メカの特徴
ミッション

シーケンシャル・オートマチック

メカニズムとしてこの車の1番の特徴がミッションです。モーターによる自動変速クラッチが,コンピュータによって制御されています。実際には,6速のフルオートマチックノークラッチのマニュアルシフトスイッチ一つで切り替えられます。だだし,フルオートマはオプションになっているので,購入時に確認が必要です。通常,日本で流通している smart には付いているはずです。この変速モードは停車時でも走行時でも切り替え可能で,エンジンを停止後に再スタートする場合には,エンジンを停止した時のモードに保持されます。

また,マニュアルモードとフルオートマモードの切り替えにはシフトレバーについているボタンを押すだけですが,フルオートマモードからマニュアルモードに移行する場合には,単にシフト変更をするだけでも可能です。シフトはレバーを前に倒すとアップ,後ろに倒すとダウンになります。

この車はトルコン方式ではないので,トルコン車のような変速ショックは全くありませんし,クリープ現象もありませんので,坂道で停車した時にはブレーキを踏んでないと下がります。上り坂の交差点で発進するときや,うちがそうなんですが,車庫の入り口が急な坂になっているときは,国産の軽のオートマのつもりでいると冷や汗をかくことがありますが,慣れれば全く問題ありません。

先に,変速時のショックは皆無と書きましたが,ミッションオイルが古くなってくる( smart オーナーの場合,3000〜5000キロで交換する人が多いようです)とショックが出てくるとの情報もあります。私にはまだ経験がありませんのでなんともいえません。なお,機構的にはMTFがオイルとしては該当するのですが,MCCではATFを指定オイルにしています。デキシロン2という種類のATFをミッションオイルとして使用します。


フルオートマの時には燃費を優先してコンピュータが変速を行うようです。また,私が乗ったことのあるオートマ車は,上り坂でスピードが落ちて来てアクセルを踏み込むと,ギアダウン(いわゆるキックダウン状態)しますが,この車は同じアクセル開度のままで,エンジンの負荷とスピードと回転数を自動的に判断してギアが落ちます。これはトルコン方式にはないコンピュータ制御独特の機能です。国産の軽にはこの手のオートマはないと思います。

下り坂でも同様で,スピードが出過ぎないようにアクセルを離す(緩める)と自動でシフトダウンします。つまり,勝手にエンジンブレーキがいい具合に聞きます。少しブレーキを踏むともっと敏感にシフトダウンしてくれます。こんなことは今の普通車では一般的なのかも知れませんが。

フルオートマモードでは約80キロを越えると6速に入ります。また,フル加速(アクセルべた踏み)では5500回転で次のギアにシフトアップします。街乗りではフルオートマ,郊外や高速ではマニュアルにし6速(55キロ以上くらいから)を多用するのが燃費向上にいいでしょう。

マニュアルの時にはメーターパネルに矢印でシフト変更が指示されます。どうしてもこれに従わないといけないという意味は勿論ありませんが,指示の出るタイミングは,マニュアルシフトに慣れている人のタイミングとさほど変わりません。

ドアロック

イモビライザー


これは,エンジンを始動する際に,キーが発する信号(パルスコード)が,車のコンピュータにあらかじめ登録されているものと一致するかどうかを確認する機構です。これが一致しないと,キーがあってもエンジンは掛かりません。
smart にはリモコンキーが付属していますが,これは,単にドアのロックをリモコンでするというだけのものではなく,キーの照合をする為のものでもあるのです。
この機構によって,次のような現象が起きます。運転後,車からキーを抜いて降りて,ドアロックをしないで1分以上放置すると,今度運転する時には,信号を送ってやらないといけないのです。つまり,ロックされてないドアを開けて乗り込んで,キーを挿して回しても,エンジンは掛かりません.メーターパネルにかぎのアイコンが現れ,照合を要求してきます。このキーのアイコンが出ている時に,キーについているドアロックのリモコンボタンを一度押すと「ピッ」と一度音が鳴り,エンジンロックが解除され,キーを回すことでエンジンが掛かります。

