしまいそうで怖い。このキャップはかなりキツく締まっていたが,なんとかなめずに緩んだのでT50で正解なんだろうか。いつもはベンツでやってもらうので自信がない。油さしにオイルを入れ,ミッションに移す作業を5回程繰り返し,1Lのオイルを全て入れ終える。本来は1.4L入るようだが,応急処置なので十分だろう。補修部からの漏れは今のところない。

ミッション部はエンジン部ほどにはオイルのプレッシャーはないと思うので,恐らく帰宅するまでは問題ないだろう。後片付けをして出発。特に妙な挙動も異音もなく,滑らかに変速出来ている。これなら大丈夫だろう。


補修後,高速を300km程走って帰宅。途中,特に気になることはなかった。到着後ミッション部を見ると,少し湿っている。滲んているようだ。下にダンボールを敷いて一晩置き,翌朝見ると2〜3滴分のシミがある。やはり応急処置でしかなかったようだ。うまくすればオイルだけ交換すればこのまま行けるかと思ったが,甘かった。最初の処置の際にもっとよく清掃して置けば,また違った結果になったかも知れないが。

ということで,ミッションを交換する羽目に。ベンツは日月が定休日なので,火曜を待って電話で相談することにする。その間にヤフオクでミッションを探す。この数年,ヤフオクには450のパーツは少なからず出ているので助かる。ただ,数枚の写真で選択しないといけないのがネックだが。ミッションを割ってケースだけを交換する方法と,ミッション全体をすっぽり交換する方法があるので,それを念頭に探す。ジャンクで1万円,高いもので11万円という範囲で,7〜8点発見した。高ければ程度が良いのかというと全くそういうことはない。単に店の都合で値段が付いてる。なので,一応,ショップの申告を信じ,距離で第1次選別をする。このかめむしくんは6万キロ後半なのでそれに近いもので絞ると,4個程ある。3万前後が多い。次に出品者の評価。ヤフオクの評価は最早形骸化しており,判断基準にはなりにくいが,車屋っていうのはヤクザみたいなもの(という持論)なので,普段の様子が重要だ。車関係の評価というのは極端だ。酷いのは酷い。という訳で,なるべく評価の良い出品者を選ぶ。また,ミッション全体を使う場合,ドライブシャフトの刺さる部分など,内部に埃やゴミが入る可能性のあるところをきちんとテープなどでシールしてあるものを選ぶ。土の上にゴロンと転がしたままで写真を撮っているようなものは敬遠したい。解体前のオーナーのメンテの状態は知るすべもないが,せめて解体後のパーツの扱いが良い出品者を選ぶ。解体業者には2パターンあって,パーツの再利用を念頭に置いて解体しているところと,スクラップとして兎に角ばらしてしまえ,っていうものだ。他の出品物や評価を見るとなんとなく判断が付く。

ということで,今回は55000円(税送料別)の6.2万Kmの作動テスト済みで,ホコリよけを対策をしてあるものと,ケース用にジャンクの1万円というのを候補に残した。その後,ベンツの休み開けに状況を説明し,どっちの修理が良いか相談し,見積もりももらうことになった。結果的には,ミッションを割っても1万円程追加工賃が掛かるだけだったが,時間と後々のことを考えて,丸ごと交換にすることにした。ややこしい修理を依頼する客は他には居ないようで,ちょうど忙しい時期と重なっているようで,あまり有難くなさそうだったが,入庫から4日で仕上げてもらえた。作業自体は3時間前後だろうが,確かにやることは面倒だろうな。車検や外注作業で楽して儲ける方がいいのは言うまでもないが,それではメカニックとは言えないからな。