ヨーロッパでは車の盗難が多いのか, smart は盗難防止にはかなり気を使っているようです。
また, smart のキーにはこのような機能も含まれているため,キーをなくした場合は当然ながら,,破損したりすると運転が出来なくなります。更には,スペアキーというのは,最初についてくるもの以外は作れなく,2本ともキーが使えなくなると,本社に車積コンピュータを送って作り直す必要があるようで,コンピュータの脱着工賃や送料を含む費用は数十万円,期間も数週間から数ヶ月は掛かる見込みですので,キーは大切に扱うようにしないと後悔します。

ドアロックをリモコンキーで解除したあと,ドアを開けないでおくと,1分程で勝手に再ロックされます。



盗難防止セキュリティーシステム(=走行時のドアロック方法)


ダッシュボード中央のハザードスイッチの前にある逆V型のスイッチが盗難防止アラームのセッティングスイッチです。操作方法はマニュアルで判明しましたが,これはオプションになっているので,操作の必要がないケースもあります。当然,車を降りるときに使います。マニュアルによると,次の手順です。
  1. ドアを開ける
  2. イグニッションがオンのままで,スイッチを2度押す(1回押すと約5秒間ランプが点滅するので,点滅しているうちに2回目を押す)
  3. そしたらキーを抜いて,そのままドアを閉める。
  4. 外から覗いてみて,逆Vスイッチのランプが点滅していればセキュリティーシステムが作動しているはずです。ドアをこじ開けたりするとクラクションとハザード点滅で警報を出すそうです
ちなみに,運転席の窓に「ALARM」のシールが貼られていない車は,やはりセキュリティー装置はついていないようです。ついていない場合,一連の設定を行うと,キーを抜いた時に「がちゃ」という施錠音がします。この状態でドアを閉めればドアロックができますが,面倒なので通常はキーリモコンを使うことになるでしょうね。
ついでに,ドアを閉めた状態(運転中)で逆Vスイッチを一度だけ押してもロックされますが,降りるときにはドアノブを普通に動かせば解除されます。外からは開きません。通常の車のようにドアにロック用のノブはついてないので,このスイッチがそれに当たります。


リアハッチのロック


ひとつボタンのリモコンキーの場合は,0.5秒程の間隔で2度押しすると,リアハッチ(ガラス部)がロック解除されます。閉める時にはハッチをしっかり閉めるだけでロックされます。また,運転席の左下の方にもロック解除ボタンがあります。

エンジン

ターボのオーバーブースト


smart のターボエンジンは,通常の滑らかな加速のモードと急加速時のオーバーブーストモードがあって,アクセルの踏み込み具合で自動的に切り替わります。体感的にも加速の違いがわかります。


エンジンの回転数


国産の軽自動車は常用回転域が高めで,概ねトップギアで60キロでは3000回転,80キロでは4000回転,100キロでは5000回転くらいだと思いますが, smart の場合,6速では,60キロで1800回転,80キロで2100回転,100キロでも2700回転と約半分しか回っていません。これは室内にエンジンを置くためには必須の事柄なのかもしれません。この回転域の利用は,騒音を抑えるのと同時に,エンジンの寿命を長くするのにも貢献するはずです。
また,レッドゾーン(実際にはイエロー)は6000回転からで,燃料カットにより回転が落ちます。


カムチェーン

最近の日本車で普通に使われているタイミングベルトは使われておらず,昔ながらのカムチェーンが使われています。ベンツは全車にカムチェーンを採用しているようで,これにより,突然のベルト切れで立ち往生するという心配から開放されます。また,寿命は,タイミングベルトが7万〜10万キロであるのに対し,カムチェーンの方は20〜30万キロと言われているので,その点も安心です。ただし,チェーンテンショナーの方の寿命はもっと短いはずですが。
カムチェーンの採用により,信頼性は高まっていますが,一方で多少メカノイズが増えることも考えられます。