ヒット直後の写真は気持ちの余裕がなかったので撮っていない。また上記の作業の様子も撮っていない。手元に残したクラッチとギアのアクチュエーターはある。また,覚書として購入したミッションのオークション写真を貼っておく。修理完了後に引き取りに行った後,200km以上走ってみたが,全く違和感なくスムースにシフトチェンジされているので,商品に問題はなかったようだ。また,折角の機会なので,左右ドライブシャフト出力部のオイルシールと,クラッチのインプットシャフトのオイルシールを新品に交換しておいてもらった。ホークとホークステーは,クラッチモジュールとの合いが良いように自車からの物を移植してもらった。




2014.10.12

エンジンオイル交換 69,700km

最近,オイル交換のペースがグッと落ちているので書いておかないと忘れることがある。よって書く。オイルはモービル1の5W40を2.0L,5W50を0.5L混合。フィルターエレメントも交換した。次回の交換は75,000kmの予定。かめむしくんの方は,大体5,000km前後のペースで交換している。


2014.11.11

3回めの車検 70,700km

いつもの工場がまた親方変更となるそうで,今回が最後のヤナセでの車検となる。来年以降は以前のシュテルンとなり,営業所や工場が統廃合されて縮小するらしい。その辺りの事情は,それによってサービスが悪化しなければユーザーにはなんの関わりもないが,ヤナセとメルセデスジャパンとの因縁は簡単には解消されるものではないようだ。

どの業界であるかに関わらず,今どき大名商売をやっているようではユーザーからスポイルされる。今のベンツ車など,高度成長期のステータスに足りるような車ではなく,すでに大衆車であり,メーカーのラインナップを見るとそれは明らかである。現地価格と堂々のマージンを取って来ているヤナセをありがたがって,ステータスだと思って崇めている金持ちが居る限り,ヤナセも安泰だろうが,メーカーの指向はもう別方向を向いているのだろうと思う。

性能とサービスで言えば,日本車が世界最高峰にあることは言うまでもない。一部のハイパフォーマンスカーを除けば,ドイツ車もアメ車もネームバリューで商売をしているだけで,商品の本質はもう競争力を失っていると言っても過言ではなかろう。かと言って,万人受けする車体ばかりを作っているメーカーもどうかとは思うが。

車検に関しては,前回から月ペースでは500km強しか走っていないので特に大きな手が入ることもなく,定期交換のブレーキオイルと電球類数個の交換のみで済んだ。また今回,幌ワイヤーの交換も頼んだが,そちらは別にトラブルが発生したようで対応中なので,解決後,別記事で掲載する予定だ。とにかくこの車は稼働率が低いな。




2014.12.06(作業終了引取日)

3回めの車検と同時に幌ワイヤーの交換 70,700km

さて,車検と同時に頼んだ幌のワイヤー交換の詳細だ。オープンで走る時だけ乗るかめむしくんなので,乗る時には,幌は必ず最低でも1往復の開閉を行う。平均すると1ドライブで2回位かな。オープンカーに乗るのに幌を開けないのでは意味がない。

前回の修理でクレーム対応パーツ(とモーターが1個に減った)に交換して以来,頻繁な開閉にもトラブル無しで作動していたが,前々回辺りから閉じ切る際に,右側だけギアを舐める音が出始めていた。スイッチを離すタイミングを調整すれば特に問題はなかったが,念の為交換してもらうことにした。

が,それがアダになってしまった。車検もワイヤー交換も終えて引取に行った後,暫く走ってバイパスに入り,速度が時速60kmを越えると風切音がやけに大きくなり,外気が入り込んでいるのにも気付いた。夜だったのでそれまでは気づかなかった。停車してよく見ると,右側が閉まり切っておらず,斜めになった状態で停止している。当然やり直してもらわないと風どころか雨もザァザァ漏れだ。

工場の話では,実際に作業を行ったメカニックは前日に開閉チェックをした際には全く問題なく好調だったという。フロント担当のメカニック責任者は引き渡し当日にチェックしたとき,異音がしているのであまり開閉翅ないほうがいいのでは,などということを曰わる。そらぁ違うやろ。これまでマトモに動いていたのにそういうコメントはプロとして如何なものかと思う。それに,彼は前回苦労して直してくれた張本人であるのだ。本来ならそこで担当のメカニックと一緒に確認し,再度調整なり組み直しが必要なら,こういう状況なので,もう少し時間をくれと言えば済む話だ。