点火プラグ

1気筒につき2個のプラグを使用したツインプラグで,より燃焼効率を高めています。1本は後側にもう一本は前側に付いていて,前の方はエンジンハッチからでは見えません。従って,自分でプラグ交換をするのはかなり面倒そうです。

足回り

ABS

ABSが標準装備されています。濡れた路面のカープでパニックブレーキを踏むと,ABSが利いたままになりノーブレーキ状態になる,とあるホームページに書いてありました。この為に事故った人もいるとありましたが,私が思うに,濡れた路面のカーブでスピードを出して突っ込めば,事故るのは当然ではないでしょうか。しかし,タイヤのグリップは確かに悪い感じがします(その分長持ちするかも)。ですから濡れた路面(特にちょっとした融雪の残りなどでも)では,慎重な運転を心掛けた方がいいでしょう。

4駆に乗りなれているのでよくわかりませんが,
これは2駆の車には共通といえる程度の問題なのかも知れません。ワークス(2駆)なども,パニックブレーキでなくても濡れた路面のコーナーではちょっとのオーバースピードでもすっ飛びますから,これを「smart」の個性と言っていいものかどうかはわかりません。4駆のブラボーは流石に安定性がいいようです。

余談ですが,1年ほど前にちょっとした峠道でこんなことがありました。私が右側の本線を走っていて,あるコーナーに差し掛かったとき,左の登坂車線の後ろの方からまくってきたスープラがいました。左車線から追い越しを掛けてきたお姉ちゃんに,「あんまり調子こいて走ってると事故るで〜」と心の中で呟いき終わるか終わらないかのうちに,それは起こりました。

オーバースピードに慌てたのかブレーキを踏んだらしく(いわゆるパニックブレーキ),尻を振ったと思ったとたん,ハンドルを切りすぎて左側の山肌を登って行きました。60度位の傾斜になっていたので,うまく登って止まりましたが,テールは崖の下方,つまり完全に登り切っていました。

真横で起こったこの出来事に,「車って立てると結構でかいんだな」と思った私です。お姉ちゃんが自分で車を降りて携帯を掛けていたのがバックミラーで見えたので,私はそのまま立ち去りました。皆さん,危険なのは車ではなく,運転する人の性格ですよ。ねっね。

また,現行のモデルは前輪タイヤが145となっているので,あまり気にしないでもいいのではないでしょうか。それよりも,短いホイルベースということを念頭に置き,普段からその積もりで走るべきでしょう。実際,直進性はやや悪いです。良く言うと,ハンドル操作に対し俊敏な反応を示します。


タイヤとホイール

3穴のホイールは社外品ではなかなかなく,ドイツ製のものが幾つかあるだけのようです。また,タイヤサイズもユニークで,元々ついているコンチネンタル社以外にはほぼ存在しないと考えていいでしょう。国産ではヨコハマタイヤのエコがあります。標準装備のタイヤは,グリップが低いので注意が必要です。また,かなりの扁平率で,クッション効果はあまり期待できません。これば,横転防止のためのトータル的な観点からあえて低めのグリップの高扁平率のタイヤに設定されているのかも知れません。
雨の日にはスピードを控えて走る方がいいですね。雪道用のスノータイヤの装着については他のサイトに報告がありますので,そちらを参照してください。


サスペンション

トーションバー方式のサスペンションもかなり固めの設定です。また,フロント過重が低くリア過重が高いので,もっぱらショックは後輪から伝わってくる感触です。

バックミラー

危険と思われる点


可愛い形のドアミラーはなかなかの曲者です。細長いので水平方向には割と視界が広いのですが,垂直方向にはかなり狭く,後方視界はあまりよくない。というより右側の横から後ろにかけての視界が非常に悪い。追い越し車線を後方から近づいて来る車がまるっきり1台分見えなくなる死角があります。
また,オーバーフェンダーと左ハンドルであるせいもあって,車幅感覚を掴むのにかなり時間が掛かった。結局,左右側面下側を見る為に丸い補助ミラーを両側のドアミラー内に,また,右側のミラーには死角を消すために丸いミラーをもう1個,計2個貼ってあります。これにより,右後方の死角は完全になくなりました。
なお,2001年4月時点では,東京の店から死角を減らした専用ミラー(鏡のみ)が
販売されています。いずれに方法でもいいでしょうが,なんらかの改造を加えないとかなり危険です。これが, smart の最大の欠点といえるかも知れません。