この工場は自宅のある町ではないので,往復の交通費だけでも4000円以上掛かり,かつ半日仕事なのである。不調なのがわかっているならそう言ってくれれば無駄な費用と時間を使う必要はない。いつもディーラー定番仕事は,パコパコとパーツを交換するだけで楽だろうが,カブリオの幌の場合,それでは済まない手間なことはこっちも分かった上で頼んでいるのだから,時間が掛かるのは承知しているのだから。とにかく,マニュアルにない対応も行って,更に請け負うからには完璧に修理しないとプロとは呼べない。

正直な気持ちはそういうことだが,問題は原因と解決だ。そのまま工場に戻り,再び代車で帰ることになった。その後,先の担当のメカニックが再度幌を分解したところ,交換したワイヤのアウターチューブ(真鍮パイプとフッ素パイプで出来ている)の接続部が緩んで抜けかけだったことと,新しいワイヤをパイプに通すと動きがスムースではないということがわかったらしい。特にフッ素パイプ部の大きなカーブで引っ掛かるようだ。内部の摩耗で傷が入ったのか,ワイヤー交換時に傷が入ったのか,他に原因があるのかは不明だが,確かに非常に抵抗が大きく動きが悪い。取り回し(カーブ形状)は異なるが,逆側とはスムースさが明らかに異なる。

たまたま最近,もっとひどい状態で持ち込まれたカブリオの幌を修理した際は,ジョイント部が完全に外れてしまっていたそうだ。かめむしくんの場合,そのフッ素パイプのみを交換すれば直りそうなのだが,毎度の「パーツが出ません,アッシ供給で18万円だそうです♪」 殴ったろか!メカニックも流石にこれはないだろうってことで,解決策を考えてくれることになった。解決策ったって,結局はそのパイプを交換するしかないので,それをどうするかってことだ。どうするったって,売ってなければ作るしかないw

こっちはこっちで,中古パーツや使えそうなパイプを探してみた。実は,世界中のオークションやスマートパーツ店を当たったところ,なんとドイツのeBay(オークション)で,その部分だけのパーツが8000円で出ているのを発見。eBayというのはインターナショナルなオークションで,各国からの出品がアメリカのサイトにまとめられている。その出品物は通常はワールドワイド対応だ。しかし,今回発見したのはドイツの独立したeBay。eBayは,複数あるので面倒。特にドイツのeBayに出品されているということで,海外発送をする気がないのかと想像したが,取り敢えずはメールを出して尋ねてみることにした。少し前にも,本を買うのにドイツの書店とドイツ語でやりとりをしたが,今回も頑張って独文を書いた。幸いにも返事をくれたが,やはり海外発送はしないらしい。ついでにドイツではこのパーツは単品で出るのか尋ねると,彼が知る限りでは,もうメルセデスからは購入できなくなっているという返事が来た。その後,残念だという趣旨のメールを返すと,日本ではどうやっても買えないのか?自分が出品しているものしか入手手段はないのか,という趣旨の返事が来た。ひょっとして送ってくれる可能性があるのかぁ〜?日本では後ろの幌部全体のアッシ供給のみで20万円近くするが,必要なのはパイプ部だけなんだ,と返信したら,EMSに問い合わせてくれたらしいが,通関手続きなどかなり面倒なのでやはり無理だということになった。取り敢えず感謝して交渉は終了した。

パイプ素材に関しては,現行のパイプのサイズは内径6mm外形8mmとなっている。樹脂なので肉厚が1mmある。幸い同径のパイプは1m単位で販売されていて,千円台で買える。また,石油ストーブの配管用のなまし銅管も外径8mm,肉厚0.8mmなので内径が6.4mm位で使えそうだ。また,真鍮パイプでも同じような径のものがある。いずれを使うにせよ,曲げが問題だ。フッ素パイプはおそらく曲げるのが一番難しいと思われるし,通販でないと入手出来ないので,取り敢えず,ホームセンターでよくある1m切りのアルミと真鍮パイプを買って,工場に渡し,実験してもらうことにした。結局それでテストした結果,真鍮パイプでなんとかなりそうだということになり,実際には,本体側パイプとの接合径の関係で,外径9mm,内径7.4mmの真鍮パイプの方が都合が良さそうだということで,それで同じような形状に曲げてみたらしい。単にベンダーで曲げただけなので,内側にシワが寄る。塩か砂を詰めてやればもっと綺麗に仕上がるかも知れないが,実はそれをやるのはちょっと手間。それでなくてもメルセデス専門店なので,元々そういう町工場的な修理は対象外なはずだ。だから,これ以上の注文はしなかった。必要があれば後日,自分でパイプ加工をしてみるつもりでいる。


【下写真】
ワイヤーのアウターは,真鍮パイプ(アルミブロックのモーターマウントに固定されていて外せない)と,脱着可能な樹脂パイプ部分から出来ており,左右で形状が異なっている。直線部からワイヤーを押し込むと,左側の大きなカーブで進まなくなり,強く入れてもその先の波々部で更に動きが渋くなってしまうようだ。
今回,ホームセンターで一般に売られている1m切りの真鍮パイプを樹脂パイプ部分と同じ形状に曲げ,取り付けてくれた。外径8mmのパイプがピッタリハマるようで,そちらを使ったので内径が大きくなったという訳だ。肉厚は0.8mmだったと思うので,内径は6.4mm程度だと思われる。オリジナルより0.4mm直径が太くなったことになる。


では,内径がやや大きく,内側にシワがあるアウターチューブで実際問題支障があるのか。そこが問題だ。今週初めに電話で進捗状況を尋ねると,一応幌部は組み上がっており,開閉出来るようになったと言う。が,作動音が少しすると言う。ということで百聞は一見にしかずということで,早速見に行ったみた。

期待半分,心配半分で動かしてみる。確かに閉じる時にはビシッとロックが掛かるし,一番後ろまで開いた後,ちゃんと下に落ちる。動作自体に問題はない。一方,内径が太くなった分,中でワイヤーが遊ぶせいだろうと思うが,スゥ〜と動くのではなく,少し進むとクックッっとなってまた進むという感じになるが,詰まるわけではなく連続的な動きでギクシャクしたものではないので問題ないだろう。また,閉じるときにだけ,アウターチューブの曲げ部のシワにワイヤーが押し当てられるようで,コリコリという音がやや出るがそれほど大きなものではない。これで確実な動作だ出来ればまぁ,及第点だ。心配なのはその擦動でワイヤーの寿命が大きく短くなったり,モーターに負荷が掛からないかという点だ。こればっかりは使ってみないと分からない。

また,自分でも以前から思っていたのだが,モーター部(仲介ギアとワイヤーが接する部分)のところでワイヤーの抑えが効きにくい構造になっているので,オリジナルのままだとワイヤーが逃げようだ。で,少し抑えるように針金で抑え付けるとよりスムース(歯飛びなく)になるようだ。まぁ,何かの外因,例えば今回のアプターチューブとインナーワイヤーの摩擦の増加など,モーターに負荷が掛かった時にモーターを焼けから守る為にあえて歯飛びをさせるように設計されているのかも知れないが,あまりに使い勝手が悪いので,この改造は有りだと思う。これは想像だか,対応部分に交換後も調子の悪い幌は,この改造だけで改善するケースもあるんじゃないかと思う。

今回,パイプ部のパーツを探していると,海外ではいろんなアフターパーツが出ているのがわかって面白かった。