ついでに
ルームミラーについてですが,ハート型なのはいいのですが,これまた後ろが見にくい。シート上部に視界が邪魔されているのです。真後ろは左右のシートの間から見えますが,斜め後ろは左右とも見えないといっても過言ではありません

安全対策

エアバッグと強固な卵型のフレーム


トレディオンと呼ばれるモノコックフレームをもつスマートは,ベンツEクラスの衝突安全性があるそうです。
この衝突実験ビデオ(1.3MBあります)を見ると(ベンツ対smart),その重量差の為にsmartは吹っ飛びころころと路上を転がっていますが,その形状のせいかうまく衝撃が逃げているようで,派手な割には内部へのダメージはかなり軽るそうです。メーカーの発表では時速50キロでの正面オフセット衝突でもドアは開くし,フロントガラスも外れないと謳われています。しかし,あのビデオを見ると,シートベルトは絶対に必要だなと実感しますね。2005年 現在もっとも信頼のおけるスマート扱い店のひとつと言える「スマート横浜」のサイトも参考に なるかと思います。サイトに飛んだら上部のメニューボタンの「safety」より入って下さい。

盗難防止装置

オプションで
盗難防止装置付きのものもあります。キーを使わずに車内に入ろうとすると,クラクションとハザードで警告をするようです。上記の「ドアロック」の項目をご覧下さい。

燃料タンクと燃費


燃料タンクの容量について


smartの燃料タンクは本当のところどのくらいの容量があるのか。巷では諸説紛々,これは実験するしかないというこで,早速やってみました。以下は経過です。

メーターの表示が 0.0L になったのが丁度420kmのときでした。燃料計は,車体の角度などによって 0.5L 程度のゆらぎがあるので,どんな姿勢でも完全に 0.0L しか指さなくなった時点で距離をみると先の420kmだったという訳です。

その後,車が完全にエンストするまで走ることにしました。メーターが460kmを指したとき丁度止まりました(420,460ともたまたま端数がありませんでした)。カンカンにいれて乗せておいたガソリンを 1.0L 入れ,そこから3キロ程離れたスタンドに行って給油口ぎりぎりまで入れてもらったところ, 24.3L 入りました。カンカンから入れた 1.0L のうち,1〜200mLを使ったとして
以下の数字が出ました。
勿論,給油時の車の姿勢でも変わると思います。私の場合,いつも入れるスタンドでは地面が少し傾斜していて,フロント側が10センチ程上がった状態で給油しています。

上記の実験から推測出来ることをまとめると,
燃料残量計が完全に 0.0L を指す時点で 約22.8L 消費している計算です。更に予備として 2.2L 残っているので,合計で約 25L が入るということですね。もっとも,小数点以下は誤差の範囲と考えた方がいいでしょう。マニュアルによると,「予備 2L を含めて 21L 」となっていましたが,数字的には全然一致していませんね。

今回の燃費は,18.4km/Lでした。近距離・フルオートマが殆どでしたのでこんなものでしょう。ちなみに私の場合は,最低で16.7km/L,最高で20.5km/Lです。燃費計算の時には,同じスタンドの同じ位置で給油口ぎりぎりまで入れてもらっていますが,もうこれで燃費を計ることもないでしょう。(注)その後,24km/Lが出ました。
燃料の取り入れ口はタンクの前方にあるようで,上り坂でガス欠しても,下りの姿勢にすると幾らか動くみたいです。